30度を超える炎天下での夏のラウンド。流れる汗とともに、身体からは知らず知らずのうちに「鉄分」が奪われている。前回のPart1では、夏の「鉄不足」はスタミナ切れや原因不明の疲労を引き起こす見えない敵であることが分かった。失われた鉄分をどう補うか。今回は日本の鍛造アイアンの発祥地・兵庫県神崎郡市川町が生んだ、毎日の生活に自然と溶け込む鉄分補給の“相棒”を紹介しよう。

前回のお話はこちら⇩

画像: 「バリ」から生まれた鉄玉子、その名も「metl.egg(メトルエッグ)」(写真左)

「バリ」から生まれた鉄玉子、その名も「metl.egg(メトルエッグ)」(写真左)

世界に誇れる鍛造技術を、生活の一部へ

画像: アイアンヘッドを型抜きした後に残る「バリ」が今回の主役

アイアンヘッドを型抜きした後に残る「バリ」が今回の主役

舞台は日本の鍛造アイアン発祥の地、兵庫県神崎郡市川町。軟鉄鍛造の技術が息づくゴルフの聖地で、新しく産声を上げたのは「metl.egg(メトルエッグ)」と名付けられた「鉄玉子」だ。

市川町出身の岡本勇路氏は、2026年5月に株式会社Tradge(トラッジ)を創業し、鍛造技術を生かした鉄のライフスタイルブランド「metl.(メトル)」を立ち上げた。本プロジェクトは、岡本氏の「世界に誇れる技術(鍛造技術)を、未来につなげたい。より多くの人に届けたい」という強い思いから生まれ、記念すべき第一弾として手掛けたのが、この「鉄玉子」の開発だった。

着目したのは、アイアンヘッドを型抜きした後に残る「バリ」。良質な軟鉄だが、従来はスクラップとして安価で引き取られる廃材だった。「この鉄に新たな命を吹き込めないか」。地元でアイアンヘッドを製作している2社のメーカーと出会い、話し合いを重ね日常的に鉄分補給ができる鉄玉子へと再生することになった。

画像: 株式会社Tradge(トラッジ)の代表取締役・岡本勇路さん(右)と、共栄ゴルフ工業・鈴木博貴さん(左)

株式会社Tradge(トラッジ)の代表取締役・岡本勇路さん(右)と、共栄ゴルフ工業・鈴木博貴さん(左)

「初めてアイアンヘッド以外の制作に挑戦することになりました。『鉄玉子』の一番の推しポイントは、やっぱり“岡本さんの思い”ですね。他の場所でも作れるかもしれないし、そっちのほうがイイものかもしれない。それでも“市川町で”という部分にこだわる、若者の“情熱”と“行動力”に共感してもらえたら、私も嬉しいです」(鈴木)

僕はこの“市川町”が大好きなんです。

作りたくても作れない。いいものなのに売れない。憤りすら感じてしまうのが、日本のものづくりの現状です。そのなかで伝統技術を100年先まで受け継いでいくために、僕ができること、やりたいことは、大好きな生まれ故郷である市川町のものづくりを、よりたくさんの人に届けることでした。

作り手さんはもちろん、伝え手の僕らも、使い手の方もみんながハッピーになれる、そんな世界を目指したいですね。そのためには“ちゃんと儲かる”必要がある。儲かることだけ考えたら、大量生産という選択肢もある。けれど、それが果たして幸せなのか?ーー今の僕の答えは『適切な量を適切な価格で、適切な人たちにお届けする』ことです。ここを大事にして、作り手ではない“伝え手”だからこそできる事業を展開していきたいと思っています。(岡本)

老舗「共栄ゴルフ工業」と「藤本技工」の協業

画像: 岡本さんの案内で、「鉄玉子」の第一の製作現場「共栄ゴルフ工業」にお邪魔させてもらった

岡本さんの案内で、「鉄玉子」の第一の製作現場「共栄ゴルフ工業」にお邪魔させてもらった

この鉄玉子の魅力は、そのバックグラウンドにある。なぜなら一度は耳にしたことがある老舗鍛造メーカー、「共栄ゴルフ工業」と「藤本技工」の協業によって作られているからだ。

製造工程は、まさにアイアンヘッドそのものだ。

画像: ~「バリ」が「鉄玉子」になるまで~ 【共栄ゴルフ工業】①アイアンヘッドをくり抜き残った「バリ」を成形しやすい大きさにカットする。②専用の型をセットしてプレス。平らにする。③余分な部分をカットして、大まかに形を整える(写真)

~「バリ」が「鉄玉子」になるまで~
【共栄ゴルフ工業】①アイアンヘッドをくり抜き残った「バリ」を成形しやすい大きさにカットする。②専用の型をセットしてプレス。平らにする。③余分な部分をカットして、大まかに形を整える(写真)

画像: 共栄ゴルフ工業から【藤本技工】へ。④鉄玉子の形に、表面がなめらかになるまで研磨。⑤レーザー彫刻を施して完成。1日に20個制作予定だ

共栄ゴルフ工業から【藤本技工】へ。④鉄玉子の形に、表面がなめらかになるまで研磨。⑤レーザー彫刻を施して完成。1日に20個制作予定だ

共栄ゴルフ工業が切り出したバリを集め、何トンもの力でプレスして鉄玉子の形へと再成型する。そして、そのバトンを受け取った藤本技工が、熟練の技で表面をなめらかに研磨し、最後にレーザー彫刻を施して仕上げる。

2つのメーカーが手を取り合い、1日に作れるのは平均20個程度で大量生産はできない。だがギアにこだわるゴルファーには、この職人技術の素晴らしさと、そこから生まれる鉄玉子の「特別感」が伝わるはずだ。

アイアンを育てるように、身体をケア

画像: まだ試作段階の「metl.egg」。9月中旬~下旬ごろから「Makuake」にてクラウドファンディングを実施予定

まだ試作段階の「metl.egg」。9月中旬~下旬ごろから「Makuake」にてクラウドファンディングを実施予定

鉄玉子の使い方はとてもシンプル。湯沸かしや炊飯時に“一緒に入れるだけ”だ。

岩手県の伝統工芸品として生産される鉄玉子は「鋳造(型に鉄を流す製法)」で作られているが、本品は「鍛造」から生まれたもの。鉄を瞬時に叩き潰すことで金属の密度が均等に詰まり頑丈になるため、サビが崩れ落ちにくく長く愛用できることが特長だ。そして、熟練技によって成型された「metl.egg」はスタイリッシュで美しく、日々の暮らしの空間に溶け込んでくれるのもまた嬉しい個性だ。

使用後は毎回水をふき取り乾燥させることで、サビを防ぐことができ、さらに長持ちするという。少し手間をかけて鉄を“労わる”感覚は、愛用の軟鉄鍛造アイアンを手入れする喜びにどこか似ているかもしれない。

アイアンの端材から生まれ、ゴルファーの身体を内側から支える存在へ。市川町の職人たちの想いが結集して生まれた「鉄玉子」は、ゴルフを愛する者にとって至高の名品となるはずだ。

【商品詳細】
●商品名:「metl.egg」
●価格:5500円(税込み、現時点)
●販売方法:応援購入サービス「Makuake」にてクラウドファンディングを実施予定
●販売開始予定:9月中旬~下旬ごろからスタート
●情報公開:公式SNS(Instagram、LINE)にて発信予定
●推しポイント:鍛造アイアンを手掛ける老舗メーカー「共栄ゴルフ工業」と「藤本技工」との協業によって生まれる質感、表面のなめらかさに注目。鍛造独自の平たく成形された鉄玉子は、日常生活の空間に溶け込むスタイリッシュさを兼ね備えており、穴にフックなどを通せばちょっとしたインテリアとしてキッチンを彩るはず。


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