有言実行の22歳と、王者ラームの潔さ

ツアー初優勝を果たしたマイケル・ラ・サッソ(写真はLIVゴルフ・リヤド)
「前夜、うちのSNS担当に言ったんだ。『正直に言うけど、今回勝つのは僕だ』ってね。ずっと前から言葉にして引き寄せていた。それが本当に現実になるなんて信じられないけれど」
最終日を「65」でまとめ、最年少優勝の快挙を成し遂げたラ・サッソは、興奮冷めやらぬ様子でそう語った。
劇的だったのは最終18番ホール(パー5)の攻防だ。18番のティーグラウンドに立った時点で、ラームと17アンダーで並んでいたラ・サッソ。ラームがフェアウェイからの2打目をミスして痛恨のボギーを叩く中、ラ・サッソはプレッシャーに打ち勝ち、見事なアプローチ(寄せワン)でバーディを奪って通算18アンダーで劇的な勝利を掴み取った。
「早く打ちたくて仕方がなかった。落とし所は正確に見えていたし、完璧なイメージ通りに転がってくれた」と22歳とは思えない強心臓を見せた。
【動画】ラームも脱帽。ラ・サッソのプレッシャーがかかる最終18番超絶アプローチ【LIVゴルフ公式X】
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x.com最終日、LIV最年長である53歳のリチャード・ブランドと同組で回ったラ・サッソは、「僕がLIVに参戦したプロ最初のラウンドで同組だったのがブランドさんだった。最終日の最終組で再び彼と回るなんて運命的なものを感じるよ」と笑顔を見せた。さらに、今大会を欠場していた所属チーム「HyFlyers GC」のキャプテン、フィル・ミケルソンからも「テレビ観戦していて、これまでの人生で一番楽しい時間だった」と熱い祝福メッセージが届いたことを明かした。
彼が所属するHyFlyers GCのチームメイト、ブレンダン・スティールは若き勝者をこう称賛する。
「彼の才能は規格外だ。飛距離も出るし、球筋も操れる。今年はパッティングに悩んでいたが、先週から新しいパットコーチと取り組み始め、セットアップとスタートラインを少し変えただけで優勝してしまった。小さな変化がこれほどの違いを生むなんて驚きだ」

ラ・サッソに1打及ばず2位に終わったジョン・ラーム。個人の部で3連覇を達成。来季もLIVゴルフに残るのか(写真はLIVゴルフ・UK)
一方、この日「63」という驚異的な猛チャージを見せながら1打及ばなかったジョン・ラームは、一切の言い訳をせずに勝者を称えた。
「自分がミスをして扉を開けてしまったが、マイケルは18番で見事なアップ&ダウンを見せた。彼がもぎ取った勝利だし、彼にふさわしい優勝だ」
年間王座を獲得したトップ選手としての器の大きさを証明する、潔く美しい敗戦の弁であった。
記者会見で直近の予定や周囲の噂について聞かれたラームは、「そんなことより、今はとにかく帰宅して、妊娠後期の妻を助けたいんだ。10月には4人目が生まれるから『4対1』の数的不利の戦いになる(笑)。そして何より、明日の朝10時に予約している散髪(ヘアカット)に行きたい。今本当に髪を切りたいんだ!」と語り、記者たちの爆笑を誘った。
また、個人戦では2位となったラームだが、彼が率いるチーム「Legion XIII」は通算44アンダーを記録し、チーム戦2年連続王者を見事に達成。メンバーのケイレブ・スラットが「ジョンが僕にチャンスをくれたことで人生が変わった」と語るなど、ラームの圧倒的なリーダーシップと強固な絆をアピールした。
デシャンボーが語る「LIV 1.0」の総括と未来

最終戦3位タイで終わったブライソン・デシャンボー。契約は26年までという噂で27年シーズンにLIVゴルフに残るのか、注目だ(写真はLIVゴルフ・ニューヨーク)
この日「64」をマークし、通算16アンダーの3位タイに入ったブライソン・デシャンボーは、自身のプレーの振り返りにとどまらず、LIVゴルフのこれまでの歩みについて、チームキャプテンとして、そしてリーグの顔として口を開いた。今大会で旧契約が満了を迎える彼の言葉には、並々ならぬ思いが込められていた。
「(LIVでの日々は)とても興味深い道のりだった。私たちが経験してきたすべてのこと、困難な瞬間もあったが、それが私達を強くしてくれた」
巨額の資金で立ち上がった新リーグは、既存ツアーとの対立や様々な逆風にさらされてきた。デシャンボーはその事実を潔く認める。
「正直に言うなら、すべてが完璧だったわけではない。残念ながら起きてしまった悪いこともあった。しかし、我々はゴルフ界に違う何かをもたらしたという誇りがある。その点においては、素晴らしい仕事をしてきたと思う」
そして彼は、次のフェーズへと向かうLIVゴルフの未来に強い期待を寄せる。
「LIV 1.0から2.0へと移行する中で、来年何が起こるかについて素晴らしい考えを持っている。もっと率直に話せたらいいのだが……」と含みを持たせつつ、「我々が成し遂げてきたこと、その良い面も悪い面も含めて誇りに思っている」と語った。
「完璧ではない」からこそ面白い――試行錯誤の先に生まれる熱狂
ラ・サッソのような恐れを知らない若手の台頭と、ラームのような世界トップ選手の技術と潔さ。そして、デシャンボーが牽引する新しいゴルフエンターテインメントの形。
「すべてが完璧だったわけではない」という反省を胸に、LIVゴルフは試行錯誤を続けながら、確実に独自のストーリーを生み出し続けている。投資構造を刷新し、新たなステージである「LIV 2.0」へと進化を遂げるリーグが、これからどのような試合とエンターテインメントを見せてくれるのか、注目したい。
写真/LIVゴルフ
