
ディアマナGTを使用する勝みなみ※8月19日現在(撮影/姉崎正)
今回取り上げるのは、日本ツアーで数々のタイトルを獲得し、現在は米女子ツアーを主戦場にパワーあふれるドライバーショットでファンを魅了する、勝みなみプロ。分厚いインパクトから放たれる美しいビッグドローが彼女の代名詞だ。今季も【ドライビングディスタンス:269.43Y(44位)/フェアウェイキープ率:64.4%(90位)】と、猛者たちのなかで奮闘している。直近のLPGAツアー「スタンダード・ポートランドクラシック」では、13アンダーの14位タイと上位に入る活躍を見せた。
今回再現した彼女のドライバーは、ヘッドが『スリクソン ZXi LS』(ロフト9.5度)、シャフトは叩いても左へのミスを消せる三菱ケミカルの『Diamana GT 50』(S・45.25インチ)という組み合わせ。グリップのフィーリングまで本人仕様に合わせたスペシャルな1本を準備した。※勝みなみは現状プロトタイプヘッドを使用しているため、近しいヘッドを使用(※編集部調べ)、またグリップカラーは廃盤のため別カラーを使用
試打環境はインドア、計測器はトラックマン4、計測用ボールは室内測定でも高精度に測定可能なタイトリスト「ProV1 RCT」ボールを採用

トラックマン4、タイトリスト「ProV1 RCT」を使用
「シャットフェース&深いタメ」で作る 強いドローボール

『スリクソン Zxi LS』、シャフトは『ディアマナ GT(50S)』、グリップはイオミック「xx」※プロはクラブを変える頻度が高いため、バ ランスは一般的なD2程度で試打
ヘッドは『スリクソン ZXi LS』の9.5度、そこに手元〜中間の剛性としなり戻りを兼ね備えた『Diamana GT』の組み合わせ。ドローヒッターである彼女がこの組み合わせを選んだ理由を堀越プロと編集部で探ってみよう。
試打者/ほりこし・よしかず 試打経験に裏打ちされた豊富な知識と確かな試打技量で、大手メーカーのシャフトやヘッドの開発にも携わる。クレアゴルフフィールド所属
編集部:勝プロといえば大きなドローボールで飛ばすイメージがありますが、彼女のドライバースウィング写真を改めて見ると、どのような特徴があるんでしょうか?

前傾角を保った状態のまま振り抜き、強くボールを押し込んでいる勝みなみ(撮影/姉﨑正)
堀越プロ:スウィングを見ると、前傾角度を保ったままインサイドからクラブを入れ、アッパーブローでとらえています。フェースの無駄な開閉を抑えて、分厚いインパクトでボールを押し込んでいくスタイルですが、この『インサイドから厚く当てるスウィング』と、今回のクラブの組み合わせがうまく噛み合っていると思われます。
編集部:具体的に『スリクソン ZXi LS』と『Diamana GT』の組み合わせには、どんな相性の良さがあるんでしょうか?
堀越プロ:インサイドからしっかりつかまえていくドローヒッターの場合、つかまりすぎるクラブだと『左へのミス』が怖い場合がありますが、彼女は直進性が高い『ZXi LS』の9.5度に、手元側がしっかりして、かつ先端の挙動が安定している『Diamana GT』を合わせてますよね。これにより『アッパーブローでとらえても左へのミスが出にくく、かつ高初速&適正スピンの強いドローを繰り出せる』という相乗効果が生まれるんです。45.25インチという長さも振り抜きやすく、力強い押し込みをダイレクトに初速へ変換できる組み合わせですね。
「左を消して叩けるドライバー」(堀越プロ)
編集部:実際に構えてみた印象はどうですか?
堀越プロ:スリクソンらしい非常に引き締まった顔つきで、目標に対してスッと直線的に構えやすいですね。フェースの見え方もニュートラルで、つかまりすぎを警戒するドローヒッターでも左に引っかかるイメージが湧きません。45.25インチという長さも構えた時のバランスがすごく良いですね。
編集部:シャフトとグリップのフィーリングはいかがですか?
堀越プロ:『Diamana GT』は手元側がしっかりしていて挙動が少なく、先端剛性も高いのでオフセンターヒット時の当たり前けも少ないシャフト。振り抜いても左に行きにくい安心感がありますね。一方でしなり戻りのスピード感が絶妙で、インサイドから振り抜いた時にヘッドがきれいについてきてくれます。
また、グリップのゴルフプライド『MCC PLUS4』は、上がコード・下がラバーの構造に加え、下巻き4枚分に相当する太めのテーパーレス仕様が特徴です。これにより右手の使いすぎや余分なフェースローテーションが抑えられ、手元の無駄な動きを防いでくれます。体の回転と押し込みだけで素直に球を運べるため、飛距離性能と方向安定性が高くバランスされたクラブだと感じます。
実際に試打を開始!
堀越プロ:ボール初速は61.3m/s、打ち出し角は12.6度、スピン量は2270rpm。そして何より注目してほしいのが、キャリー218.4ヤードに対して、トータル飛距離が250.7ヤードまで伸びている点です! キャリーも出ていますが、力強い弾道によってランで32ヤード以上も稼いでいるんです。
編集部:キャリーの着弾地点から一気にランで総飛距離を伸ばしていく弾道ですね。
堀越プロ:打ち出し角12.6度という力強いライナー系の弾道で飛び出し、2270rpmという吹き上がらない理想とも言えるスピン量でぐんぐん前進していく。インサイドから思い切って叩きにいっても『Diamana GT』が左への過剰なつかまりを消してくれるので、恐れずにフェースを押し込んでいける。その安心感が『高初速とランが伸びる強弾道』を生み出しているわけです。
一般的なアマチュア男性ゴルファーを想定し、平均ヘッドスピード42m/s前後で試打
※10球試打したうちの平均値を算出
●キャリー/218.4Y
●総飛距離/250.7Y
●ボール初速/61.3m/s
●打ち出し角/12.6度
●スピン量/2270rpm
編集部: ちなみにこの組み合わせ、我々アマチュアのどんな層に一番参考になりそうでしょうか?
堀越プロ:ヘッドスピード的に言うと45m/s前後の方や、競技志向のアマチュアにも非常に参考になる組み合わせですね。一言で言うとオーソドックスで癖がないので「左のミスを減らして球筋を安定させたい」というアスリートゴルファーにもバチッとハマるはずです。またドローヒッターにも比較的合いやすいと思います。
堀越プロの総評

今回の勝みなみプロのドライバーは、『左のミスを恐れずに叩ける安心感×ランを最大化させるロースピン性能』が見事にかみ合った、ドローヒッターにハマる一本でした。
45.25インチという扱いやすい標準的な長さで、キャリー約220ヤード(218.4Y)、トータル250ヤードオーバー(250.7Y)を叩き出せているのは、スウィングのエネルギーが極めて効率よくボールへ伝わっている証拠です。直進性の高い『ZXi LS』と、つかまりすぎを防ぎつつ素直にしなり戻る『Diamana GT』が噛み合い、高初速と大きなランを生み出しています。
特に注目したいのが『Diamana GT』の挙動です。手元と先端がしっかり硬めで中間部が素直にしなってくれる設計なので、切り返しで自然とタイミングが取りやすく、ボールを力強く押し出してくれるオートマチックさが感じられます。強く叩きにいってもヘッドがブレず、方向安定性が抜群です。
50g台という軽量~標準的な重量でありながら頼りなさを感じさせない芯の強さがあるため、「つかまったドローは打ちたいけれど、過度な左へのミスは避けたい」という方はもちろん、軽めのシャフトでもしっかり叩いていきたいアスリート志向のゴルファーにもバチッとハマるはずです。
もし真似をするなら、あえてロフト角10.5度のヘッドを選んでキャリー(打ち出し角)をしっかり確保したり、自分のヘッドスピードに合わせてフレックスを調整するアレンジを加えるのがお勧めです。そうすればより幅広いゴルファーが、左を怖がらずにしっかり振り抜けて、勝プロのような着弾してからゴンゴン転がる強弾道のドローボールを体感できますよ!
次回の女子プロドライバーもお楽しみに!
協力/トラックマン、ダンロップ、三菱ケミカル、クレアゴルフフィールド

