「優勝のチャンスがある大会」との予感があった

倉林をサポートしたのは、牧野みゆきキャディ(撮影/岡沢裕行)
昨年のプロテストに合格したルーキーのなかで、一番乗りで初優勝を飾った倉林選手。2005年生まれの倉林選手の同学年には菅楓華、入谷響、荒木優奈、馬場咲希選手といったすでに活躍する選手が名を連ねています。黄金世代やダイヤモンド世代のような呼び名はついていませんが、新たな呼び名がついてもおかしくない充実した世代です。
2月に行われたツアー外の2日間競技「INTLOOPグループレディースカップ」で優勝した際に「自分にもできる、完璧を求めすぎず、今自分にできることに目を向けようと考え始めたら心に余裕ができて、絶好調ではなくても自分のプレーができるようになった」とメンタル面の向上がプロテスト合格、QT1位突破といった成績につながったと話してくれました。今大会では国内女子ツアー史上初の7人でのプレーオフとなりましたが、1ホール目に約30ヤードのバンカーショットを寄せてパーを拾い、2ホール目にバーディを奪って初優勝を決めた姿にも、メンタル面の強さが光っていました。
初コンビで初優勝をサポートした牧野みゆきキャディに話を聞くと「すごいショットメーカーでパットも上手い選手」だと言い、「距離も短く、伸ばし合いになる今大会では、『優勝のチャンスがあるんじゃないか』と話していました」と予言通りの結末に驚きを隠せない様子。プレーオフでの距離のあるバンカーショットに話を向けると、「2日目にミスしていた距離のあるバンカーショットを朝の練習でしっかりと復習し、準備していました」と教えてくれました。プレーオフ1ホール目に、まさに練習していた距離のバンカーショットが残り、きっちり寄せてパーを拾ったことから、あらゆる場面を想定して準備してきたことがうかがえますね。女性のプロキャディらしく細やかな気遣いと物腰の柔らかい牧野キャディとは相性が良く、9月の「日本女子プロゴルフ選手権」でもコンビを組むといいます。メジャーでの活躍が今から楽しみです。
左ひざをアドレスの位置に戻して切り返す
ではスウィング解説に移りましょう。「感覚派なので感覚重視で」と、高校卒業以来3年間コーチはつけずに磨いてきたというスウィングは、左手の甲が正面から見えるストロンググリップで握り、フェースの開閉の少ない点が特徴です。アドレスでは両ひざを広げ下半身をどっしりと構えています。少ないニーアクションで軸のブレもなく、体幹をしっかりとねじりパワーを溜め込んだトップを作っています。ストロンググリップで握っているので、トップでも左手首の掌屈(手のひら側に折れる動き)は入りません。

左手の甲が正面から見えるストロンググリップで握り、両ひざを広げどっしりとした下半身で構える(撮影/姉﨑正)
上半身はトップの位置のまま左ひざをアドレスの位置に戻して切り返すことで、地面をしっかりと踏み込みます。そこから踏ん張り、上半身と下半身の捻転差を作り、体幹を大きくねじることによって、飛ばしのエネルギーを最大限に引き上げていることが見て取れます。最新の計測器では、“切り返しのタイミングで地面を踏み込む力が最大になることが重要”だと解析されています。倉林選手の左ひざをアドレスの位置に戻す切り返しはまさに踏み込みの証。多くのゴルファーの参考になるはずです。

左ひざをアドレスの位置に戻して切り返すことで、地面をしっかりと踏み込んでから回転していく(撮影/姉﨑正)
ストロンググリップで握る選手は、インパクトでも左手の甲は正面を向いたまま手首のローテーションは入らず、インパクト後のフォローでターンしていきます。切り返しから頭が後方に動くことで肩のラインはやや縦に回転し、大きく伸びやかなフォローへとつながっています。

インパクトにかけて頭が後方に動くことで肩のラインはやや縦方向に回転し、伸びやかなフォローを作る(撮影/姉﨑正)
2003年生まれの竹田麗央、櫻井心那(早生まれ)、神谷そら、川﨑春花選手らのダイヤモンド世代に続いて、菅楓華、入谷響、荒木優奈、倉林紅選手らの世代が、これからの女子ツアーを盛り上げてくれることでしょう。
