先日、ジ・オナーズCで開催された全米女子アマチュアゴルフ選手権で、17歳の岩永杏奈が惜しくも準優勝に終わり、日本人3人目の快挙こそ逃したものの熱い戦いが話題を呼んだ。その興奮が冷めやらぬなか、今度はペンシルベニア州の歴史あるメリオンGCにて、男子アマの最高峰を決める全米アマチュア選手権の決勝戦が行われた。
画像: 父アンディのサポートで全米アマ王者に輝いたジャック・ウェイリー(写真/USGA)

父アンディのサポートで全米アマ王者に輝いたジャック・ウェイリー(写真/USGA)

優勝を飾ったのは、イングランド出身でフロリダ州立大学4年のジャック・ウェイリー(22歳)。スタンフォード大学のジェイ・レン・ジュニア(20歳)を4アンド3で破る快挙を達成したが、その栄冠に至る道のりは、大雨やハチの襲撃、そしてキャディを務めた父親とのドタバタ劇など、予期せぬ苦難の連続であった。

36ホールで争われる決勝マッチの前半18ホール、ウェイリーは対戦相手のレンが次々とパットを沈める猛チャージを受け、「一体何が起きたんだ?」と衝撃を受けるほどの劣勢に立たされた。前半を2ダウン(2打ビハインド)で終えることになったが、ウェイリーは昼休憩の間に「2ダウンは自分にとって対処しきれないものではないと分かっていました。午後に臨むにあたっては、ただ自信を持って、物事を起こるがままに任せようと思っていました」と心境を整理し、冷静さを取り戻した。

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しかし午後のラウンドに入ると、不慣れな父親アンディのキャディとしての振る舞いがウェイリーをピリピリさせる。「正直に言うと、今日、父はゴルフコースで私を少しイライラ(ピリピリ)させていました」と振り返るように、グリーン上にパターを置き忘れたり、傘を慌ただしく持ち運ぼうとしたりする父に対し、ウェイリーは「ただ落ち着いて、ただ落ち着いて。こんなことは必要ないから」となだめながらプレーを続けた。やがて、打つ直前に傘を差し出してもらうというスムーズな雨中ルーティンをその場で確立し、親子は息を合わせることに成功した。

さらに後半の4番(通算22ホール目)を歩いている際、「何が起きているんだ?」と足首をアシナガバチ(Wasp)に刺されるという不運に見舞われる。すぐにハチを弾き飛ばして針を抜き取ったものの、2ホールほどズキズキとした痛みが続いた。それでもウェイリーは、「これ以上悪くなりようがないですよね。ただ、お尻を蹴り上げられた(気合を入れられた)ようなものでした。『さあ、良いゴルフをしよう』と」語り、このアクシデントをむしろ闘志を燃やすきっかけへと変えてみせた。

悪天候も容赦なく襲いかかった。後半の6番ホールで激しい雨が降り始めると、手が滑ってティーショットを大きくスライスさせ、痛恨のOBを叩いてしまう。普通のグローブは使えないと判断したウェイリーは、普段は行わない「雨用の両手グローブ」を着用する決断を下した。「実際には、普段はそんなことはしません。でも、6番で雨が降り始めて滑り、OBに大きくスライスした瞬間、『これらはもう使えない、普通のグローブはダメだ』と思いました。そこで2つのグローブを取り出し、もう少しスムーズにスウィングしてタイミングをより良く合わせるようにしました。それが機能したようだったので、そのまま続けました」と語る通り、この臨機応変な対策が見事に功を奏し、ピンチを乗り越えた。

世界ランキング90位だったウェイリーは、出場枠すらギリギリで獲得し、水曜朝には残り11枠のマッチプレー進出をめぐる16人による過酷なプレーオフを生き残るという、崖っぷちからのスタートだった。過去には、予選落ちが続いていた頃にお金を払い続けてくれる父親への申し訳なさから、「この1年で上達しなかったら、大学にも行かないしゴルフも辞める」という強い覚悟でギャップイヤー(休学期間)を過ごした経験もある。しかしその逆境を乗り越えて今回、歴史あるハブマイヤー・トロフィーを手にした。

涙を流した父アンディは、「(誇らしさは)ただ図り知れません。私は普段ルールとしてあまり感情的になりませんが、これは非常にエモーショナルです。正直に言わなければなりません。私たちの最も突飛な夢の中でさえ、これが可能だとは考えていませんでした。率直に言って、ジャックは不可能なことを達成したのです。そういうことです。私は彼をこれ以上ないほど誇りに思っています」と、息子へのこの上ない誇りと喜びを口にした。

数々の苦難や挫折を乗り越え、ハブマイヤー・トロフィーにその名を刻んだジャック・ウェイリー。歴史ある名門メリオンの長い歴史の中に、彼の名前が刻まれた。


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