
仲間たちからウォーターシャワーの祝福を受ける後藤あい
最終18番パー4は、今年急成長したゴルフが詰まったホールとなった。17番でバーディを奪い19アンダーとした2位の近重怜奈(埼玉栄高1年)とは2打差。18番のピン位置はグリーン左サイド。
この最終ホールの2打目を放つ前、冷静なリスクマネジメントを働かせた。ピンがグリーンエッジに近い「ショートサイド」からのアプローチは自身の課題にしている。「左に行ったら終わる。ミスするなら右、それならチャンスがある」と判断し、ピンから遠くなってもOKと割り切って確実にピンより右サイドを狙った。緊張もあってかボールは思った以上に右に行き、グリーンの右カラーへと外れたが、これは想定内だった。
一方の近重はピンそば3メートルにナイスオン。お互いに2打目を打ち終えた直後、雷雲接近によるホーンが鳴り響き、13時3分に一時中断となった。68分の中断を挟み、14時11分に競技が再開。ここから、磨き上げたショートゲームが光った。

18番カラーからウェッジで寄せて優勝を引き寄せた
中断が明け、右カラーからの3打目はピンまで残り23ヤード。ここでパターを使うという選択肢はなかったという。高麗芝はパターでの距離感が難しいため、ウェッジで転がすイメージを選択した。さらにスピンが効かずに転がりすぎてしまう分、「(ピンより)少し手前から攻めて、ピンの手前で止まるように」と、15ヤードほどフワリと浮かせて約60センチにピタリと寄せた。近重が先に2パットのパーで上がり、後藤もしっかりとパーをセーブ。2打逃げ切って初の日本タイトルを獲得。小さく右手の拳を握って、笑顔を見せた。
2打目のジャッジやアプローチ選択の判断は、「宮里藍 サントリーレディス」 で青木瀬令奈のバッグを担いでマネジメントを学んだ経験が大きい。アプローチとパッティングの技術も直接教えてもらったことで、パーを取るゴルフの精度が格段に上がった。最終日には3メートルのシビアなパーパットを残すピンチもあったがすべてしのぐなど、ノーボギーのゴルフへとつなげた。
また、今大会では持ち前の飛距離を誇るドライバーの「二刀流」が機能した。キャロウェイの「クアンタム」のMAXとミニドライバーの2本を使い分け大会前は「苦手のイメージがあった」という狭くドッグレッグが多い久邇CCを攻略し、3日間で21バーディを積み重ねた。

2位の近重と3位タイの廣吉と最終組を戦った後藤あい
後藤は昨年10月のJLPGAステップ・アップ・ツアー「SkyレディースABC杯」で史上7人目となるアマチュア優勝を達成。今年5月にインドネシアで行われたクイーンシリキットカップでは、今大会最終組で回った3位タイの廣吉優梨菜(福岡第一高2年)、5位タイの岩永杏奈(大阪桐蔭高3年)とともに日本代表として日の丸を背負い、チームを団体戦優勝へと導いた。

飛ばし屋後藤のインパクト
アマチュア界屈指の「飛ばし屋」としても知られ、昨年9月の国内女子ツアー「住友生命Vitalityレディス 東海クラシック」で行われたドラコン大会では、穴井詩や神谷そらといったプロのトップクラスの飛ばし屋たちを抑え、277.8ヤードを叩き出して優勝。前週の「NEC軽井沢72」でも、最長297.33ヤード、平均269.667ヤードでドライビングディスタンス1位を記録する圧倒的なパワーを披露し、17位タイでベストアマに輝いたばかりだ。
来週はJLPGAのニトリレディスに出場。9月には愛知・名古屋で開催されるアジア競技大会ゴルフ競技(春日井CC)にはチームジャパンの日本代表として日の丸を背負って戦う。メダルについては「金メダルというよりは、初めてなので雰囲気を楽しみたいです。良い経験にしたいです」と謙虚にコメント。その後、11月にはプロテストの最終関門が控えている。
2002年にアジア大会で個人・団体金メダルを獲得した宮里藍のように、アジア大会での大舞台を最高の経験値に変え、プロテスト合格、そして世界で躍進するプロゴルファーへ向けて夢を広げていく。
