5番からの4連続バーディで主導権を握る

木下陽菜子(写真は2日目、JGA提供)
木下の最終日(第3ラウンド)は、圧巻のプレーで幕を開けた。
5番から8番にかけて4連続バーディを奪うなど、前半で一気にスコアを伸ばし、主導権を握った。後半はドライバーの不調からラフに入れる場面が多く、「アイアンが全く止まらなかった」と苦戦を強いられたが、得意とする9番アイアンと52度のウェッジ(フルショットで100ヤード)を中心としたショートゲームとパッティングで粘り強く耐え抜いた。
大会全体を通じたスタッツを見ても、バーディ数も17個(全体1位)を記録するなど、ショットメーカーとしての圧倒的な安定感が光る3日間であった。
以前出場した世界ジュニアでは、トップで折り返した際に意識しすぎて崩れてしまった経験があったというが、「今回は自分のゴルフをやろうと思った」と、プレッシャーに打ち勝つ精神的な成長も見せた。
岩井姉妹への憧れから始まった永井コーチとの関係

教え子の晴れ舞台に永井コーチも駆けつけた。ジュニアコーチ歴は長いが、日本ジュニアで教え子が優勝するのは初とのこと。本人と同じくらい喜ぶ永井コーチが印象的だった
木下が永井コーチの指導を仰ぐようになったきっかけは、彼女が中学1年生の時だ。「岩井姉妹が好きで、中学1年生のときに出場した日本ジュニアの練習ラウンドの帰りに、岩井姉妹が育った埼玉の練習場に行ったら永井コーチがいて。その場でレッスンを受けました」という直接の訪問から関係が始まった。現在は2〜3カ月に1回のペースで対面レッスンを受け、日頃はLINEなどを活用してスウィングの相談を行っている。
指導を受け始めてから、スウィングの上下動が少なくなり、コンパクトになったことで、振りやすさが大きく向上したという。
永井コーチは木下との出会いについて、「日本ジュニアの試合前なのに『レッスンお願いします』と来て、崩したら嫌だなと思いながら教えましたね。それが良かったのかはわかりませんが、その年に中学1年生なのに3位に入った」と振り返る。
コーチとして技術面だけでなく、「どんなモチベーションで挑めいいか」といったメンタル面のサポートも重視しており、岩井明愛・千怜姉妹と同様に背中を押す声掛けを行っているという。
「自分で考える力」と今後の肉体的な課題
永井コーチは、定期的なレッスンで伸びる選手の特徴として「自分で考え、工夫する力」を挙げる。
自身のスクールでも「今のはなぜそうなったの?」と生徒に問いかけ、自主的な思考を促しているが、木下はその「自分で考えてプレーできる能力」を高く評価されている。
一方で、今後の課題としては「フィジカル面」を指摘する。
まだ中学3年生であり、体が完成していないため、今後年齢制限のないカテゴリーで戦い、飛距離やパワーを補うためには、さらなる体づくりとトレーニングが必要不可欠だとしている。
木下自身の当面の目標は、春の全国中学校大会での優勝とアマチュアランキングの上昇、そしてナショナルチーム入りだ。
そして、その先にある最大の夢は「宮里藍さんのような、世界ランク1位のプロゴルファーになること」。

2回に分けて実施された優勝者への水かけ(写真は2回目)。1回目は10数人から祝福されていた
悔し涙をバネに日本ジュニアのタイトルを掴み取った14歳は、すでに世界を見据えて歩みを進めている。(文/山口哲平)
