最終18番のバーディパットがもたらした「逆転の称号」
最終18番ホール、コルダが沈めた長いバーディパットは、単なる順位アップや賞金の上積み以上の、極めて重要な価値を持っていた。
今大会の裏で行われていたのが、今季のメジャー全5戦を通じて最も優れた成績を残した選手に贈られる「ロレックス・アニカ・メジャーアワード」のポイント争いだ。この栄誉ある「年間メジャー最優秀選手」のタイトルを手にするため、コルダと、直近のメジャー2連勝中で今大会も首位争いを演じていた韓国のユ・ヘランが、熾烈なデッドヒートを繰り広げていたのである。
ポイントランキングはコルダがわずかにリードして最終戦を迎えていたが、ヘランの成績次第では逆転される可能性も十分にあった。迎えた最終18番、コルダは自らの手で「トップ5」をもぎ取るための長いバーディパットを残していた。極限のプレッシャーの中、世界1位のパターから放たれたボールは見事にカップへと吸い込まれ、彼女を4位タイへと押し上げた。
この劇的な1打により、コルダは猛追するヘランをスコアでも完全に上回り引導を渡した。2024年に続き自身2度目となる、2026年「ロレックス・アニカ・メジャーアワード」の称号を、文句なしの形で勝ち取ったのだ。
【動画】ネリー・コルダ、「メジャー年間女王」を手繰り寄せた72H目のバーディパット【AIG女子OP公式X】
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x.com敗れてなお光る、メジャー覇者の健闘
一方、コルダの魂のパットによって、土壇場でアワードを奪われる形となったユ・ヘラン。2日目まで首位を走り、「メジャー3連勝」という歴史的偉業すら射程圏内に捉えていた彼女だったが、最終日はロイヤルリザムの容赦ない強風とタフなセッティングに苦しめられた。
それでも、メジャー覇者としてのプライドを胸に崩れ切ることなく踏みとどまり、通算1アンダーの6位タイでフィニッシュ。コルダにわずか1打及ばずタイトルを逃したものの、ラウンド後の会見に現れたヘランの表情に悲壮感はなかった。むしろ、すべての重圧から解放された充実感あふれる笑みを浮かべて、こう語った。
「みんなから『メジャー3勝目や、ロレックス・アニカ・アワードはどう?』と聞かれ続けていて、本当に接戦でした。でも、私はトップ10で終えられただけで本当に幸せなんです。心配はしていません。やっと終わったので、家に帰って自分のベッドでゆっくり休みたいですね」
過酷なリンクスでの死闘を終え、トッププロが見せた等身大の素顔。今季メジャー2勝という素晴らしいシーズンを送った彼女の健闘もまた、大いに称賛されるべきだろう。
過酷なメジャーシーズンを終えて

アムンディ・エビアン選手権ではまさかの予選落ち。そしてAIG女子オープンも初日「73」の53位タイと出遅れたが、最終的には4位タイとしっかり上位フィニッシュしたネリー・コルダ
今大会では、初日に大会最少スコア「64」を叩き出し、最終的にコルダと同じく通算2アンダーの4位タイで終えたジーノ・ティティクルの活躍も光った。世界トッププロたちが、それぞれの意地と誇りをぶつけ合った今季のメジャーシーズン。
その集大成となる大舞台で、最後の1打まで諦めずにバーディを奪い、「年間メジャー女王」の称号をもぎ取ったネリー・コルダ。今季の彼女は「シェブロン選手権」と「全米女子オープン」で2勝を挙げただけでなく、今大会の4位タイを含め、実に「出場したメジャー全5戦の半数以上でトップ5入り」という圧倒的な数字を残した。最後の1打で見せた土壇場の勝負強さは、まさに絶対女王の凄みそのものだった。
数々のドラマと過酷な試練を与えてくれた今年のメジャー大会。限界に挑み、最後まで戦い抜いたすべての選手たちに、心からの拍手を送りたい。
写真/R&A提供
