こんにちは、上原彩子です。私は今、イングランドにいます。LET(欧州女子ツアー)は今週、ロンドン近郊のセンチュリオンクラブで「PIFロンドン選手権」が行われます。
さて、まず話を2週間前に戻して、米LPGAとの共催試合「ISPS HANDA スコットランド女子オープン」に関してのご報告です。コースはやはり、地面がガチガチに硬くてかなり難しかったです。初日は強い風が吹いていましたが、10番スタートで、ここから3ホールはフォローの風だったので、しっかりバーディを取っていい流れを作っていこうと考えていました。10、11、12番でチャンスには付けるのですけどパットを決めきれなくて……。13番はアゲンストになり難しいホール。確実にパーを取りたいと考えていましたが、グリーン周りのバンカーに入れてしまい、それでも、上手く寄せてパーセーブできた。でも、流れには乗れず、その後ボギーを重ねてしまいました。やはり最初の取るべきところで取れなかったのが響いてしまいましたね。

ロンドンでタイのトリチャット(隣は旦那さん)と練習ラウンド。「私は40代ですけれど、モチベーションは切れていない。勝負にこだわって、頑張ります!」
2日目は風が弱くなったのですが、自分のジャッジミスで池に入れてしまったり、ポットバンカーに入れてダボにしてしまったり、結局4日間プレーできなくて残念な結果で終わってしまいました。でも、久しぶりの米LPGAとの共催試合で、雰囲気を感じることができましたし、昔からの友だちにも会えて、勝負に対しての姿勢を改めて学ぶことができましたね。
コ・ジンヨンと2日間プレーしたのでいろいろな話をしましたが、多くの選手が、長くやっていると一度はモチベーションが落ちて元気なくなり成績も出なくなるなかで、どうやってモチベーションを保つかで葛藤しているのだと。前にチョン・インジやヤニ・ツェンとプレーしたときも感じましたけれど、一時期はすごい勢いだったジンヨンも今はなかなか結果につながらない。でも、皆そういうなかで自分と向き合いながら、もがきながら戦っている。そういう姿を見たり話をして、すごく刺激を受けました。
プロの勝負の世界では、結果がすべて。もちろんプロセスも大事ですけど、勝たないと……周りには成績しか見えません。私も長く現役でプレーしていることもあって、彼女たちと自分を重ね合わせて、またいろいろと考えるきっかけをもらえました。ゴルフって精神的な部分が大きいので、これから続けていくうえでも、気持ちの持っていき方が必要になってくる。これからもより自分自身のゴルフとも向き合っていきたいと思えた試合でした。そしてまたチャンスがあれば、米LPGAにも出たいと本気で思いました。
さて、予選落ちした後の土曜日は会場で練習をして、日曜日はAIG女子オープンのマンデーのための練ランをしました。予選会のコースの難易度はそんなに高くなかったのでバーディ合戦になると予想してはいましたけど、1番でセカンドショットをカップインしてのイーグルスタートだったんです。それにもかかわらず、難しく、パーでしのぎたいホールでスコアを落としてしまい、その後もボギーだけが重なってしまいました。予選会がダメだったので、AIG女子オープンの会場のロイヤルリザム&セントアンズには入れませんでした。予選会の会場で練習させてもらいたかったのですけど、皆同じ考えだったようで……。私1人だけ許可はできないということで、近くのゴルフ場を探して練習グリーンを使わせてもらいました。

AIG女子オープンの予選会に出場した彩子。「イーグルスタートだったんですけれど……それにしても、日本人選手たちの活躍はすごいですね!」
ブラックプールの町に宿泊しましたが、そこの海沿いを走ったりもしましたね。2018年に同じコースで行われた全英リコー女子オープンに出場するために一度、この町に来たことはありますが、今回、街の雰囲気が変わっていることにびっくり。治安が悪くなっていて、ケープタウンを思い出してしまいました。すぐにも犯罪が起こりそうだし、危ない感じの人もたくさんいたので、町中は避けて走りに行きました。コロナをきっかけに変わったのかもしれないですね。
そんなわけで、AIG女子オープンはテレビも見られなかったので、インスタグラムなどで要所のプレーしか確認できませんでしたが、すごいですよね、日本人選手。また勝っちゃった! 桑木(志帆)選手とプレーオフしたドイツのエスター・ヘンセレイト選手も最終ホールでめっちゃ長いパットを入れて、あのプレーもすごかったけれど……昨年は(山下)美夢有ちゃんが勝って、また今年は桑木選手が勝って、2年連続はすごいことです。

AIG女子の週は、海沿いを走ったり、近くのコースでパッティング練習したりしてすごした。「本当にいろいろな選手から刺激をもらっています」
ちなみに、桑木選手のことはあまり知らないんです。エビアンの解説のときに名前を知りました。でも以前の私は、AIG女子が一番日本人選手に優勝のチャンスがあると思っていました。地面が硬いから転がるので、そこまで飛距離の差は感じず、マネジメントで勝つチャンスを作れるなと思っていましたから。でもよく考えると今は皆飛びますし、キャリーで大きなボールも打てるので、もうどの大会でも、どこのコースでも勝てるようになっているんですよね。
それにしても、本当に多くの日本選手が活躍することによって、完全に“枠”が外れましたよね。「自分にもできる」「誰にでもチャンスはある」と思えるようになった。そうすると強い選手がどんどん出てきます。今回の桑木選手の優勝を日本で見ていた選手たちもまた、「彼女も勝ったし、他の選手も米LPGAで活躍しているし、自分にもできる」と思ったはずです。
枠というものが一度外れたら、どんどん流れるようになります。昔の私たちはすべて手探りでやっていましたけど、今は皆、寄り道もせずに真っすぐ世界へ向かっていく。それに昔は、選手の心技体すべてを一人のコーチが全部見ていたけれど、今は、技術コーチ、アプローチコーチ、パッティングコーチ、メンタルトレーナーなど、チームで作り上げていきます。海外選手のようになってきました。
また、キャディさんの力も大きいかもしれません。桑木選手のバッグを担いでいた小田(亨)さんは、男子はもちろん(有村)智恵ちゃんなど女子のバッグも担いできたベテラン。エビアンやスコットランド女子オープンを見ていても感じましたけど、選手に入れ替わりはあっても、キャディさんたちはずっと現場にいて、すごくたくさん経験して、また次の選手に還元できる。いろんな場面で一緒に選手とともに経験をしますから。それを次の世代の選手に伝えていく役割も担っているんだと思います。
(宮里)藍ちゃんがアマチュアで華々しく優勝して新しい時代になり、その後も勝みなみちゃんなどのジュニアがプロの試合でアマチュア優勝し、時代は変わってきました。昨日の練ランで、南アフリカのリーアン・ペースと回りました。彼女も今45歳で、すごくがんばっています。ベテランと言われる、同じ年代でがんばっている選手がいると力をもらえますし、時代は変わっても、若い選手のなかでもさらにがんばりたいと思えます。それに、こういうことができるのがゴルフというスポーツですし、ゴルフの魅力だと思います。他のプロ競技ではなかなかできないことですから。
さてロンドンの試合は、昨年もプレーしたコースで行われます。ここも同じように風が強くてリンクスっぽい感じ。今年は2カ月雨が降っていないらしくて、地面はだいぶ硬いです。難しいけれどバーディ合戦になるコースだとは思いますから、チャンスはしっかり取って流れに乗りたいですね。
今週は一軒家を借りて参戦しています。いつもと変わらずスーパーで買い出しして自炊の日々。おにぎりやパンを作って、試合に持っていったりもしています。そのおかげか、体調はよいです。
イギリスの後、来週はスイスで試合に出たら、1週間空いて、その後はアイルランドです。いよいよ終盤戦になってきます。目の前の一打に集中して頑張っていきたいと思います!
写真/本人提供


