1.5Mは100%! 今季3勝の最高状態でリンクスへ
昨年の大会で、彼は第2ラウンドにコースレコードタイとなる驚異の「61」を叩き出し、見事に頂点へと上り詰めた。その快スコアを裏付けたのは、圧倒的なパッティングである。同大会で彼は、パッティングの貢献度を示す「Strokes Gained: Putting」において大会史上最高となる「+7.30」を記録。さらに5フィート(約1.5メートル)以内のパット成功率は100%という完璧なプレーを見せた。特にフロントナインでパットが冴え渡ったことが、ビッグスコアへと直結したのだ。
しかも、彼はこれ以上ない最高の状態でスコットランドの地に降り立った。先週の「ジョンディアクラシック」で今季3勝目、PGAツアー通算5勝目を挙げたばかり。この勝利により、フェデックスカップ・ポイントランキングは6位へ、公式世界ゴルフランキング(OWGR)も7位へと急浮上。名実ともに世界のトッププレーヤーとしての地位を確固たるものにしている。勢いそのままに、前年覇者が再びリンクスコースでの熱戦に臨む。
実弟との優勝、そして弾丸フライト
前週の「ジョンディアクラシック」での優勝は、彼にとって特別な意味を持っていた。バッグを担いだのは実弟のパトリック。兄弟で掴み取り、共に分かち合った勝利の喜びは格別だったに違いない。
【写真】ジョンディアクラシック優勝後、弟のパトリックと一緒に自撮りするクリス・ゴッタラップ【PGAツアー公式X】
@PGATOUR post on X
x.comしかし、優勝の余韻に浸る間はなかった。「家に直行して荷造りをし、スコットランド行きの飛行機に飛び乗った」とゴッタラップは振り返る。あまりの強行軍に、スマートフォンに殺到したお祝いのテキストメッセージをじっくりと読む暇さえなかったという。
【動画・9分】クリス・ゴッタラップ、ジョンディアクラシック最終日ハイライト【PGAツアー公式YouTube】
Chris Gotterup shoots EPIC 62 for comeback win | Round 4 | John Deere Classic | 2026
www.youtube.com「ここ数回、勝つたびに次の場所へ急いで向かっている気がするよ。いつか優勝した後に1週間休みが取れたらいいんだけどね」と苦笑いを見せるが、優勝直後の疲労よりも、みなぎる充実感と勢いが彼を力強く突き動かしているのは間違いない。
「マーキー・グループ」への抜擢と強心臓
昨年、彼は予選ラウンドを「決してマーキー・グループ(注目組)とは言えない組」で静かに回り、最終日に突如として優勝争いの火の粉の中に飛び込んだ。その際、ヨーロッパのスター選手たちと優勝争いを演じた完全アウェーの状況を、ゴッタラップは不敵な笑みとともにこう振り返っている。
「観客に聞けば、99.9%が相手(ヨーロッパの選手)を応援していたと思う。もちろんそれは理解できるし、僕がヨーロッパ出身でもそうしただろうね。でも、その雰囲気を少し台無しにしてやるのは楽しかったよ」
そしてディフェンディングチャンピオンとして迎える今年は、予選ラウンドから状況が一変する。ローリー・マキロイ(北アイルランド)とロバート・マッキンタイア(スコットランド)という、地元の大スター2人と同組となる最高の「マーキー・グループ」に抜擢されたのだ。
大観衆のほとんどが同伴競技者を応援するであろう状況下でも、彼の心臓には毛が生えている。
「自分を観に来てくれる人がいるのは楽しいし、もっと良いパフォーマンスを見せたいという気持ちになる。誰も見ていない時よりも、むしろ集中できる気がするんだ」
周囲のプレッシャーを完全に自らのエネルギーへと変換している。さらに、「彼らのような注目組に入って快適にプレーできるようになるのは素晴らしいこと。ツアーでプレーする上で、これこそが望んでいることだからね」と、最高の舞台設定を心から楽しもうとしているのだ。
さらなる高みへ
昨年のスコットランドオープン制覇から12カ月。その間に4勝を積み重ねた彼の成長スピードは凄まじい。「この1年で4勝もできたなんてクレイジーだよ」と本人も驚きを隠さないが、「何か特別なことを変えたわけじゃない。コーチや家族と一緒に物事をシンプルに保ち、正しいと信じることに一生懸命取り組んできただけ」と、その足元はしっかりと地に着いている。

今大会の勝利で1シーズン4勝目に到達するクリス・ゴッタラップ。レジェンドの仲間入りなるか、注目だ(写真は26年WMフェニックスオープン)
もし今大会で連覇を果たして今季4勝目に到達すれば、直近10年のPGAツアーにおいて1シーズンで4勝以上を挙げたアメリカ人選手として、スコッティ・シェフラー、パトリック・カントレー、ジャスティン・トーマス、ダスティン・ジョンソンという錚々たるレジェンドたちの仲間入りを果たすこととなる。
弾丸フライトの疲労も、完全アウェーの巨大な歓声も、いまの彼には心地よいスパイスでしかない。圧倒的な自信と強靭なメンタルを胸に、クリス・ゴッタラップは大会史上初の連覇という新たな歴史に挑む。
写真/岩本芳弘

