イングランドのJCBゴルフ&カントリークラブを舞台に行われた「LIVゴルフ・UK」。最終日の18番グリーンで歓喜の雄叫びを上げたルーカス・ハーバートは、初日から一度も首位の座を譲らない完璧な「完全優勝」を果たした。
画像: 優勝を決めたウィニングパット後に大きなガッツポーズを決めるルーカス・ハーバート

優勝を決めたウィニングパット後に大きなガッツポーズを決めるルーカス・ハーバート

記録ずくめの1週間。「30アンダー」とハットンの絶望

2位に3打差をつけて最終日をスタートしたハーバートは、後続からのプレッシャーを受けるどころか、さらにアクセルを踏み込んだ。最終ラウンドで叩き出したスコアは「62(10アンダー)」。4日間のスコアを「61-66-69-62」と並べ、終わってみれば2位に6打差をつける圧勝だった。

画像: 最終日「63」でラウンドしたティレル・ハットンでも追いつかなかった

最終日「63」でラウンドしたティレル・ハットンでも追いつかなかった

この日、地元イングランドのティレル・ハットンも、ボギーフリーの「63(9アンダー)」という猛チャージを見せていた。普通なら逆転優勝を果たしてもおかしくないスコアだが、それでもハーバートの背中には遠く及ばなかった。ハットンは「ロケットスタートを切る必要があって、自分は実際にそれができた。でも不幸なことに、ルーカスもそうだった。自分にこれ以上何ができたとは思えないのに、それでも彼は6打差で勝った。信じられないよ」と、ただ脱帽するしかなかった。

ハーバートが到達した最終スコアは「通算30アンダー」。これはLIVゴルフリーグにおける最少優勝スコアである。さらに、1大会における「最多バーディ数(30個)」、および「イーグルとバーディの合計数(32個)」でもリーグ新記録を樹立。 バーディとイーグルだけで、4日間で32個。まさにバーディラッシュという言葉すら陳腐に聞こえるほどの、記録ずくめの1週間だった。

デシャンボーも脱帽「トップ5に16打差、彼は無敵に見えた」

この圧倒的なスコアの凄まじさを最も肌で感じていたのは、同組の選手たちだろう。通算21アンダーまでスコアを伸ばし、単独3位に入った“飛ばし屋”ブライソン・デシャンボーも、この現実離れしたスコアの前には完全に白旗を掲げるしかなかった。

「自分でもチャンスを作るのに十分な、かなり良いプレーをしたと感じていたんだ。最終日に9アンダーや10アンダーなんてスコアが出るとは思わなかった。でも、ティレルとルーカスは、まるで彼ら独自のリーグでプレーしているようだったよ」

そう語るデシャンボーは、さらに驚愕のデータを口にし、驚きを隠せなかった。

画像: 白旗を挙げたブライソン・デシャンボー

白旗を挙げたブライソン・デシャンボー

「私は4位の選手に4打差をつけて3位。でも、ルーカスはトップ5の選手たちを16打差で破っている(※5位のA・アンサーらは14アンダー)。ゴルフの歴史でこんなことは今までなかったと思う」

そして、別次元のゴルフを展開したハーバートに対して最大級の賛辞を送っている。

「彼がプレーしているのを見ていたけど、ただ『無敵(invincible)』に見えた。私たちがチャンスだと思った瞬間に、彼はパットを沈めるか、ピンそばにピタリと寄せてくる。これほど圧倒的なパフォーマンスを見たのは、自分がグリーンブライアーで『61-58』を出した時以来だよ」

あの歴史的な「58」を叩き出したデシャンボーに「自分以来の衝撃」と言わしめた事実こそが、この30アンダーがいかに異常な大記録であるかを物語っている。

運をも味方につけた王者の余裕と「強心臓の裏側」

誰の目にも完璧に映った1週間だったが、大記録を打ち立てた本人は意外なほど冷静に、そして謙虚に自らのプレーを振り返っている。

「確かに本当に良いゴルフができた。でも、それと同じくらい良いバウンド(幸運)にもたくさん恵まれたんだ」

限界を超えたスコアを出す時、そこには必ずゴルフの神様の微笑みがある。

「例えば10番では左に引っ張ってしまったんだけど、ラフに落ちてからグリーンまで転がってくれてイーグルになった。6番のパー5でも、ほんの少し右に外せば大トラブルだったのに、ショートカットの内側の安全な場所に止まってくれたんだ」

ピンチが一転して大チャンスに変わる。そんなツキさえも味方につけていたことを明かしつつ、ハーバートは「良いバウンドが来た時に、そのチャンスを無駄にせずしっかり活かせたのが良かった」と語る。運を確実にスコアという結果に結びつける研ぎ澄まされた勝負強さこそが、彼を30アンダーへと導いたのだ。

しかし、無敵の王者にプレッシャーが無かったわけではない。

「プレッシャーに免疫があるように見えた」と記者から問われたハーバートは、人間らしい一面を明かした。

「それはうまく隠すトリックを使っただけだよ。コース上では間違いなく重圧を感じていた。でも、イーブンパーや1アンダーで逃げ切れる日じゃないことは分かっていたから、とにかく自分をプッシュし続けたんだ」

誰も手が届かなかった1週間、そしてチームも完全制覇へ

画像: チーム戦でもルーカス・ハーバートがいる「Ripper GC」が優勝した

チーム戦でもルーカス・ハーバートがいる「Ripper GC」が優勝した

先週の全英オープンでメジャーの激闘を演じ、自ら「トップ選手たちと渡り合える自信を得た」と語っていたハーバート。その言葉通り、彼は自信に満ち溢れたプレーで、名だたるトップスターたちを完全に沈黙させた。

さらに、彼の歴史的スコアに牽引される形で、キャメロン・スミスが率いる所属チーム「Ripper GC」も躍動。2位に4打差をつける通算52アンダーでチーム優勝を飾り、個人・チームともに完全勝利を成し遂げている。

写真/LIVゴルフ提供


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