酷暑の中で幕を開けた「LIVゴルフ・ニューヨーク」。難コースとして知られるトランプ・ナショナルGC・ベッドミンスターで、日本人で唯一同リーグに出場しているワイルドカード枠の浅地洋佑が、5バーディ・4ボギーの「70(1アンダー)」で回り、堂々の10位タイで初日を終える健闘を見せている。そして、激戦必至のリーダーボードの頂点に立ったのは、トルクGCの主将、ホアキン・ニーマンだ。
2年半ぶりの「初日単独首位」と完璧なフロントナイン
現在、個人のポイントランキングで5位につけているホアキン・ニーマンは、初日から別格のプレーを見せた。
7つのバーディを奪い、ボギーフリーの「64(7アンダー)」という完璧なスコアを叩き出すと、2位に2打差をつけて単独首位発進を決めたのだ。特にフロントナインでは「30(5アンダー)」をマークする猛チャージを見せ、他の追随を許さなかった。
今年LIVゴルフ・コリアに優勝しているとはいえ、ニーマンが初日を「単独首位」で終えるのは、2024年2月のマヤコバ大会で歴史的な「59」を記録して以来、実に2年半ぶりの出来事。会見でそのことを問われると、「驚きはないよ。ただ、初日に首位に立つチャンスを得られたことに興奮しているんだ。自分が持てる最高のプレーをするだけさ」と、驕ることなく静かに喜びを口にした。
見えないピンチを救った「15番」のパーセーブ
スコアカード上は「ノーボギーの64」と、どこにも隙がない完璧なラウンドに見える。しかし、本人の口からは「実際にはもっとストレスの多いラウンドだった」と、激闘の裏側での“見えないピンチ”の存在が明かされた。
彼がスコアメイクの鍵に挙げたのは、15番(パー5)でのパーセーブだ。
「あそこはティーショットは素晴らしかった。でも、セカンドショットで右のバンカー横の深いラフ、しかもダウンスロープという最悪なライ(状況)につかまってしまったんだ。アプローチも最高とは言えなかったよ」
一歩間違えればボギー、あるいはそれ以上の大叩きに直結しかねない難コース特有の罠。しかし、ニーマンはその絶対絶命のピンチから見事なパットを沈め、パーを死守したのだ。難コースにおいて、「いかにボギーを打たないか」がいかに重要で、それがどれほどストレスのかかる作業であるかを、このエピソードが如実に物語っている。
年間王者よりも「自分の天井(限界)」へ

自分のポテンシャルを最大値まで引き上げる、それが現在のホアキン・ニーマンの目標だ
シーズンの個人ポイント争いでは、首位を走るジョン・ラームを追う立場にあるニーマン。残りの試合数を考えれば逆転での総合優勝は厳しい状況だが、彼のモチベーションが低下することは微塵もない。
「確かに総合優勝はできないかもしれない。でも、自分のゲームは正しい方向に進化し続けていると感じているし、改善すべき点もまだまだたくさんあるんだ」と、自身の現在地を極めてストイックに分析する。
「自分にはとても高い天井(限界・ポテンシャル)があると感じていて、そこまで自分がどれだけ近づけるか。私が考えているのはそれだけなんだ。途中で大きな大会で優勝できればそれはプラス(おまけ)だけど、勝った直後からまた、どうすればもっと上手くなれるかを探求するだろうね」
目の前のタイトルやポイントレースの結果よりも、プロゴルファーとしての「自身の成長」にのみ深くフォーカスする。この無欲でストイックな姿勢こそが、彼をさらなる高みへと導く原動力なのだ。
2年半ぶりの初日単独首位発進を決め、チーム戦でもトルクGCを首位へと牽引しているニーマン。どこまでも自分の限界を追い求める若きキャプテンが、残り36ホールのタフなベッドミンスターでどのような別次元のゴルフを見せてくれるのか。週末の熱戦から、決して目が離せない。
写真/LIVゴルフ提供
