ネガティブ皆無の圧倒的ポジティブさ

自信が漲る彼女の裏には、底知れない練習量や執念が感じられた(撮影/大澤進二)
彼女の最大の魅力は、緊迫した優勝争いのなかでもネガティブな感情を一切感じさせない、メンタリティだ。2日目を終えた際、我如古夢蔵キャディから予選通過ラインの話を振られると、「私はカットラインじゃなくて優勝を狙いにいっている。明日追いつけばいいんでしょ」と笑顔で言い放ったという。
「自分が一番上手い」と信じて疑わない強固な自信と、天真爛漫な人柄。ウェットで重くなった最終日のコンディションに対し、「雨でグリーンが止まる状態だからこそ、自分の飛距離を考慮してスタートホールからしっかりプラン通りに狙っていこうと決めていた」と語る冷静さが強みだ。
道中はあえてリーダーボードを見ず、良い位置にいる気配を感じながらも自分のプレーだけに集中。雨で重くなったグリーンに対し、「今週は下りのパットを意識してしっかり強めに打った」という言葉通りの強気なパッティングを徹底し、「すごく良い精神状態で18ホールを回りきれた」と振り返る。
5メートル前後のバーディパットや緊迫したパーパットをすべて沈めてみせる圧倒的な快進撃を魅せた。
「あの小さい背中が大きく見えた」我如古氏が語る快進撃と、“父の日”の涙

左が我如古キャディ。「18歳と感じられないくらいしっかりしていて、頼もしいです」と信頼関係が深い
「18歳と感じられないくらいしっかりしていて、頼もしい。朝からやってやるぞという強い姿勢がショットにもパットにも満ち溢れていた。本当に頼もしくて、あのちっちゃい背中が、今日は本当に大きく見えました」
ジュニア時代から彼女の成長を見守り、「今週のチューズデー(主催者推薦選考会)が通ったら、キャディをお願いします」と言われてバッグを担いだ我如古氏の深い信頼関係が見て取れる。

18歳のツアールーキーに観客は夢中になっていた(撮影/大澤進二)
正規の18番ホールでは状況を完全に把握し、バーディ狙いの明確なイメージを持って臨んだ吉﨑。第3打ではピンの位置まで歩測を行い、準備万全でグリーンを捉えたものの、僅かにスピードコントロールが狂いバーディならず。プレーオフの開始が近づくにつれてルーキーらしい初々しい緊張の表情ものぞかせたものの、激戦のなかで見せた精神的なタフさは本物だろう。
「父の日」という特別な日に、幼い頃から二人三脚で歩んできた父親の目の前で演じきった、自己最高位となる最高の恩返し。だからこそ、戦いを終えて「父の日」の話題が出た瞬間に思わずその瞳を潤ませた、激しい悔しさと熱い涙が印象的だった。
「伸びしろしかない」敗戦を糧にまた強くなる

小柄な体から生み出すダイナミックなショットは、まだまだ伸びしろを感じさせてくれる(撮影/大澤進二)
「正直、悔しい時期があったからこそ今週のプレーができた。でも、18ホールの中でバーディを獲りきれなかったことや、プレーオフでの詰めの甘さは自分のまだまだ足りないところ。達成感はありません」
涙を拭った吉﨑の口から飛び出したのは、現状に満足しない勝負師の言葉。先週から少しずつ良い感覚を掴み、基本に立ち返ってゴルフのスタイルも日頃のトレーニングもイチから見直してきたという地道な努力があった。
「まだまだ足りないところはたくさんあるけれど、その分、自分には伸びしろがたくさんある」と前を向く素直さ。敗れてなおその存在感を焼き付けた、沖縄が生んだツアールーキーだった。
最後に我如古キャディが残した、「来週、絶対優勝します!」という力強い言葉。熱い絆で結ばれた沖縄生まれの吉﨑・我如古コンビが、近い将来に優勝カップを掲げる瞬間が楽しみだ。
※2026年6月22日10時39分、一部加筆修正しました。
