カナダ・アルバータ州のロイヤルメイフェアGC(6336ヤード・パー70)で開催中のLPGAツアー「CPKC女子オープン」2日目。山下美夢有は初日の「62」に続き、この日も「64」というビッグスコアを叩き出し、通算14アンダーで単独首位に立った。後続に5打差をつける圧巻の首位独走劇だが、真に驚くべきはそのスコアの中身である。

異次元の数字「126」と「50パット」の衝撃

「2日間で14アンダー」という結果だけでも十分に凄まじいが、彼女が記録したスタッツ(データ)は、もはや異次元の領域に達している。

アマチュアゴルファーが1ラウンド(18ホール)を36パットで回れば上出来とされる中、山下の36ホールでの総パット数はなんとわずか「50パット」だった。当然ながら出場選手中で最少の数字であり、1ラウンド平均に換算すると「25パット」という驚異的なペースだ。

このパット数なら当然といえば当然だが、2日間(36ホール)を通して「3パット」は一度もない。パーオンしたホールでの平均パット数(Putts per GIR)も、2日目単日で「1.38」(2日間平均「1.43」)と、グリーンに乗ればほぼ確実に沈める神がかり的な数字を叩き出している。この圧倒的なパッティングを武器に、彼女は2日間でフィールド最多となる「16個」ものバーディを量産してみせたのだ。

画像: 2日間で「50パット」の山下美夢有。パッティングが好調なのはもちろん、ショットがキレている証拠でもある(写真は26年AIG全英女子オープン)

2日間で「50パット」の山下美夢有。パッティングが好調なのはもちろん、ショットがキレている証拠でもある(写真は26年AIG全英女子オープン)

その結果として記録された36ホールのトータルスコア「126」は、彼女自身のキャリアベストを実に7打も更新する新記録となった。従来の大会記録である「129」(2014年ユ・ソヨン、2022年アン・ナリン)を3打も塗り替える歴史的更新である。さらに驚くべきことに、これはLPGAツアー全体で見ても2014年「フボンLPGA台湾選手権」のパク・インビ以来、実に12年ぶりとなる36ホールでの「126」達成となった。

偉業の裏にある「シンプルなメンタル」

歴史に名を刻む大記録を打ち立て、後続に大差をつけて首位に立つ。並の選手であれば、プレッシャーや「守りに入りたい」という雑念が生じてもおかしくない状況だ。しかし、ラウンド後の会見に現れた山下の頭の中は、驚くほどシンプルに研ぎ澄まされていた。

大差の首位に立つ心地よさについて問われた彼女は、落ち着いた表情でこう答えた。

「スコアに集中するというよりは、どうやってバーディを獲るかを考えています。だから、決勝ラウンドでも良いリズムを保てるように努めます」

自分が歴史的スコアを出していることや、何打差でリードしているかといった「結果(スコア)」には執着していない。ただ目の前の1プレーに集中し、「どうやって次のバーディを奪うか」というプロセスだけを考えている。この雑念のないシンプルなメンタルこそが、極限のプレッシャー下でもパッティングのタッチを狂わせず、バーディを量産し続けられる最大の要因なのだろう。

週末の決勝ラウンドに向けた期待

現在ロレックスランキング(世界ランク)7位の山下美夢有。彼女は2025年の「AIG全英女子オープン」でメジャー初制覇を成し遂げており、世界の大舞台での勝ち方はすでに熟知している。

ちなみに、彼女がLPGAツアーで36ホール終了時点での首位(または首位タイ)に立つのは今回が自身2度目のこと。そして、その記念すべき「前回」というのが、優勝を果たした2025年AIG女子オープンなのだ。

「36ホール終了時首位なら勝率100%」という最高の吉兆データを引っ提げて、山下は週末の決勝ラウンドへと向かう。歴史的な「126」ストロークと「50パット」を生み出した彼女の魔法のパターは、週末もカナダのグリーンを支配し続けるのか。異次元のゴルフを展開する日本のエースから、目が離せない。

写真/R&A提供


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