岩本高志(11オーバー)——「ここ最近で一番叩きのめされた」

ホールアウト後の岩本高志
「もう満喫しましたね……。3パットが6回、4パット1回」。通算11オーバーで大会を終えた岩本高志は、グリーン上で味わった凄惨なほどの苦戦を自嘲気味に振り返った。この日だけで「10オーバー(80)」と大きくスコアを崩す、苦しい1日となった。
強風が吹き荒れる中、「途中で集中も切れておかしくなっちゃった」と語る通り、メジャーの猛威はベテランの精神力さえも削り取っていった。何よりも彼を苦しめたのはパッティングだ。「1.5から2メートルのパットすら入らない。これほどパターが入らないのは初めてです」と嘆くほど、グレンイーグルスのグリーンは難攻不落の要塞と化していた。
「アメリカのシニアとも違った難しさでした。ここ最近では一番叩きのめされましたね」
メジャーの過酷なセッティングに、隠しきれない絶望感を露わにした岩本。だが、彼の言葉は決して下を向いて終わらない。
「でも、こういうのをバネにしてやらないとね。もう1回、日本に帰って何とか立て直して頑張ります」
完全に打ちのめされながらも這い上がることを誓うその目には、確かな闘志が宿っていた。
横田真一(7オーバー)——「午前中に立て続けの3パット…あと2〜3打」

地元の少年からサインをねだられ笑顔で応じる横田真一
一方、通算7オーバーでフィニッシュした横田真一は、予想されたカットラインに対して「2〜3打足りない感じ」と、あと一歩及ばなかった悔しさを静かに滲ませた。
吹き荒れる風の中にあっても、ショット自体は「まあまあ普通かな」と一定の手応えを感じていたという。しかし、彼もまたグリーン上で魔物に魅入られてしまった。
「午前中に立て続けに3パットをしてしまったのがね……」
風の影響と繊細なタッチが同時に要求されるメジャーのグリーンにおいて、ほんの僅かな狂いが致命傷となってしまったのだ。
それでも、ラウンド後の横田の表情には清々しさが漂っていた。
「なかなか、ここまで本気でゴルフをすることはなかったから、良かったです」
酸いも甘いも噛み分けてきたベテランが、異国のメジャーという極限の舞台で真剣勝負を堪能した充実感。それは彼に新たなモチベーションをもたらした。
「これで日本に帰って、国内ツアーで最後上位3位に入って、賞金ランクで頑張りたいね」
彼の視線はすでに、明確な次なる目標へと真っすぐに向けられている。
谷昭範(11オーバー)——「練習ラウンドが全く意味なかった(笑)」

メジャーの洗礼を浴びた谷昭範だが、しっかり前を向いていた
ウェイティングからの繰り上がりで、奇跡的にメジャー出場への切符を掴み取った谷昭範。しかし、2日目も「74」とスコアを落とし、通算11オーバーで彼の挑戦もまた幕を閉じることとなった。
試合本番のコンディションは、練習日とはまさに「別次元」だったという。「風がなく、グリーンも重かった練習ラウンドは全く意味がなかったですね(笑)」と、スコットランドの恐ろしい豹変ぶりを笑い交じりに振り返る。
「今日はまさに我慢大会。風とピンポジが難しい上に、グリーンが速くなって芝目が効いてきた」
しかし、急遽舞い込んだこの大舞台での過酷な経験は、彼の中で大きな炎を燃え上がらせたようだ。心が折れるどころか、「繰り上がりでまたこういうチャンスがあったら挑戦したいし、いろんな予選会にも出て、アメリカのチャンピオンズツアーにもチャンスがあれば出ていきたい」と強い意欲を燃やす。その海外挑戦の資格を得るためのステップとして、「日本のツアーで上位3人に入る」ことを当面の目標に掲げた。
傷だらけの挑戦者たちへ
予測不能な強風、速く複雑なグリーン、そして何よりメジャーという独特の重圧。彼らが全身で浴びた「メジャーの洗礼」は、決して甘いものではなかった。予選落ちという結果はほろ苦く、時には心がへし折られるような絶望を伴うものだったに違いない。
だが、傷だらけになりながらもがき苦しんだこの過酷な経験こそが、彼らをさらに強くする。岩本は底知れぬ悔しさをバネにして立ち上がり、横田は本気のゴルフのヒリヒリとした楽しさを再確認し、谷は次なる世界への野望を抱いた。
次なるステージ(国内ツアーや新たな海外挑戦)へと向かう彼らの歩みは、止まるどころか、ここからさらに加速していくはずだ。過酷なリンクスに散りながらも、プロゴルファーとしての誇りを胸に前を向く3人の日本人チャレンジャーたちの背中に、惜しみない拍手とエールを送りたい。
写真/大会提供
