
キム・ミンスが通算17アンダーで優勝(撮影/岡沢裕行)
昨年の雪辱から生まれた「ボギー1個」の緻密なマネジメント

昨年の悔しさを胸に「いかにボギーを減らすか」を考え続けてきた(撮影/岡沢裕行)
最終組の1番からスタートしたミンスは、4番(445ヤード・パー4)でバーディを奪うと、後半も10番(430ヤード・パー4)などで着実にスコアを伸ばす。終わってみれば3バーディ・ノーボギー、4日間を通したボギー数はわずか「1」という驚異的な安定感での圧勝だった。
会見でミンスは「自分のゴルフスタイルが体現できた」と振り返る。8位に終わった昨年の同大会では、バーディ数こそ優勝者・佐藤快斗(さとう・かいと)と並んだものの、ボギーの多さが足を引っ張った。その時からどうすればボギーの少ないプレーができるのか追求し、自身のプレースタイルを変更した。「今年はボギーを打たないゴルフに徹しようと決めていた。それが目標通りにできて嬉しい」と語る通り、1年かけての緻密な戦略が勝利をもたらしたのだ。
特に課題だったのが、「スピン量」だ。韓国に比べ日本の芝はスピン量が多くなりやすく、特にウェッジのショットに気を使っていたと話す。
「練習ラウンドから58度や54度のウェッジで、スピンを殺してコントロールするショットを徹底した。意識したのは振り切らないこと。ヘッドスピードに注意して打っていました」(ミンス)
18歳とは思えぬ鋭い観察眼と卓越した技術が、難コースで行われる大舞台を制することにつながった。
「憧れの選手はいない」唯一無二のスタイルで世界へ

目指すのは、自分だけのプレースタイル(撮影/岡沢裕行)
なぜここまで崩れないプレーを貫けるのか。そのもう一つの理由は確固たる理想像にあった。
目標とする選手を問われると、はにかみながらも「いないです」と即答。「誰かの真似をするのではなく、自分だけのゴルフスタイルを信じて作っていきたい」と語った。
かつてはその意志の強さが裏目に出て、コーチらの助言を素直に聞き入れられない時期もあった。しかし、ナショナルチームで真の信頼関係を築き上げた結果、その強いこだわりを排除するのではなく、さらに強固な「唯一無二のスタイル」へと育て上げることに成功したのである。
表情にこそ表れないものの、ナショナルタイトルを狙う最終日の重圧に「本当は心の中で凄く緊張していた」と明かすミンス。その言葉には18歳らしい人間らしさと、それを力に変える王者の風格が同居しており、昨年よりも強さを持って挑んだ日本アマのタイトルだった。
今大会の優勝によって、「日本オープンゴルフ選手権」の出場権を獲得。「アマチュアのうちにプロの試合で優勝したうえでプロ転向を目指したい。そして最終的にはPGAツアーで戦いたい」と力強く宣言した。
自身の哲学を貫き通した唯一無二の18歳。日本アマの歴史に強烈な足跡を残したプレースタイルは、ここから世界へと羽ばたいていく。

2位には藤井太己(左)、3位タイには佐藤快斗(右から2番目)・武田紘汰(右)が入った
(文/川野真美)
