「ジェネシス・スコットランドオープン」を7位タイで終えたローリー・マキロイ。3日目にスコアを落として優勝争いから一歩後退したものの、最終日には「64」という猛チャージを見せ、トッププロとしての意地を示した。しかし、その見事なリカバリーの裏には、彼自身のスウィングとの壮絶な格闘と、ある自嘲気味な「名言」があった。

天才が叫んだ「俺はゴルフが下手すぎる」

最終日の16番ホール、マキロイの口から思わず漏れた一言が、世界中のゴルフファンの話題をさらった。

「I am so bad at golf(俺はゴルフが下手すぎる)」

このボヤキは、米国のゴルフ中継アナウンサーから「今季最高の言葉かもしれない」とまで評された。アマチュアゴルファーならいざ知らず、世界最高のボールストライカーであるマキロイの言葉としては、あまりに人間臭い。

ラウンド後の会見で、記者が「我々はそうは思わないが、あの言葉を撤回するか?」と茶目っ気たっぷりに問うと、マキロイは真顔でこう返した。

「いや、撤回しないよ。あの瞬間に打った6番アイアンのショットは本当に酷いものだった。だから、あの瞬間においては、俺は本当にゴルフが下手だったんだ」

自らのミスショットを決して許容せず、完璧を求め続けるトッププロゆえの厳しさがそこにはあった。

不調の原因「左から右への風」と持ち球のデータ

マキロイに「下手すぎる」と言わしめたミスの原因は何だったのか。それは、リンクス特有の風と、彼自身のスウィングの「悪癖」との戦いだった。3日目にスコアを落とした後、マキロイは極めて冷静に自身の状態を自己分析していた。

「左から右へ吹く風の中でボールを打ち続けると、いつもの悪い癖が出てしまうんだ。スウィング軌道(パス)に対してクラブフェースが過剰に左を向いてしまい、特にアイアンで左へのミスショットが出始める」

公式のトラッキングデータによれば、今季のマキロイのティーショットの55%は「右から左(ドローボール)」である。この明確なデータが示す通り、ドローヒッターである彼にとって、週末の「左から右」へと吹く風に逆らってボールをコントロールし続けることは、スウィングのバランス(フェースと軌道の関係)を狂わせる大きな要因となっていたのだ。初日や2日目はアイアンショットの調子が良かったものの、週末にかけて風向きが固定されたことで、世界のトップに君臨するマキロイであっても、自然環境が引き起こす微細なスウィングのズレに苦しめられることとなった。

わずかな時間で見せた、過密スケジュールの中の驚異的な修正力

しかし、マキロイの真の凄みは、その悪癖に気づいてからの「修正力」にある。

この大会、霧の影響によって第3ラウンドが土曜日に日没サスペンデッドとなり、マキロイは日曜日の朝7時から第3ラウンドの残り数ホールを消化する変則スケジュールを強いられていた。つまり、日曜の朝一番に崩れたスウィングでプレーさせられるというタフな状況下で、最終ラウンドが始まるまでのわずかな「ラウンド間の練習場」で問題を見つけ出し、即座に修正してみせたのだ。

「少なくとも問題が何なのかは分かっていたから、あとはそれを直すだけだった」

最終ラウンド中も左へのミスショットが完全に消えたわけではなかったが、彼はラウンドの中でクラブフェースを見事にコントロールし始め、さらにパッティングの冴えも取り戻した。結果として、3日目の「73」から、最終日は「64」という9打もの劇的なバウンスバックを見せたのである。

「下手」と嘆きながらも崩れない王者の底力

画像: 「ゴルフが下手だ」と嘆きながらも終わってみれば7位タイと上位フィニッシュしたマキロイ(写真は26年トゥルーイスト選手権)

「ゴルフが下手だ」と嘆きながらも終わってみれば7位タイと上位フィニッシュしたマキロイ(写真は26年トゥルーイスト選手権)

「俺はゴルフが下手だ」とまで嘆き、スウィングと格闘していたマキロイだが、終わってみれば「7位タイ」できっちりとフィニッシュ。これにより、本大会に出場した全4回すべてでトップ7入り(優勝1回、2位1回、4位1回、7位1回)という驚異的な相性の良さと相変わらずの底力を継続させることとなった。

世界トップクラスの選手であっても、自身の悪癖と必死に戦い、時には自嘲しながらプレーしている。しかし、どれだけ絶不調を抱えていても最終的にはリーダーボードの上位に顔を出し、ラウンド間のわずかな時間で立て直してくることこそが、彼らの本当の凄みでありトッププロの意地なのだ。

次週、ロイヤルバークデールで開催される2026年メジャー最終戦「全英オープン」に向け、マキロイがこの数日間でどれだけスウィングを研ぎ澄ましてくるのか、逆襲への期待は高まるばかりだ。

写真/岩本芳弘


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