平均飛距離が下位クラスでも勝てた

人を信じて必要なときは頼って、自分のゴールに向かうことができるという金子
5月末のオーストリアアルペンオープンで、日本人としては7人目のDPワールドツアー(以下DP)優勝者となった金子駆大。コーチの目澤は語る。
「実は前々週の全米プロに帯同して、1週間じっくりいろいろな話や調整ができたんです。そして、その翌週は2位(スーダルオープン/ベルギー)でその翌週に優勝。こんなに早く結果になるとは思わなかったです。DPは大会ごとに国も違うし環境など全部が違う感じなので、その中ですごいなと思います」
全米プロでは1打足りずに予選落ちした金子。練習ラウンドでは、松山英樹をはじめ、R・ヘンリー、T・フリートウッド、L・ドナルド、最後の日は5ホールだけC・ヤング、J・トーマスと一緒だったという。
「自分から『一緒に回りたい』と言っていろいろなことを吸収し、その中で足りない部分を見つけて僕たちチームとも話し合った。結果は本人もチームも悔しかったけれど、初メジャーで自分たちのやり方でいいものが出せれば上位にいけると現在地を知ることができた。全英でも戦えると思えました」

めざわひでのり・1991年生まれ、東京都出身。日大法学部(ゴルフ部)卒業後、アメリカに語学留学し、日本人では数人しか持っていない「TPIレベル3」を取得。プロコーチとして松山英樹、河本結、永峰咲希など数々のトッププロを指導。現在も桂川有人、金子駆大などと契約、最新の理論と個々に合わせた指導で厚い信頼を得ている
2020年に出会い、金子をサポートして3年になる目澤。金子の強さは吸収力にあるという。
「人を信じられる。自分がこうしなければいけないと感じると、信頼している人を頼って、自分のゴールに向かうのが上手い選手だと思います」
技術的には、まず挙げられるのがロングアイアンの上手さだ。
「“縦距離”を正確に打って行けるので、ミスしても大きなミスにならない。現代で言われているパワーゴルフをする選手ではなく、“技術がある”という感じです」
DPを選んだのは、周りの皆からじっくり意見を聞いたうえでの本人の選択だという。
「昨年、僕はDPの解説をして見ていましたし、コーンフェリーツアーに関しては経験者の桂川(有人)選手に聞いて、ビッグスコアが多く、ロングヒッターも多いと。アメリカの環境でやることもプラスになるとは思うけど、彼の性格やゴルフを考えたらDPがいいのかなと。そういう話をして、本人もそうしたいという結論でした」
本人とチームの冷静な選択が、伸びしろのある若き賞金王の成長をうながすのだろう。
「ロングアイアンが上手い。縦の距離感が正確です」
「アイアンはもともと上手い。でもドライバーも曲がらないし、アプローチとパターも上手です」(目澤)。欧州のスタッツでも、FWキープ率が8位(68.67%)、平均パット数は12位、リカバリー率は5位だ。
「今も飛距離は足りない。単純にアベレージには到達していないです(飛距離284Y/152位)」と言うが、飛距離アップのきっかけも欧州で見つけたという。
「自分が頼っている先生以外にも、桂川選手と同じDPのトレーナーに見てもらうようになった。フィジカルデータを取ると、ピラミッドの下の下だったそうです」
DPには、毎試合フィジカルトレーナー、リカバースタッフなどのトレーニングスタッフがいて、チームとなって選手の体の状態などを把握しながらチェックしてくれるという。
「データの上位にいるのは出力がある人たちで、やはり単純に飛ぶ。比べたら自分は全然足りない。だからそこを伸ばすために今、一生懸命取り組んでいます。これもヨーロッパに行かなければ気づかなかったこと。誰かに『したほうがいい』と言われても実際には取り組まないことも多いですけど、自分で気づいたら変わります。それに、気づいたら実際にやる“姿勢”も他の人よりあるのだと思います」
※週刊ゴルフダイジェスト7月21日号「欧州ツアーの現在地」より
PHOTO/Hiroaki Arihara、Shin Araki、Getty Images
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記事の続きでは、目澤コーチが語る「DPワールドツアーのリアルな過酷さ」へと迫ります。風速9メートルが日常茶飯事の激しい気候、PGAツアーとは真逆の「遅くて重い」グリーンへの対応など、日本では大きくは求められないアジャスト能力の重要性を徹底解説。さらに、目澤コーチが現地で注目する、スペインやフランスから現れた“職人肌・感覚派”の若手個性派プレーヤーたちの特徴も紹介。世界で勝つための「次なるゲームプラン」を熱く語っている。

