首位ユン・イナ「緊張するのは人間の性」
実はメジャー大会全体で見ても、「最初の36ホールを12アンダー以下で回った選手」は非常に稀であり、直近でこれを達成したのは、今年の「シェブロン選手権」におけるネリー・コルダ(14アンダー)だけである。また、ユンはここまでの36ホールで、フィールド最多となる「14個のバーディ」を奪う圧倒的な攻撃力を見せている。あの絶対女王しか達成していなかった異次元のスコアペースで、フィールド最多のバーディを奪って首位を独走しているのだ。

プレッシャーを素直に受け入れると話すユン・イナ
メジャー大会でこれほど大きなリードを持って週末を迎えることは、選手に想像以上のプレッシャーを与える。ユン自身も「週末に首位に立つのは初めての経験」であり、未知の領域に対する緊張を隠そうとはしない。
しかし、彼女は恐れるのではなく、その重圧を素直に受け入れようとしている。
「残り2日間は明らかに神経がすり減るでしょう。でも、緊張するのは人間の性です。だからこそ、それを受け入れて、自分のショットでできることに集中したい」
彼女が頼りにしているのは、キャディのケビンとのチームワークだ。「何かクレイジーなことをするのではなく、彼と一緒にやってきたことに集中し、楽しみたい」と語る。また、今年のシェブロン選手権での経験も彼女を支えている。
「メジャーでトップ10に入ることは非常に神経を使い、落ち着きを保つのは簡単ではないと学びました。その経験を今週に生かしたいです」
フレッシュな緊張感に包まれながらも、彼女の心は極めてクリアだ。
ネリー・コルダ「退屈かもしれないが、1打1打に集中するだけ」

絶対女王のネリー・コルダは6打差の6位タイでユン・イナを追う
一方、追う立場となった絶対女王ネリー・コルダは、ラウンド中のトラブルを乗り越え、王者の貫禄を漂わせている。
2日目のフロントナインは「4アンダー」と素晴らしいプレーを見せたが、バックナインのティーショットでは突如として「フック」に苦しんだ。前戦の全米女子オープンでは右への致命的なミスに苦しんだばかり。「リビエラではこの(左への)ショットなら殺してでも欲しかったわ」とキャディのジェイと冗談を交わしつつ、「ゴルフというのは常に謙虚にさせられ、頭を悩ませるものですね」と苦笑いを見せた。
しかし、彼女の視線はすでに過酷な週末へと向いている。「週末は風が強くなり、ピン位置も確実に難しくなる」と予想するコルダ。圧倒的な重圧と厳しいコースを前に、彼女が導き出した戦略は至ってシンプルだ。
「退屈かもしれないけれど、ただ1打1打に集中して、それがどこに行き着くかを見るだけです」
これこそが、メジャー3連勝と殿堂入りという偉業に挑む絶対王者の、揺るぎないマインドセットである。
コルダは現在6打差の6位タイで追う展開だが、今季すでにメジャー大会の「全米女子オープン」において、7打差のビハインドを跳ね返して逆転優勝を飾っている彼女にとって、この差は十分に「射程圏内」だ。さらに、彼女の今季の第2ラウンドの平均スコアは「68.00」でツアー堂々の1位。尻上がりに調子を上げる強さも持っている絶対女王の存在は、首位を走るユンにとって決して安全圏とは言えない脅威となるはずだ。
異なるメンタルが激突する週末へ

女王ネリーの追い上げか、それともフレッシュなユンの独走か。ムービングサタデーがどうなるか注目だ
今大会の開幕前に公式のデータ分析モデルが弾き出した優勝確率において、ネリー・コルダは「19%」で断トツの1番手に推されていた。一方で、首位を走るユン・イナの名前はトップ候補のなかにはなく、今回の躍進はまさにデータ予測を覆すダークホースの台頭である。
「緊張を受け入れる」という素直でフレッシュな姿勢で歴史的スコアを守り抜こうとする伏兵ユン・イナと、いかなるトラブルや重圧にも動じず「1打への究極の集中」を貫く絶対女王ネリー・コルダ。
2つの全く異なるメンタリティが、難関ヘーゼルティンの舞台で激しく交錯しようとしている。歴史的快挙を成し遂げるのは逃げる新星か、それとも忍び寄る絶対女王か。最高にスリリングな週末の幕が上がる。
写真/PGAオブ・アメリカ
