シーズン最終戦である「チーム選手権」の開催について、マーティン・カイマーが「開催の可能性は5%しかない」と発言したことが波紋を呼んでいる。ニュージャージー州のトランプ・ナショナルGCで開催される「LIVゴルフ・ニューヨーク」の開幕前会見。オーストラリア勢で構成される「Ripper GC」の面々に対し、メディアからその真偽を尋ねる鋭い質問が飛んだ。

キャメロン・スミスが明かした「PGAツアー復帰」への本音

「チーム選手権」の開催について、Ripper GCのキャプテンであるキャメロン・スミスは「(5%という数字の真偽は)よく分からないが、自分たちは開催されると信じて準備するよう指示されている。昨年は大成功を収めたし、今年もまた開催されることを願っている」と前を向いた。

チームメイトのマーク・リーシュマンも、チーム選手権の存続を強く望む一人だ。 「個人戦ではあまり緊張しない自分でも、チーム戦の重圧は別格なんだ。2年前(2024年)にダラスで開催されたチーム選手権の土曜日、4フィート(約1.2メートル)のパットを打つ時、腕の感覚がなくなり、心臓の音が聞こえるほどの痺れるようなプレッシャーを味わった。チームのために戦うプレッシャーは、本当に楽しいものなんだ」

個人戦にはない「チームのために打つ1球の重み」こそが、LIVゴルフの最大の醍醐味だと力説した。

来季以降のLIVゴルフの存続自体が不透明な中、スミス自身の契約は来年末(2027年)まで残っている。もしLIVがなくなった場合、PGAツアーに復帰する意思はあるのか。そう問われたスミスは、包み隠さずに自らの本音を吐露した。

「私はポジティブな性格なので、他の選択肢を探すような動きは一切していない」と前置きしつつも、彼はこう続けた。

「もしそれ(PGAツアー復帰)が『唯一の選択肢』になるのであれば、間違いなく誰もがそこに戻りたいと思うはずだ。100パーセントね。昔の時代に戻るだけさ」

メジャー覇者であり、LIVの看板選手の一人であるスミスのこの発言は、非常にリアルだ。LIVでのプレーを楽しみ、チームを愛している一方で、プロゴルファーとして最高峰の舞台に立ち続けるためには、もしその時が来れば(現状では即時復帰は不可能だが)かつての主戦場であるPGAツアーへの復帰を望むことになるだろうという、プロとしての極めて現実的で切実な本音を覗かせている。

母国ゴルフへの貢献と、それぞれの「プランB」

スミスがLIVの存続を強く願う理由は、自身のキャリアだけではない。

「私たちがオーストラリアのゴルフ界に貢献してきたことは、私にとって非常に重要なんだ。ジュニア育成プログラム『リトル・リッパーズ』や地元大会など、私たちの活動を通じて、オーストラリアのゴルフ人口や社会的な関心は確実に増えている。それがすべて失われてしまうのは、本当に悲しいことだ」

LIVの顔として母国のゴルフ発展に尽力してきたからこそ、その火を絶やしたくないという強い使命感がある。

しかし、プロの世界は厳しい。不測の事態に備え、チームメイトたちは水面下で動き始めている。直近4戦でワイヤー・トゥ・ワイヤー(完全優勝)による2勝を挙げ、年間ポイントランキング3位に急浮上した超新星ルーカス・ハーバートは、「マネジャーが必要な情報収集や会話を行っている。プロゴルファーである以上、どこかでプレーし続けなければならない。ただ、私の第一希望は、選択肢がある限りLIVでプレーし続けることだ」と明かす。

さらにトラビス・スミスも、「私には約4つのツアーの出場資格がある(日本、豪州、アジアンなど)から、『プランA』はLIVでプレーすること。それがダメなら、過去8年間やってきたように世界中のツアーを飛び回る『プランB』で行くだけさ」と、生き残りをかけたリアルな姿勢を示した。

「伝説の地」ベドミンスターと「Punch GC」の思い出

画像: 左からマーク・リーシュマン、キャメロン・スミス、ルーカス・ハーバート、トラビス・スミス

左からマーク・リーシュマン、キャメロン・スミス、ルーカス・ハーバート、トラビス・スミス

将来の不透明感に囲まれながらも、チームが笑顔を失わない理由は、現在彼らが「リーグで最も波に乗っている」という絶対的な自負があるからだ。Ripper GCは直前の「LIVゴルフ・UK」で、チーム優勝と個人優勝(ハーバート)を同時に果たす「完全制覇(スイープ)」を達成したばかり。スミスも「ハーバートは今、世界で最もホットなゴルファーのトップ5か10に入る」と絶賛する。現在、年間チームランキングでも首位4Aces GCを3ポイント未満の僅差で猛追する2位につけており、年間王者奪還へ視界は良好だ。

しかも今回の舞台「トランプ・ナショナルGC・ベドミンスター」は、Ripper GCにとって「伝説の地」でもある。前回ベドミンスターで開催された2023年大会では、スミスが個人戦でLIV史上最大差となる「7打差」で圧勝し、同時にRipper GCがチーム史上初となるチーム戦優勝を果たした思い出の場所なのだ。

スミスも「良いプレーができた場所に戻ってくるのはいつだって素晴らしい気分だ。フェアウェイを確実に捉え、優れたスクランブリング(寄せ)が必要になる非常にタフなコースだが、僕たちオーストラリア人はタフなコースが好きだから、戻るのが待ちきれない」と自信をのぞかせる。

このコースは名匠トム・ファジオ設計で、全長7651ヤード(パー71)とリーグ2番目の長さを誇るモンスターコース。フェアウェイとグリーンにはベントグラス、そして選手を苦しめる強力なラフにはケンタッキーブルーグラスが採用されている。リーシュマンも「すべてのティーショットでフェアウェイを外すと、坂道で水を押し上げているような絶望感を味わう」と気を引き締める。

実は、スミスやリーシュマン、トラビス・スミスらは、LIV初期の2022年大会で「Punch GC」というチーム名でこのベドミンスターを共に戦った旧知の仲だ。会見で「今でも『Punch』のロゴが入ったアパレルを持っているか」と問われると、トラビス・スミスは「自宅のクローゼットの奥に帽子を20個ほど保管していて、今頃は蛾が湧いているかもしれない(笑)」と笑いを誘い、リーシュマンも「1個だけ取ってある。すぐ汗臭くなるだろうけどね」と乗っかるなど、現在のRipper GC(オーストラリアスラングで『最高な奴ら』の意)へと進化を遂げた深い絆を垣間見せた。

チームの絆を胸にタフなコースへ挑む

LIVゴルフの来季スケジュールなど、自分たちではコントロールできない不確定な未来に囲まれながらも、彼らの足元は決してブレていない。

「このチームは、互いをより良いゴルファーにし、より良い人間にしてくれる。このチームがなくなってしまうのは本当に嫌だね」とスミスは語る。

LIVゴルフの未来がどうなろうとも、彼らがともに過ごした時間と、チームとして築き上げた絆は決して消えることはない。不透明な状況の中でも、オージーたちは今、目の前にある一戦に全力を注ぐため、最高の勢いと笑顔でニューヨークのタフなコースへと飛び出していく。

写真/LIVゴルフ提供


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