幸運を引き寄せる「自分の流れ」と完璧なデータ
過酷なリンクスコースで、なぜこれほどのスコアを叩き出せたのか。ラウンド後の会見で好スコアの要因を問われたティティクルは、驕ることなく、リンクスの神様への感謝を口にした。
「もちろんいくつか良いショットは打てたけれど、ポットバンカーを運良く越えてくれるラッキーなバウンドもありました。自分の流れが来ている時は、本当にすべてが自分の思い通りになるんですよね」
メジャーの極限の緊張感の中で、彼女は不運を恐れるのではなく、訪れた幸運を素直に受け入れ、自らの推進力へと変えていた。「今日はパットも本当に良かった」と笑顔で語るように、この日の彼女はパーオン率でフィールド単独トップの約89%(16/18)を記録しながら、パット数もわずか「27」に抑えるという完璧な内容だった。さらにフィールド最多のバーディを奪い、フロントナインで叩き出した「31」は、彼女のメジャーにおけるハーフ最少スコア記録でもある。
コース内に無数に潜むバンカーについても、「今日はフェアウェイバンカーには一度も入れず、グリーンサイドのバンカーに2、3回入っただけ」と語る通り、過酷な罠を徹底して避けるマネジメントの高さも光った。研ぎ澄まされた技術と、運をも味方につける底抜けにポジティブなメンタリティが、歴史的なビッグスコアを引き寄せた大きな要因である。

初日を7アンダーの「64」でホールアウトしたジーノ・ティティクル。2位タイのユ・ヘラン、桑木志帆との差は2打差
メジャー特有の重圧と「15歳の自分」との戦い
若くして常にメジャーで上位争いを演じてきた彼女にとって、メジャー大会は「精神的にも肉体的にも自分のゲームをテストする場」だという。誰もがその重圧に苦しむ中、彼女が今大会でプレッシャーをコントロールするために設定した独自のモチベーションがある。
それは、他の誰に勝つことでもなく、「2018年に15歳のアマチュアとしてこのコースでプレーした自分自身」に勝つことだ。
当時、彼女はアマチュアとしてただ一人予選を通過し、見事ベストアマチュアに輝いている。ただ出場しただけでなく、すでにローアマを獲得するほどの実力を持っていた「過去の優秀な自分自身」と比較し、「あの頃の15歳だった自分よりは成長しているはずですから」と語った彼女は、極めてシンプルにこう言い切った。
「私の戦略は、ただ一つ。15歳の時の自分のスコアを打ち負かすこと。それだけです」
リーダーボードにひしめく強力なライバルたちの動向ではなく、純粋に過去の自分自身にフォーカスする。この達観した思考法こそが、メジャー特有の重圧から彼女を解放し、目の前の1打に深く集中させているのだ。
メジャー初戴冠への期待

イングランドでもジーノ・ティティクルの人気は高くファンサービスにも熱が入る
これまでのキャリアで、メジャー大会で幾度となく上位に名を連ねながらも、あと一歩のところでビッグタイトルには届いていないティティクル。しかし、確かな成長を続ける彼女に焦りの色はない。
「トロフィを勝ち取れるかどうかは自分ではコントロールできません。でも、毎日コースを打ち負かす(アンダーパーを出す)ことができれば、リーダーボードの上位にいるチャンスは十分にあるはずです。いつか私の時が来れば、それはきっと今までにないほど甘美なものになるでしょう」
運を味方にし、過去の自分を超えようと静かに闘志を燃やすジーノ・ティティクル。歴史的なスタートダッシュを決めた彼女が、悲願のメジャー初戴冠に向けてどのようなゴルフを見せてくれるのか。彼女の「甘美な時」が訪れるのは、もうすぐそこまで迫っているのかもしれない。
写真/R&A提供
