神奈川県の大箱根カントリークラブ(6657ヤード・パー72)で開幕した国内女子ツアー「CAT Ladies」初日。熱戦の幕開けを告げたのは、若手2人の躍動だった。通算6アンダーの「66」で首位タイに並んだツアールーキーの鳥居さくらと、プロ2年目の加藤麗奈である。1打差の3位タイには、永久シードに王手をかける申ジエと、昨季の年間女王・佐久間朱莉らが控え、新旧の実力者が入り乱れる展開となった。この結果の裏にはそれぞれの「不安」や「不調」との向き合い方があった。
画像: 首位タイに立った鳥居さくら(左)と、3位タイに入った佐久間朱莉(右)

首位タイに立った鳥居さくら(左)と、3位タイに入った佐久間朱莉(右)

過去のショックとスタート前の不安を断ち切った19歳コンビ

難しいとされるインコースからスタートした鳥居は、10番(365ヤード・パー4)でいきなりバーディを獲得し、その後も2つスコアを伸ばし3バーディノーボギーで前半を終えた。後半のスタートホール1番(470ヤード・パー5)でもバーディ発進。その後は8番(378ヤード・パー4)でイーグルを決めるなど、スコアを3つ伸ばしてフィニッシュした。どうしてこの結果を引き寄せられたのか。彼女を導いたのは「今」への没入だ。

「スコアのことは気にせずに、目の前の一打に集中して回り切りました。(一打一打)必死に打っていました。今日は特にいい波に乗れていたからこそ意識せずに、今できることだけをやりました。(残り2日間も)ベストを尽くすのみ。今日みたいにプレー出来たらいいイメージで回れるのかなと思います」

その集中力が実を結んだのが、8番のイーグルだったのだ。それもラフから放った球が直接カップに飛び込む“ダンク”イーグル。思わず両手を挙げて喜んだ。

同じ首位タイの加藤だが、鳥居とは対照的に順風満帆な滑り出しではなかった。

「スタート前はパッティングもショットも調子があまりよくなくて、ちょっと不安なままスタートしました」

しかし、パッティングのアドレスを詰まらない程度に近づける微調整を行ったことが功を奏し、結果的に6バーディノーボギーという好成績で初日を終えた。

「ショットもそんなにブレなくて、パッティングも結構決まってくれたのでよかったです。でもここまでできると思っていなくて、初日を首位で終えるのは初です。でも明日はあまり意識せずにプレーしたいです」

7月の「大東建託・いい部屋ネットレディス」でのツアー初優勝によって、自信もついてきた。

「(それまでは)シード獲得や『優勝』、予選通過を気にしていたのですが、(優勝してからは)心に少し余裕ができて、上だけを見てプレーできるようになりました」

「一勝だけで終わりたくない」と、若手らしく貪欲に次なる目標を見据えている。

重圧と不調の波をコントロールする実力者たち

一方、1打差の3位タイにつけた申と佐久間。両者ともツアー優勝を複数回経験する実力者だが、彼女たちは「不安」や「不調」に直面しながらこの成績を収めていた。

通算30勝に王手をかけている申ジエは、見えない重圧と戦っていた。

「最近は調子のいいときと悪いときの差が結構あるんです。早く優勝したいけど、みんながレベルアップしているので、私ももっと(上に)と思って力が入ってしまっているようです。『自分のプレースタイルがわからなくなってしまった』と思うくらい、コースマネジメントが弱くなっています」

しかし、彼女はその恐怖に対し、「今日も始まる前までは不安感はもちろんあった。でも、それを超えるためには自分がやるしかない」と真正面から向き合う気合と覚悟で、7バーディ2ボギーといういい流れを引き寄せた。

昨年の年間女王である佐久間は「ショットもパットもごまかしごまかしでプレーしている。ここ1〜2カ月は本当によくなくて、気持ち悪い感じがあった」と長引く不調を素直に吐露した。

不調を脱しようと「色々やりすぎて逆に悩んでしまった」という時期を経て、今大会では「アドレスをしたら、あとはリズムだけを意識している」と、スウィングの根本であるリズムに特化することで6バーディ1ボギーという安定したスコアメイクにつなげた。

直前の不安を「1打への集中」と「思い切り」で即座に振り切った若手に対し、長引く不調や周囲の変化による重圧を「基本へのリセット」と「逃げない覚悟」で乗り越えようとする実力者たち。残り2日間、この対照的な強さがどう交錯していくのか、週末の熱戦から目が離せない。(文/川野真美)


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