チャーリー・ハルの「緻密な補給術」と「意外な体の事情」
初日に「66(5アンダー)」の好スコアを叩き出し、3位タイにつけたイングランドのチャーリー・ハル。猛暑のラウンドを乗り切った彼女のバッグには、緻密に計算された食料が隠されていた。

チャーリー・ハルは緻密な補給で暑さを乗り越えていた
「とにかく食べることが鍵。私は2ホールごとにバーを一口かじり、また別の特別なバーも2ホールかけて食べるの。それにジュースを少しずつ飲んで、バナナも食べたわ」
水と電解質を大量に摂取するだけでなく、ホールを消化するごとに小刻みに栄養を補給し続けることで、炎天下でのエネルギー枯渇を徹底して防いでいたのだ。さらにハルは、この過酷な暑さについて驚くべき本音を明かした。
「実は私、いくつかの怪我を抱えているから、背中とかに熱を浴びるのは結構好きなの。湿度が低ければ、暖かいほうが体がよく動くから問題ないわ」
多くの選手が悲鳴を上げる猛暑を、自身のコンディション維持に逆利用してしまう逞しさはトッププロならではだ。
そんなハルの緻密な栄養補給とは対照的に、思わずクスッとさせられるエピソードを明かしていたのが、今季旋風を巻き起こしているルーキーのロッティ・ウォード(初日67で8位タイ)だ。ラウンド中にグミキャンディを食べるのがルーティンだという彼女は、開幕前の会見でこの猛暑での対策を問われると、「(キャディが昨日買ってきたけど)たぶん、かなり溶けちゃうと思うわ(笑)」とコメントしていた。トッププロの日常的なルーティンすらも脅かす、ヒートドームの凄まじさが伝わってくる。
マヤ・スタークの「頭痛」がもたらす怪我の功名
同じく初日を「66(5アンダー)」のボギーフリーで終え、3位タイの好発進を決めたマヤ・スターク。しかし彼女のラウンドは、決して万全な体調によるものではなかった。

意識をゴルフ以外に向けられたことが好転したとマヤ・スターク
「実は今日、一日中頭痛がしていたの」と明かすスターク。しかし、彼女の思考は極めてポジティブかつユニークだった。
「でも、頭痛がすることで逆にゴルフから意識が逸れるから、時々こういう状態でプレーするのも悪くないのよ」
メジャー大会特有の極度のプレッシャー。それが、暑さによる頭痛のおかげで適度に分散され、結果としてリラックスしたストレスフリーなラウンドに繋がったというのだから、ゴルフというスポーツのメンタルコントロールは本当に奥深い。
西郷真央の「隙を見せない警戒心」
この猛暑が牙を剥いているのは、選手たちの肉体だけではない。2024年大会覇者の古江彩佳が「すごく暑いので、芝がちょっと焼けちゃっている部分が何箇所かある」と証言するように、美しいエビアン・リゾートGCのコース自体もリアルなダメージを受け始めていた。

1Wが不調とみるや3Wを多用してスコアメイクした西郷真央
そんな過酷なフィールドコンディションの中、ハルやスタークと並び、首位と3打差の3位タイにつけた日本の西郷真央も、このエビアンの暑さに対して最大限の警戒を払っている一人だ。
「毎年ここ(エビアン)はどんどん暑くなっているので、練習ラウンドの段階から水分補給などにはしっかり気をつけて管理していました」と語り、事前の入念な準備が功を奏したことを明かした。
しかし、彼女に油断は一切ない。「今日はまだ大丈夫でしたが、明日は確実にさらに暑くなる。だから、明日に向けてもしっかり準備をします」と、早くも次なる戦いを見据えて気を引き締めている。
うだるような暑さの中で、緻密なカロリー計算で体を動かし続ける者、頭痛すらもプレッシャー対策に変換してしまう者、そして徹底した自己管理で次の日の猛暑を見据える者。
華やかなメジャーの舞台裏で行われている、トッププロたちの泥臭くもしたたかな「ヒートドーム・サバイバル」を知れば、明日からの観戦がさらに味わい深いものになるはずだ。
写真/大会提供
