ギャラリーからの指摘で始まったルーリング要請

写真は大東建託・いい部屋ネットレディス3日目(撮影/岡沢裕行)
事態が起きたのは最終ラウンドの1番ホール(パー4)。鳥居が放ったセカンドショットはコース右側のアウトオブバウンズ(OB)境界付近へ。白杭と白杭の間にあった球をそのまま打ってホールアウトし、続く2番ホールのティーイングエリアに向かった際、ギャラリーから「いまの球はOBだったのではないか」と声がかかった。
これを受けた鳥居は、立ち会った競技委員に対してルーリングを要請。競技委員から「白杭のコース側を結んだ地表の線より内側に球の一部でもあったか」と問われた際、鳥居は「はい」と回答したため、競技委員はインバウンズであったと判断し、そのまま2番ホールのプレーへと進行した。
現場検証とボランティアの証言で覆った裁定
しかし、一部始終を近くで目撃していた複数のギャラリーやボランティア(計5名)から「球は境界線よりも約30センチ外側(OB)にあった」との詳細な証言が寄せられた。
鳥居のホールアウト後、JLPGA競技委員会が現場検証を行ったところ、実際には鳥居が白杭の境界線と球の位置関係を十分に確認しないままプレーしていたことが判明。目撃証言と現場の状況から、放った球は完全にOB(誤球)であったと認定された。
なぜ「失格」となったのか? 規則が定めるプレーヤーの責任

万が一怪しい場合は競技員を呼ぶほうが確実なのかもしれない(撮影/大澤進二)
誤球をプレーした場合、本来であれば1番ホールのティーイングエリアへ戻り、1罰打を加えた上で打ち直し(打ち直し自体が3打目)を行わなければならない。しかし、鳥居は2番ホールのプレーを開始するまでに誤りを訂正しなかったため、罰が適用されることとなった。
今回のポイントとなったのは、オフィシャルガイド競技会6C(5)「正しい情報をレフェリーに提供するプレーヤーの責任」である。プレーヤーが確認不足などによりレフェリーへ誤った情報を提供し、それに基づいてレフェリーが誤った裁定を下した場合でも、プレーヤーの元の違反行動(誤球でのストローク)に対して遡って罰が課される規定となっている。
プロでも直面するルール規定の難しさ
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「審判がプレーヤー自身である」というゴルフ特有の原則において、ルールの解釈や事態の確認不足によるペナルティは、決して今回に限ったことではない。
過去のJLPGAツアーでも、暫定球の識別マーク未確認による打直し不備でアテスト後に過少申告失格となった事例や、新ルールである球の捜索時間(3分)超過によるロストボールの自己判断誤認で失格となったケースなど、第一線で戦うトッププロであっても一瞬の油断や判断ミスから意図せずペナルティを課される事態は発生している。
試合中の極限の緊張感の中で、ミリ単位の境界線や些細なルールの適用条件をすべて正確に目視・判断することは容易ではなく、ましてや競技委員に「大丈夫か」と問われた際、悪気なく「大丈夫です」と答えてしまう心理も、ツアーの厳しいプレッシャー下では十分に起こり得るものだ。
今回の厳格な裁定は、ゴルフというスポーツが持つルールの奥深さと自己責任の重さを改めて示しているように感じた出来事だった。



