尋常ではない猛暑と、ベテランの「体力温存策」
スコアカードこそ美しいが、実際のラウンドは想像を絶する過酷さだった。ポールターはラウンド直後のテレビインタビューで、「外は尋常じゃない暑さだった。あまりの暑さに、今は頭がガンガン痛いよ」と、限界ギリギリの状態でプレーしていたことを吐露した。
50歳という年齢でこのタフなコンディションを戦い抜くには、若手とは違う戦略が必要になる。第2ラウンドに向けてどうやってこの勢いを維持するのかと問われると、彼はベテランならではのリアルなサバイバル術を明かした。
「可能な限り食べ物を自分の中に詰め込んで、しっかり水分をとる。そして、練習は一切しない。週末に向けて、とにかく体力を温存するだけだ」
無理にスウィングを調整するのではなく、休養を最優先する。己の体と向き合い尽くしてきたベテランだからこそ下せる、合理的で潔い決断だ。
半月板の爆弾と「ベドミンスターとの深い絆(Mojo)」

「スウィング自体は今までで一番良い状態にある」と語るイアン・ポールター
実は、ポールターの肉体を苦しめているのは猛暑だけではない。彼は今季のLIVゴルフ・バージニアで、半月板を損傷する大きな怪我を負っているのだ。
「5週間前に外科医に診てもらったんだ。医者は『手術はできるが、5カ月以内に痛みがなくなる保証はない。今は良いゴルフをしているのだから、触りたくない』と言ったよ」
医師からは「パドルテニスやスキーのような、無茶なことは絶対にしないように」と釘を刺されているという。膝に爆弾を抱え、日常生活でも制限を受けながら、それでも彼は「スウィング自体は今までで一番良い状態にある」と胸を張る。
彼を突き動かすもう1つの精神的支柱が、このベドミンスターという土地との深い絆だ。LIVゴルフが初めてここを訪れた2022年大会で、マジェスティックスGC(当時はヘンリック・ステンソンが個人優勝)はチーム戦で準優勝に輝き、ポールター個人も6位タイに入る大活躍を見せた歴史がある。ポールター自身、「この場所には素晴らしいMojo(相性・ツキ)がある」と語るように、難コースへの好印象が不屈の自信を支えているのだ。
お茶目な努力と、観戦に訪れた息子・ルークへの「親父の意地」
怪我を抱えながらもこれほどゲームが好調な理由を問われると、ポールターは「コンタクトレンズを入れて、ギアや体調の微調整を重ねてきたんだ。理由はわからないけど、それが今日の素晴らしいラウンドに結びついたよ」とお茶目に明かしてみせる。
しかし、満身創痍の50歳を動かす最大の原動力となったのは、会場に駆けつけた家族、とりわけ息子・ルークの存在だった。
ルークは来週開催される「全米アマチュア選手権」に出場するため、ニュージャージー州で練習を積んでおり、その合間を縫って父親の応援にやってきたのだ。
「彼は最近、素晴らしいコースで素晴らしいゴルフをしているから、私のプレーを見に来ることなんてめったにないんだ。だから今日は、なんとしても良いラウンドを見せて『親父はまだ終わってないぞ(Dad's not done yet)』というところを証明したかったんだよ」
照れくさそうに、しかし誇らしげに語るポールター。膝の痛みも、割れるような頭痛も、愛する息子の前では見せられない。父親としてのプライドと家族への愛が、過酷なコースでボギーフリーの「66」という最高の結果を生み出したのだ。
「彼にとって良いインスピレーションになって、来週の励みになればいいなと思うよ」と目を細めるベテランの横顔は、一人の優しい父親そのものだった。
大会2日目、運命の「首位直接対決」へ
息子への愛情を力に変えて戦うイアン・ポールターと、世界の強豪に食らいつく浅地洋佑。過酷なサバイバルレースが予想されるベッドミンスターの2日目は、初日を沸かせたリーダーボードトップの3人――単独首位のホアキン・ニーマン(7アンダー)、2位タイのイアン・ポールター(5アンダー)、そして同じく2位タイのルーカス・ハーバート(アンダー5)が、同組(Hole 1・第2グループ:10時16分スタート)で戦う。
超攻撃的なゴルフで首位を走るニーマンに対し、円熟味あふれるアプローチと勝負強さで追い上げるポールター、そして勢いに乗るハーバートが火花を散らす。
写真/LIVゴルフ提供
