
AIG女子オープンで優勝した桑木志帆
記念すべき第1回は、海外女子メジャー「AIG女子オープン(全英女子オープン)」で見事な優勝を飾り、世界を制した桑木志帆プロのセッティングを完全再現! 今季ツアーでも【フェアウェイキープ率:75.1%(7位)/ドライビングディスタンス:247.46Y(20位)】という圧倒的な安定感と飛距離を両立している彼女の使用ヘッドは『ブリヂストン BX1 LS』、シャフトは『ディアマナBB 53(S)』。今回は、本人のフィーリングを左右するグリップの「イオミック スティッキー2.3」まで徹底的に再現した1本を準備した。
※桑木プロのスタッツは8/3現在のもの
試打環境はインドア、計測器はトラックマン4、計測用ボールは室内測定でも高精度に測定可能なタイトリスト「ProV1 RCT」ボールを採用

トラックマン4、タイトリスト「ProV1 RCT」を使用
「タメの強さ」と「9度×低スピン」で打つフェード

『ブリヂストン BX1 LS』、シャフトは『ディアマナBB53(S)』、グリップはイオミック「スティッキー 2.3」※プロはクラブを変える頻度が高いため、バランスは一般的なD2程度で試打
スペックを見てまず目につくのが、ロフト9度の浅重心・低スピン系ヘッドに、手元〜中間付近がしっかりしたシャフトという組み合わせだ。一見するとハードに映るセッティングだが、プロと編集部の間でひとつの仮説が浮かび上がった。
試打者/ほりこし・よしかず 試打経験に裏打ちされた豊富な知識と確かな試打技量で、大手メーカーのシャフトやヘッドの開発にも携わる。クレアゴルフフィールド所属
編集部:そういえば、昨日の「AIG女子オープン」での見事なメジャー制覇、本当にお見事でしたね!
堀越プロ:見ていて鳥肌が立ちました。山下美夢有に続く日本人の2年連続優勝はすごく嬉しいですね。
編集部:桑木プロといえば、切り返しでグッと手元のタメを作ってインパクトを迎えるような力強いスウィングが印象的ですよね。仮に手元のタメがかなり強いタイプだとすると、手元〜中元域に剛性感のあるシャフトは、振り遅れを防ぎつつ押し込みに負けないための選択なんですかね?
堀越プロ:それもあると思います。 ただ、これ本音で言うと、一般的なアマチュアが真似したらやけどするスペックかもしれません(笑)。ロフト9度の浅重心ヘッドに手元しっかりめのディアマナBBでしょう? ドローヒッターや、普段からスピン量が少なくて球が上がらないゴルファーが打ったら、ドロップして思ったように飛ばせない『激ムズクラブ』になっちゃいます。桑木プロならではの効率の良いインパクト条件があってこそのセッティングに思えますね。
編集部:50g台のSシャフトでスペックだけ見ると我々も使えそうですが、意外とハードなんですね…! 今回はヘッドやシャフトだけでなく、グリップのモデルやバックラインの位置まで本人仕様を忠実に再現しています。ちなみに、なぜフェードヒッターの桑木プロはあえてこの『ロフト9度の低スピンヘッド』を選んでいるんでしょうか?
堀越プロ:そう、今回はグリップの太さやバックラインまで完璧に再現されているから、握った瞬間にプロの本気度がビシビシ伝わってくるような緊張感がありますね(笑)。で、質問の件、そこが一番特徴的だと思います。 通常はフェードボールってドローよりもバックスピン量が多くなりがちなんですよね。彼女はあえてこの『ロフト9度×浅重心』の超・低スピンヘッドを合わせることで、フェードによるスピン増加を上手く相殺して、安定した距離を出しつつ飛距離のロスを抑えているはずです。アイアンみたいにやや上から(ダウン〜レベルで)叩きにいっても絶対に吹き上がらない安心感を求めているんじゃないかな。『左を消して、叩いても吹き上がらない』という、目的がすごくわかりやすいセッティングだと思います。
「左を消す意思がビシビシ伝わってくる」(堀越プロ)
編集部:実際に構えてみた印象はどうですか?
堀越プロ:うん、構えた瞬間に『狙い』がはっきり伝わってきます。まずヘッドの据わりがすごく良くて、やや逃げ顔。つかまりすぎる顔をしていないから、左に巻き込む怖さが一切なくて、思い切って左へ振り抜ける感覚がありますね。ただ、逃げ顔な分右へのスライスで悩んでいる人が構えたらイメージが湧かないかもしれません(笑)
編集部:シャフトとグリップはどうですか?
堀越プロ:『ディアマナBB』は手元側がしっかりしていて、インパクトにかけてスムーズにしなり戻る。先端が硬いから球を上げすぎない特徴があるように思えます。そしてこのイオミックのグリップ! 適度な太さとバックライン(リマインダー)があることで、手元が無駄にクルッと回るのを防いでくれる。『絶対に左へのミスを消すんだ』という桑木プロの強いこだわりが手元からビシビシ伝わってきますね。これは打つのが楽しみです!
実際に試打を開始!
まずは堀越プロの持ち球のドローで試打を開始。
堀越プロ:じゃあ、まずは僕のいつものドローで打ってみますね…。うわっ、やっぱり! 見てこれ、スピン量が1700rpm前後まで落ちちゃった(笑)。ヘッドの低スピン性能が勝ちすぎて球が上がりきらない! やっぱりドローヒッターがいつも通り打つとドロップしそうなスピン量になってしまいますね。
編集部:本当ですね、キャリーがあまり出ていない…。では、桑木プロのような『フェードイメージ』で振ってみたらどうでしょう?
堀越プロ:よし、フェードを意識して振ってみますね…! おお、すごいね これ! めちゃくちゃ良い球がでましたね。
一般的なアマチュア男性ゴルファーを想定し、平均ヘッドスピード42m/s前後で試打
※10球試打したうちの平均値を算出
●キャリー/218.9Y
●総飛距離/247.4Y
●ボール初速/61.8m/s
●打ち出し角/12.3度
●スピン量/2390rpm
堀越プロ:見てくださいこの数値! 10球平均でボールスピード62m/sに近く、総飛距離は247.4ヤード! フェード気味に振ったことで打ち出し角が12.3度と適正に入って、バックスピン量も2400rpm前後で、非常にコントロール性能が高いように思えますね。ややカット目に打っても全然吹き上がらないし、フェースにボールが分厚く乗っている感触が素晴らしい! コントロール性が高くて、狙ったところに運べるような安心感がありますね。
堀越プロの総評

今回の桑木プロのセッティングは、誰にでも使えるような万能クラブではないけれど、『強いタメがあって左を消したいフェードヒッター』にとってすごくハマりそうなスペックです! 思い切って叩きにいっても左に行きずらく、芯を外しても吹き上がりませんね。だからこそ、フェードでドローと変わらない飛距離が稼げているんだと思います。フェアウェイキープ率7位、飛距離20位という素晴らしい成績にも納得です!
しかし、ドローヒッターやスピン不足の人がそのまま真似するとドロップしてしまうリスクがあるので注意してください。もし真似するなら、あえて『気持ちフェード気味・わずかにカット目』に振り抜いたり、もしくはドライバーのロフト角を10度台にしてみても良いかもしれません。
自分のスウィングタイプをしっかり見極めて試してみてくださいね!
桑木プロ、海外メジャー「AIG女子オープン」優勝おめでとうございます!次回の女子プロセッティングもお楽しみに!
協力/トラックマン株式会社、ブリヂストンゴルフ、三菱ケミカル株式会社、クレアゴルフフィールド

