全国から問い合わせが殺到するという、知る人ぞ知る人気ショップ「ゴルフステージ成城」。クラブナビゲーターの吉田朋広氏が注目するギアを徹底検証・解説する本企画。今回は、AIG全英女子オープンで優勝した桑木志帆プロのドライバーについて検証していきます。

ブリヂストン BX1 LS×三菱ケミカルディアマナBB 53 S

米女子ツアーの今季メジャー最終戦「AIG全英女子オープン」にて、激しいプレーオフを制して見事な逆転優勝を飾った桑木志帆プロ。

今季、主戦場である国内ツアーで2勝を挙げている彼女は、スポット参戦した全英女子オープンでも飛んで曲がらない力強いフェードボールを武器にパーオン率1位を達成。世界最高峰の舞台で圧巻の勝利を掴み取りました。

画像: AIG全英女子オープンでメジャー初優勝を飾った桑木志帆(写真/R&A提供)

AIG全英女子オープンでメジャー初優勝を飾った桑木志帆(写真/R&A提供)

パター以外のクラブをすべてブリヂストンで揃える桑木プロですが、今回はAIG全英女子オープン優勝に大きく貢献した、その圧倒的なドライバーショットを演出するギアセッティングを検証してみましょう。

桑木志帆プロ使用ドライバー
ヘッド:ブリヂストン BX1 LS(ロフト9度)
シャフト:三菱ケミカル ディアマナ BB 53(flex S)
長さ:45インチ
バランス:D1.5

455ccのチタンボディと独自カーボンコンポジット

「BX1 LS」は、2025年9月に「BX1 ST」「BX2 HT」、限定モデルの「B LIMITED BX1 TOUR」と同時に発売されたモデルで、ツアープロの意見を積極的に取り入れて設計されたツアー向けの低スピンモデルです。

BX1 LSのヘッド体積は455cc。素材はチタンボディ(Ti811)を採用し、クラウン部分とソールに高強度カーボン(CFRP)をコンポジットした設計で、同時に発売されたBX1 STやBX2 HTのカーボンモノコック構造とは異なるBX1 LS独自のカーボンコンポジット構造を採用しています。

画像: BX1 LS

BX1 LS

アドレス時のイメージは、ブリヂストンのドライバーヘッドらしい安心感のある形状で、ソールさせた際にピタッと収まる据わりの良さを感じます。ややコンパクトに抑えられた455ccのヘッド体積は、安定感としっかり振り抜いていける操作性を兼ね備えています。オープンフェースのフェースアングルは、強く振り抜いてもボールが左に行かない安心感を持たせてくれます。

フェース全面に施された「スリップレスバイトミーリング」

フェース素材には6AL-4Vチタン合金を採用。プレス加工、CNCミーリング、レーザー加工でボールの滑りを抑制するブリヂストン独自のスリップレスバイトミーリングをフェース全面に施し、進化させた「BITING FACE 2.0」を搭載しています。

この「BITING FACE 2.0」のフェースは、インパクト時にボールがしっかりと乗っている感覚があり、弾き感と乗り感の絶妙なフィーリングを得ることができます。バックスピン量にも影響し、余分なスピンを低減することで、BX1 LSの安定したロースピン性能を実現する源となっています。

アジャスタブルカートリッジによるロースピン重心設計

ソール前方に2つのウェイトホールを持つアジャスタブルカートリッジを搭載し、8gのタングステンスクリューウェイトと4gのチタンウェイトが装着されています。高強度カーボンボディのソール前方部分にウェイトを配置することで、スピン量が効果的に抑えられる重心設計になっています。

インパクトエリアでのヘッド挙動もフェースが上を向きにくく感じられ、飛球線方向にヘッドを押し出していきやすい感覚が得られます。ウェイトのポジションを変更することで、さらに理想的な弾道調整も可能です。

数値通りのフラットな印象を与えるヘッドスペック

続いて、BX1 LSのヘッドスペックを見てみましょう。

ヘッド体積:455cc
ロフト角度:9度
ライ角度:57度
(ヘッド体積・ロフト角度・ライ角度はメーカー公表値)
ヘッド重量:約202g(スリーブ装着時)
重心距離:約37mm
重心深度:約37mm
重心高:約29mm
重心角:約19度
(ヘッド重量・重心距離・重心深度・重心高・重心角は参考値)

アドレス時のロフトの見え方もやや少なめ(18mm以下)のフェースプログレッションと相まって表示通りの9度のイメージです。

ライ角は構え方やソールの当たり方で多少変化しますが、アドレス時は数値通りのフラットな印象です。約37mmの重心距離と浅めの重心深度はヘッドをターンさせやすく、風に負けない強い弾道を生み出します。さらに、約19度と小さめの重心角が、455ccのヘッドに優れた操作性と振り抜きやすさを実感させてくれます。

「青マナ」の伝統を継ぐディアマナBB 53 S

続いてシャフトです。三菱ケミカルの「ディアマナ BB」は、2024年9月にブランド誕生20周年を迎えたタイミングで発売された第6世代のモデルです。通称「青マナ」と呼ばれるディアマナを代表するモデルです。

画像: 三菱ケミカルの「ディアマナ BB」

三菱ケミカルの「ディアマナ BB」

桑木志帆プロが使用する「ディアマナ BB 53 S」のスペックは以下の通りです。

シャフト重量:53.5グラム
トルク:4.9
キックポイント:MID HIGH

MID HIGHのキックポイントを持つ「ディアマナ BB 53 S」ですが、手元部分から中間部分までがしっかりとした剛性感のアスリートモデルらしい設計です。手元部分が粘りすぎないので、強い切り返しに対してレスポンスの良さを感じられるフレックスで、トップからダウンスウィング時のシャフトの挙動も安定しており、理想的にインパクトエリアへヘッドを導いてくれます。

先端部分の剛性は、大慣性モーメントのヘッドに対応する高い剛性を持っています。スウィングエネルギーをしっかりとボールに伝えてくれるので高いボールスピードを実現し、高い直進性能とロースピンの左右ブレが少ない中弾道を実現してくれるスペックに仕上がっています。

総評:ヘッドとシャフトが見事に調和したベストマッチング

今回、桑木志帆プロ使用ドライバー「ブリヂストン BX1 LS × 三菱ケミカル ディアマナ BB 53 S」を打ってみて感じられたのはマッチングの良さです。ヘッドの据わりの良いロースピンモデルのBX1 LSにディアマナ BB 53 Sは、切り返し時からスムーズに気持ち良く振っていくことができ、インパクトエリアにヘッドを運びやすく、イメージ通りにインパクトしやすいマッチングのドライバーでした。

画像: ブリヂストン BX1 LS×三菱ケミカル ディアマナBB 53 S

ブリヂストン BX1 LS×三菱ケミカル ディアマナBB 53 S

桑木プロのスウィングは女子プロゴルファーの中でも力強いスウィングが印象的です。特にダウンスウィング時の切り返しで作られる大きなタメが特徴ですが、ディアマナ BB 53 Sも桑木プロにとって切り返しのタイミングが取りやすく、気持ち良く振っていける要素を持っています。

元々ドローヒッターだった桑木プロが今現在ドライバーに求めているのは、中弾道でバックスピン量の少ない「ストレートフェードボール」。ブリヂストン BX1 LSとディアマナ BB 53 Sのマッチングは、正に桑木プロが理想とする「ストレートフェードボール」を実現するための理想的なマッチングのドライバーといえるでしょう。

45インチ・バランスD1.5に隠されたプロのこだわり

ポイントは、ボールスピードが出てバックスピン量が少ないロフト角9度の重心距離が短め、重心深度も浅く重心角が少なくボールのつかまりを抑えられるBX1 LSを、クラブレングス45インチ・バランスD1.5で使用しているということです。

ヘッド重量が200gを超えるBX1 LSの市販スペックは45.5インチでバランスD3.5前後です。仮にディアマナ BB 53 Sを標準の45.5インチで装着した場合もほぼ同等のバランスに仕上がります。しかし、バランスが重くなることでヘッド後方に重さを感じるようになり、先端にかかる負荷が増してしなり戻りの挙動が大きくなります。その結果、打ち出し角が高くなりすぎたり、つかまりすぎたりして、理想的なストレートフェードボールがイメージしにくくなってしまうのです。

画像: 吉田氏のブリヂストン BX1 LS×三菱ケミカル ディアマナBB 53 Sの評価

吉田氏のブリヂストン BX1 LS×三菱ケミカル ディアマナBB 53 Sの評価

ヘッドスペックとシャフトスペックのすべての要素が、桑木プロの理想とする「中弾道のストレートフェードボール」を実現するために計算し尽くされたスペックに仕上がっているといえるでしょう。

BX1 LS とディアマナ BB 53 Sのカスタムドライバーは、ブリヂストンのカスタムオーダークラブで購入可能です。中弾道のストレートフェードボールをイメージしたい方は、ぜひ試していただければと思います。

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