
初日は2オーバーの61位タイで終えたが、徐々にスコアを伸ばし通算4アンダーの7位タイに浮上した小林光希
連続予選通過の偉業と、満たされない思い
今季の小林が見せる底力は、数字にはっきりと表れている。トップ10入りはすでに5回。序盤の「ダイキンオーキッドレディス」で3位、「アクサレディス in 宮崎」で4位タイ、「富士フイルム・スタジオアリス」で5位タイと、堂々たる優勝争いを演じてきた。
「15試合連続の予選通過と、昨季を上回るペースでのトップ10入り」。この圧倒的な安定感について話を向けると、彼女は「すごい自信にはなっています」と予選落ちなしの結果を誇りつつも、決して現状には満足していない様子だった。
「最近は(上位争いが)あんまりないので、とりあえず1個でも上で上がれるように」
周囲が記録の凄さに感嘆の声を上げても、彼女が見据える基準はあくまで「優勝争い」なのだ。トップ10入りだけでは足りない。その貪欲な姿勢こそが、小林光希の強さの源なのだろう。
悪天候を跳ね返す底力。いざ念願の頂点へ

精度の高いショット力で初優勝を目指す
現在開催中の「EARTH MONDAMIN CUP」では、彼女の精神力がいつにも増して熱を帯びている。
初日はパットが決まらず、1バーディ・3ボギーの61位タイと予選通過の当落線上で出遅れた。さらに2日目は雷雲接近による2度の中断の末、2番のティーショットを打ったのみでサスペンデッドというタフな展開を強いられた。
しかし、思いがけず空いた時間は「ただゆっくり寝て休んだ」と、練習もせずに心身のリフレッシュに充てたのだという。
貪欲なのに、どこか自然体。この切り替えの早さは天然なのだろうか。いや、もしかすると、昨季からあと一歩のところで手が届かずにいる「初優勝」という見えないプレッシャーに対する、彼女なりの抵抗なのかもしれない。
日を跨いで28日(日)に再開された第2ラウンド。2番のセカンドショットから仕切り直した彼女は猛反撃を見せ、見事4バーディ・ノーボギーで回り、一気に8位タイへ急浮上した。1日で5アンダーを伸ばした倉林紅に次ぐ好スコアで、完全に流れを引き寄せた。
同日に行われた続く第3ラウンドでも、1番から7番までを終えてスタートホールと4番で着実にバーディを奪取。危なげなくパーセーブを続け、通算4アンダーの7位タイにつけている。
長丁場の変則日程や、「雨ばかり」という過酷な状況下でも決して崩れない持ち前の安定感。
「逃げずにしっかり攻めていけたら」
最終日に向けて残したこの一言には、彼女の繊細さと、内に秘めた強い覚悟が滲んでいる。
現状に満足しないハングリー精神と安定感のあるプレーは、こんな悪条件のなかでは確かな「強さ」となるはずだ。「逃げずに」と語った小林を見ると、「この大会で彼女が優勝するのではないか」――。そう強く予感させてくれる、実に頼もしい姿だった。(文/川野真美)
