全国から問い合わせが殺到するという、知る人ぞ知る人気ショップ「ゴルフステージ成城」。クラブナビゲーターの吉田朋広氏が注目するギアを徹底検証・解説する本企画。今回は、新生エストリックスから登場した新ブランド「IGNOVA(イグノヴァ)」を徹底検証していきましょう。

エストリックス社から7月下旬に発売される新ブランド「IGNOVA(イグノヴァ)」

エストリックス社は、昨年大ヒットしたシャフト「S-TRIXX X」などを企画・販売する老舗のシャフトメーカーである一方、長年にわたり三菱ケミカル社の代理店としても活動してきました。今回、その代理店業務を終了し、7月より本格的に「シャフトメーカー」としての活動に専念することとなりました。

その新生エストリックス社が放つ新ブランドが「IGNOVA(イグノヴァ)」です。今後シリーズ展開を予定していますが、ファーストモデルはシャフト中間にキックポイントを持つ中調子の「IGNOVA BX」となります。

画像: 「IGNOVA BX」

「IGNOVA BX」

長年、数多くのシャフト販売に携わってきた同社にとって、「中調子」は最も多くのゴルファーが使用する、販売面でも一番重要なポジションです。第一弾となる「IGNOVA BX」は、そんな中調子に対する既成概念を覆すべく開発されました。これまでの知見をフルに活かし、ゴルファーの可能性をさらに広げる、まったく新しい感覚の中調子シャフトに仕上がっています。

最大の特長は、NiTi(ニッケルチタンコンポジット)をシャフトの先端から中間部分にかけて複合成形している点です。変形しても元の形状に回復する性質を持つこの金属線を贅沢に配置することで、スウィングのエネルギーを極めて効率的にボールへ伝えることを実現しています。

外観デザインとスペック

シャフトカラーは落ち着きのあるマット系ダークシルバー。モデル名の「B(BLUE)」と「X」をモチーフにしたワンポイントが手元側に配置されており、シンプルながらも存在感のあるデザインです。

画像: シンプルなデザインが特徴

シンプルなデザインが特徴

重量帯は40、50、60、70グラム台の4ラインナップ。フレックスは40と50がR・S・X、60と70はS・X・XXを用意しています。

今回は「IGNOVA BX 50S」と「60S」を用意し、PINGの最新作「G440 MAX(10.5度)」に装着して徹底検証していきましょう!

【検証①】IGNOVA BX 50S:オートマチックで重厚なインパクト

シャフト重量/55グラム/トルク4.4/中調子 
シャフト振動数/260 CPM
※テストヘッド:PING G440 MAX 10.5度/45.25インチ

まずは50グラム台の「50S」からです。

握ってみると、BUTT径が15.20mmと、太さを感じさせないすっきりとした印象を受けます。ワッグルしてみると手元側にややしっかりとした剛性感があり、部分的に極端なしなりポイントは感じません。

実際にスウィングしてみると、ワッグル時に感じた手元の硬さが切り返しで邪魔をすることはなく、非常にスムーズに振り下ろせます。中間部にはほんのりとしたしなりを感じるのですが、決して動きすぎることはありません。シャフトが潰れるような感覚がなく、中間から先端にかけて非常にオートマチックかつ滑らかに動いてくれるのには驚きました。

ニッケルチタンの効果なのでしょう、シャフト自体の変形量が少なく感じられ、インパクト手前から直後にかけて「まったく減速感のない独自のフィーリング」があります。先端部分は穏やかに動き、大慣性モーメントのヘッドを安定してインパクトエリアへと導いてくれます。その結果、「ドーン」とボールを力強く前に押し出すような、なんとも重厚なフィーリングでボールを捉えてくれるのです。

画像: 吉田氏のIGNOVA BX 50S、60Sの評価

吉田氏のIGNOVA BX 50S、60Sの評価

このフェースへの“ボールの押し込み感”こそ、「IGNOVA BX 50S」の最大の特徴だと感じます。放たれる弾道は基本的にストレートフェード。意図的にドロー回転をかけても、つかまり過ぎる心配はありません。バックスピン量も、テストヘッドであるPING G440 MAXの特性を考慮してもやや少なめ(20球平均で2500rpm±200rpm)に抑えられています。

シャフトはヘッドとの組み合わせで動きが変わるものですが、この50Sは切り返しからオートマチックに働いてくれます。そのため、自分で意図的に「タメ」を作ったり、強く操作したりする必要はありません。シャフトのしなりを感じながらシンプルにスウィングするだけで、左右のブレを抑え、自身のパワー以上の強い弾道と飛距離をもたらしてくれる可能性を強く感じさせてくれます。

【検証②】IGNOVA BX 60S:強靭な復元力とさらなる加速感

シャフト重量/64.5グラム/トルク3.6/中調子
シャフト振動数/261CPM

続いて「60S」です。BUTT径が15.40mmと50Sよりも太くなり、手元側の剛性感が増すことで、よりしっかりとしたフィーリングになっています。こちらも極端なしなりポイントはなく、全体がほんのりとしなる印象です。

スウィングしてみると、複合されたニッケルチタンの「変形しにくい特性」をよりダイレクトに感じることができます。シャフトに余分な捻れを感じることなくインパクトを迎え、軽快というよりも“重厚な加速感”を伴ってヘッドが下りてきます。ボールをしっかりとフェースに押し込んだ後も、シャフトが一切減速することなくフィニッシュまで振り抜けるのです。スウィングのエネルギーが増幅されるような、この独特の重厚感は、60Sの大きな魅力と言えるでしょう。

画像: IGNOVA BX 50Sと60Sの比較表

IGNOVA BX 50Sと60Sの比較表

基本弾道はこちらもストレートフェード。フェースが開かずにスクエアなインパクトを実現してくれます(※もちろん装着ヘッドの重心設計によってイメージは変わります)。バックスピン量は50Sと同様にやや少なめ(20球平均で2400rpm±200rpm)です。

60Sも50Sと同じく、オートマチックな挙動に逆らわず、シャフトの動きにスウィングを素直に同調させることが、スウィングエネルギー以上の飛距離性能を効率良く引き出す鍵になると思います。

総評:今までにない新感覚の中調子

形状記憶合金が持つ強靭な復元力を味方に、ターゲットに対してシンプルに振り抜くだけで、ブレの少ないドライバーショットを実感できる高いパフォーマンスを持ったシャフトに仕上がっています。

今までにない独自のフィーリングを備えた、まさに“新感覚”の中調子シャフトです。この重厚な押し込み感を、ぜひ皆様にも試していただきたいと思います。

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