イングランドのロイヤルバークデールで開催されている第154回「全英オープン」。予選ラウンドの2日間を終え、リンクスコースは日に日に硬さと速さを増している。スコアメイクの最大の鍵を握るのは、疑いなく「グリーン」だ。極限のコンディションへと変貌していくメジャーのグリーンに対し、世界最高峰の男たちはどのようなアプローチや心理で挑んでいるのか。スコッティ・シェフラー、ローリー・マキロイ、アダム・スコットの3人が語った生々しい証言から、ディープな舞台裏を紐解く。

ローリー・マキロイの試行錯誤と名手との対話

画像: 2日目は自信を持ってストロークできたと語るローリー・マキロイ

2日目は自信を持ってストロークできたと語るローリー・マキロイ

初日、ローリー・マキロイはグリーンの異変に頭を抱えていた。「グリーンのある部分は生きて成長しているのに、別の部分は完全に死んでいる(枯れている)んだ」と、その不均一さを指摘。ラインに乗ったはずのパットが予期せぬ方向へ切れる現象に直面し、スピード適応の難しさを嘆いていた。

しかし、2日目を終えた彼は確かな手応えを口にした。その裏には、スタートの約1時間前に行った、パッティングの名手ブラッド・ファクソンとの対話があったという。

極度の乾燥によって生育状態が不均一になったリンクスのグリーンでは、不規則な転がりは避けられない。ファクソンとの対話で再確認したのは、「プロセスを重視し、自分の読んだラインを信じてコミットする(疑いを持たずにストロークする)こと」だった。

「昨日はいきなり予想外の転がりをして神経をすり減らしたけれど、今日は自分が見たラインを信じ切ることができた」と語るマキロイ。不確実性を受け入れ、自らのストロークに全集中することで、彼はグリーン上の魔物と折り合いをつけたのだ。

スコッティ・シェフラーの王者のメンタル

一方で、通算4アンダーの8位タイで週末を迎える世界ランキング1位、スコッティ・シェフラーのメンタルは驚くほど静かで揺るぎない。

画像: 「やるべきことはできている」と揺るぎないスコッティ・シェフラー

「やるべきことはできている」と揺るぎないスコッティ・シェフラー

2日目のラウンド後、彼は「多くのチャンスを作ったが、もう少しパットが決まってほしかった」と悔しさを覗かせながらも、そこに焦りの色は一切なかった。

「やるべきことはできている。あとはドアをノックし続け、チャンスを作り続けるだけだ」

入らないパットに苛立つのではなく、今の自分のボールストライキング(ショットのキレ)の精度を信じ抜く。「今日や昨日と同じようにボールを打ち続ければ、必ず良い位置にいられる」と語るシェフラー。パッティングの不運を、圧倒的なショット力でカバーしてチャンスを量産し続ける。

記者から「週末に向けてリーダーボードのどの位置にいたいか?」と問われると、シェフラーは真顔で「いつだって、毎回、そしてこれからの永遠の未来に至るまで、僕がいたいのはリーダーボードの一番上だけだよ」と笑ってみせた。

アダム・スコットが指摘する「午前と午後の変化」

画像: メジャーに101回連続出場のアダム・スコット。2アンダーの25位タイで週末に入る

メジャーに101回連続出場のアダム・スコット。2アンダーの25位タイで週末に入る

百戦錬磨のベテラン、アダム・スコット(2アンダー、25位タイ)は、また違った視点からリンクスのグリーンを分析している。彼は、グリーンの状態が「時間帯」によって激変することを的確に指摘した。

「午前中はフレッシュにカットされ、ローラーがかけられているので非常によく転がる。しかし一日中乾燥していくため、遅い時間になるほどパッティングは難しくなるんだ」

2日目を午前組でプレーしたスコットは、「午前中のコースは非常にゲッタブル(スコアを伸ばせる状態)だった」と語り、そのチャンスを逃さずアンダーパーでまとめて上位進出の足がかりを掴んだ。自然と共に変化するリンクスの表情を読み切り、条件が良い時間帯で確実にスコアを稼ぐ。メジャーの酸いも甘いも噛み分けたベテランならではの、極めて冷静なコース攻略法である。

週末のサバイバルへ

週末に向けて、ロイヤルバークデールの地面はさらに乾き、グリーンはより気まぐれな表情を見せるだろう。マキロイも「もし大会側が今日と同じように、グリーン端の傾斜(ランオフ)のすぐ近くにピンを隠すようなことをし続ければ、非常に困難なテストになるだろう」と警告している。

画像: クラレットジャグは誰の手に!?

クラレットジャグは誰の手に!?

より一層タフさを増していくセッティングのなか、予測不能な魔物を手なずけ、クラレットジャグに最も近づくのは誰なのか。世界最高の技術とメンタルがぶつかり合う決勝ラウンドから、一瞬たりとも目が離せない。

写真/R&A提供


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