
9時39分、最終組の1つ前の組でスタートした、鳥居さくら・神谷そら・荒木優奈
静かなる闘志と序盤のバーディラッシュ

ティーオフの約30分前には、すでに練習グリーンにいた荒木
3人のティーオフは9時39分。約30分前に打撃場へ足を運ぶと、鳥居や神谷の姿を確認できた。しかし、荒木の姿を見つけることができない。練習場を一回りして1番のティーグラウンドへ向かうと、横にあるグリーン上にその姿を見つけることができた。誰よりも早くからパッティングの調整を行っていた荒木。この練習の結果はどう出るか。いよいよティーオフの時間になると、鳥居、荒木、神谷の順でティーグラウンドに入り、ティーオフ後は3人で談笑しながら和やかにスタートしていった。

ティーオフ後、3人で仲良く固まって2打目まで向かって行った
だがプレーに入ると眼差しは勝負師に変わる。2番(426ヤード・パー4)で鳥居は2打目をグリーン横のバンカーに入れるもナイスアウトでパーセーブ。3番(156ヤード・パー3)では鳥居と神谷がバーディを奪い、この時点で通算9アンダー、首位タイに躍り出た。鳥居のキャディ・潟手からは「OK!」との声かけや拍手、グッドサインが送られ、グータッチが交わされた。

鳥居の好プレーの裏には、厚いサポートと声かけで支える潟手キャディの存在があった
この厚いサポートが、鳥居の3日間を支えていたことは間違いないだろう。続く4番(407ヤード・パー4)の2打目では、長い相談のうえ、鳥居がアイアンを持ち替える冷静なマネジメントを見ることもできた。

4番の2打目で、相談のうえアイアンを持ち替えた鳥居

「ナイスパー!」いうギャリーの声援に会釈で応えた
ギャラリーを沸かせた思わぬショット

5番のティーショットがピンフラッグにあたり、驚きの表情を見せた荒木
5番(152ヤード・パー3)では、荒木がアイアンで打ったティーショットがピンフラッグを直撃し会場が沸いた。5番を終えた時点で、鳥居・神谷が首位タイに戻り、佐久間朱莉と並んだ。

6番のティーショットが左前の林に曲がってしまった神谷
しかし6番(373ヤード・パー4)でドラマが動いた。神谷のティーショットが左前の林へ消えたのだ。「どうやって出すんだろう?」とギャラリーが息を呑むなか、ボールは荒木の3打目よりやや手前の花道まで駆け上がるリカバリーを見せた。この見事なショットには「すご〜い!」と歓声が上がった。

神谷が林から脱出し打った3打目
だが主役は荒木だった。ピン右側ラフからのアプローチをチップインで沈めた。これには鳥居も驚きの笑顔を見せたが、彼女自身も手前からのパットを沈めてバーディを獲得。

3打目は、グリーン手前の花道まで運ばれた
ここで鳥居が通算11アンダーで単独首位、荒木も2位タイへ浮上した。神谷は4位タイに後退したが、続く7番ではトラブル後のティーショットでも動揺することなく、周りからも「ナイスショット」と声が飛んだ。

神谷の少し前のラフから、チップインを決めた荒木
首位で折り返した鳥居、追う神谷と荒木。混戦のバックナインと決着の瞬間

8番のティーショットから2打目に移動する途中で3匹の鹿を発見。初日に吉澤柚月とともに話題になった鹿かもしれない
8番のティーショット後、2打目に向かう途中にある橋では、3匹の鹿が川の水を飲む何とものんきな光景を見ることができたが、試合は白熱していた。

前半ホールを終えて、鳥居が通算12アンダーの単独首位、神谷と荒木が通算10アンダーで3位タイにつけた
首位の鳥居が「バーディチャンスだ」というギャラリーの声通り、ラインをよく読んでしっかりパットを沈め、2位との差をさらに1打伸ばして通算12アンダーへ。この強さに9番の移動中には「メンタル強そう。乗ってきてるよね」と感嘆の声が漏れた。
前半戦の最終ホール・9番(527ヤード・パー5)は神谷一人がバーディを奪って、通算10アンダー。荒木と並んで3位タイにつけ後半へ向かった。最終組を残すこの時点で、鳥居が単独首位(通算12アンダー)に立った。

最終組が9番ホールを終える前の順位
鳥居が単独首位で折り返し、神谷と荒木が2打差で追う形で突入した運命のバックナイン。前半の勢いをそのまま持ち込みたかった3人だったが、サンデーバックナインのプレッシャーと箱根の魔物が試練を与えることとなる。
互いの意地がぶつかり合ったバックナイン。鳥居さくらは1バーディ4ボギーとして通算9アンダーで6位タイに後退。神谷そらは出だしの2ホールで連続バーディを奪うもその後の12番、18番をボギーとしてスコアを伸ばせず、通算10アンダーの3位タイでフィニッシュ。荒木優奈は、最初と最後をバーディで締めて通算11アンダー、今季4度目の2位タイで今大会を終えた。いずれも優勝にはあと一歩及ばない結果となったが、それ以上の劇的展開はかなり印象に残るものだった。女子プロたちの笑顔はもちろん素敵だが、そういう存在の真剣勝負をまっただ中で味わえることがトーナメント観戦の醍醐味だろうと改めて実感できる一戦となった。(文/川野真美)
