「KPMG全米女子プロゴルフ選手権」のムービングデー。強風が吹き荒れる過酷なコンディションの中で、ブルック・ヘンダーソンが存在感を見せている。3日目を終えて「69-68-69」と、今大会の出場選手の中でただ一人、3日間連続で60台をマーク。通算10アンダーの単独2位へと順位を上げ、歴史的勝利に向けて最高の位置につけた。強風が吹き荒れるメジャーのセッティングで、3日間でわずか3つしかボギーを叩いていないという事実が、現在の彼女の精神的な充実ぶりを如実に物語っている。もし彼女が優勝すれば、18歳で最年少優勝を果たした2016年のKPMG全米女子プロ以来、実に10年ぶりの同大会制覇となる。これは、ベッツィー・ロールズが持つ「KPMG全米女子プロゴルフ選手権における、複数回優勝の最長ブランク記録(1959年・1969年の10年)」に並ぶ歴史的快挙だ。過酷なメジャーの舞台で、彼女がこれほどまでに安定し、ハッピーにプレーできている背景には、ある「運命的で感動的な出来事」があった。

新しい命の誕生。姪っ子の名前は「サハリー」

ラウンド後の公式会見で「今週、何か特別なことが起きていると感じるか?」と問われたヘンダーソンは、満面の笑みでこう答えた。

「今週がこれほど素晴らしいのは、すべて姪っ子がこの世界に産まれてきてくれたおかげなんです」

実は今週、彼女の姉であり、長年キャディとして共に戦ってきたブリタニーが初産を迎え、無事に女の子を出産したのだ。そして、その姪っ子に名付けられた名前は「サハリー(Sahalee)」。この名前はヘンダーソンが10年前にメジャー初制覇を成し遂げた、思い出深いゴルフ場の名前である。

新しい命の誕生、そして自らの原点とも言える名前を持つ姪っ子の存在。「姪っ子のおかげで、私たちはとても良いエネルギーに乗れている」と語るように、この感動的で運命的なエピソードが、彼女の心に計り知れないポジティブなパワーをもたらしているのだ。

姉の代役、元大工の「いとこ」との絶妙なコンビネーション

出産を迎えた姉に代わり、今週彼女のバッグを担いでいるのは、幼馴染でもありいとこでもあるライアンだ。

画像: ブルック・ヘンダーソンのキャディは姉・ブリタニーではなく幼馴染でいとこのライアン・ヘンダーソン

ブルック・ヘンダーソンのキャディは姉・ブリタニーではなく幼馴染でいとこのライアン・ヘンダーソン

彼はプロのキャディではなく、元々は大工としてリノベーションなどの仕事をしていた。しかし、ヘンダーソンは「私たちは一緒にゴルフをして育ってきたから、コース上でもコース外でもお互いをよく理解している。彼への移行はとてもスムーズだったし、彼はゴルフをよく理解して、私が必要な時に的確に助けてくれる」と全幅の信頼を置いている。

今週の絶妙なコンビネーションで結果を出しつつ、彼女は離れた場所から常にサポートし続けてくれる姉への感謝も忘れない。

「彼女はすべてをやってくれる。今も私を見守ってくれている」

新しいキャディとの強い絆と、家族の温かいサポートが、メジャーの重圧から彼女を解き放っている。

最終組で迎える、運命のサンデーバックナイン

画像: メジャー3勝目に向けてユ・ヘランを1打差で追うブルック・ヘンダーソン

メジャー3勝目に向けてユ・ヘランを1打差で追うブルック・ヘンダーソン

通算10アンダーの単独2位で、彼女は最終日の「最終組」に入った。彼女が最終組でプレーするのは、母国カナダでの大会(2025年CPKC女子オープン)以来のこととなる。充実した精神状態で運命の18ホールに挑む彼女の言葉には、静かなる決意と喜びに満ちていた。

「このフィールドにいる誰もが、日曜日を最終組でスタートしたいと思っていたはず。だから最終組でプレーできるのが楽しくて仕方ないし、明日が楽しみでたまりません」

彼女がこれほどまでに自信をのぞかせるのには、明確な裏付けがある。公式データによれば、彼女は過去にLPGAツアーの最終日最終組に20回入っており、そのうち11回で優勝(勝率55%)を飾っている。さらに驚異的なことに、直近5回の最終日最終組でのプレーに限れば、なんと4回も優勝を果たしているのだ。データが示す通り、彼女は最終組に入った際に無類の勝負強さを発揮する「サンデー・キラー」なのである。

ポジティブなエネルギーに包まれ、最高の状態で最終日のティーイングエリアに立つブルック・ヘンダーソン。愛する姪っ子「サハリー」へ、10年ぶりのメジャータイトルという最高のプレゼントを届けるため、彼女は運命のサンデーバックナインへと向かっていく。

写真/PGAオブ・アメリカ


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