
21歳のツアールーキーがPGAツアーで初優勝した(撮影/Getty Images)
こんにちは。SPORTSBOX AI 日本アンバサダーの北野達郎です。今回はPGAツアー「3Mオープン」で、プロ転向からわずか3試合目でPGAツアー初優勝の快挙を成し遂げたジャクソン・コイブン(以下、コイブン)の後方からのアイアンスウィングをスポーツボックスAIのデータとともに解説させていただきます。
今回はコイブンのスウィングの特徴から、以下の点に注目して解説します。
●胸の右側屈と体の回転が多いインパクトで、インパクトライがほぼ変わらない
アマチュアとの比較も盛り込んでいますので、最後までお付き合いいただければと思います。
それでは詳しく解説していきます!
アドレスとインパクトで、シャフト角度がほぼ変わらない
まずはコイブンのアドレスとインパクトを比較しましょう。「Shaft Angle DTL」(以下、シャフト角度)は、プレーヤー後方アングルから見たシャフトの角度を表します(プラスの数値が少ないほどフラット、プラスの数値が多いほどアップライト)。
コイブンのアドレスとインパクトを比較しますと、アドレスが50度でインパクトが51度と、アドレスとインパクトでシャフト角度がほぼ変わらないことがわかります。

画像1アドレス(左)とインパクト(右)の比較/アドレスとインパクトでシャフトアングルがほぼ変わらない
スポーツボックスAIが独自で調査した、インパクトでのシャフト角度の海外男子ツアーレンジは、プラス53度~プラス58度ですので、コイブンはツアープロの中でもインパクトでのシャフト角度のズレが少なく、手元の低いインパクトをするタイプであることがわかります。アドレスとインパクトでのシャフト角度の誤差が少なく、手元が低いインパクトは、インパクトライの変化の影響を受けにくいため、ショットや打点の再現性が高まります。
胸の側屈が同じでも、アマチュアとコイブンでは体の「回転」が異なる
続いて、アマチュアとコイブンを3Dアバターで比較してみましょう。画像左がアマチュア、画像右がコイブンの3Dアバターです。「Chest Side Bend」は、胸の左右への側屈角度を表します(以下、胸の側屈。マイナスは左に傾き、プラスは右に傾く。両肩のラインが地面と平行の状態を0度とします)。
まず、ここで注目していただきたいのは両者ともインパクトでの胸の側屈がプラス30度(右)で、全く同じ角度であることです。ちなみに身長はモデルのアマチュアが175cm、コイブンは178cmで、身長が比較的近い両者で比較しています。ただし、左のアマチュアの方は過度なインサイドアウトのスウィング軌道で、アイアンはダフリやフックといった傾向がありました。

画像2アマチュア(左)とコイブン(右)の3Dアバター比較/胸の右側屈角度は同じだが、胸と骨盤の回転角度が異なる
このアマチュアとコイブンの違い、それはインパクトでの体の「回転」にあります。「Chest Turn」は胸の回転角度(以下、胸の回転)、「Pelvis Turn」は骨盤の回転角度(以下、骨盤の回転)をそれぞれ表します(いずれもマイナスは右、プラスは左、両足首と平行のラインを0度とします)。
アマチュアの胸の回転がプラス21度、骨盤の回転がプラス24度に対して、コイブンは胸の回転がプラス27度、骨盤の回転がプラス38度と、いずれもコイブンのほうが体の回転は多くなっています。胸の右側屈が多くなる場合、体の回転が増えないとスウィング軌道はインサイドアウトの傾向が強くなります。
「右肩が下がってクラブが寝て下りてきた」あるいは「クラブが下から入ってきた」といった感覚の表現は、このアマチュアのケースが1つの例です。ですので、胸の右への側屈が多い場合は、同時に体の回転もより多く必要になります。コイブンのように前傾角度を維持した、手元が低いインパクトは「側屈」プラス「回転」が必要と解釈していただくと良いでしょう。
今回はジャクソン・コイブンの後方からのアイアンスウィングを分析しました。スコッティ・シェフラーや松山英樹選手などの猛追を退けて、プロ転向3試合目で初優勝を成し遂げました。これはプロ転向4戦目で初優勝したタイガー・ウッズの記録を超える快挙でした。華々しいデビューを飾ったコイブンの今後のプレーに注目しましょう!
