高校ゴルフの最高峰「Sky Present 2026年度 文部科学大臣籏争奪全国高等学校ゴルフ選手権大会」(通称:緑の甲子園)が、栃木県・サンヒルズCCで開幕する。個人のスコアを競う普段のゴルフとは異なり、一打の重みがチーム全体の運命を左右するのが団体戦の醍醐味だ。大会開幕にあたり、昨年度の男子上位3校(埼玉栄、興國、代々木)および女子上位3校(ECC学園、大阪桐蔭、ルネサンス)の監督・顧問に直撃インタビューを敢行。連覇や王座奪還に向けた準備と、団体戦を通じて生徒たちに育んでほしい「責任感・協調性・相互扶助の心」について語ってもらった。
画像: 左上から時計回りに:ECC学園高等学校/興國高等学校/代々木高等学校/大阪桐蔭高等学校

左上から時計回りに:ECC学園高等学校/興國高等学校/代々木高等学校/大阪桐蔭高等学校

【男子前年トップ3】個人の覚悟をチームの力へ変える熱き戦い

まずは、常に上位に顔を出す伝統校であり、前年男子優勝の埼玉栄高等学校で監督を務める菊池龍輝さん。

「技術面の向上だけでなく、ゴルフを通じた人間力の向上も大切にして取り組んできました。ルールやマナーなど、競技者として必要なことを身に付けることはもちろん、普段の練習から一人ひとりが自分の課題と向き合い、主体的に取り組むことを意識してきました。また、周囲から応援してもらえるチームであることも大切にしてきました。練習やラウンドではお互いに声をかけ合い、個人の成長だけでなく互いに高め合いながら、チーム全体で成長していくことを大切にしてきました。ゴルフは個人競技ですが、団体戦では自分のプレーがチームの結果につながるという責任感を持ってプレーすることになります。自分のためだけではなく、仲間のために最後まで諦めずにプレーすること、そして仲間のプレーを信じ、応援することの大切さを学んでほしいと考えています。また、団体戦では、一人ひとりがそれぞれの役割を果たすことはもちろん、良いプレーをすることだけではなくチームのために自分に何ができるのかを考え、行動することを経験してほしいと思っています。勝つことだけが団体戦の目的ではありません。仲間と喜びや悔しさを共有し、互いに支え合いながら一つの目標に向かって努力する経験を通して、責任感や協調性、仲間を思いやる心を身に付けてほしいと考えています」

次に男子2位の興國高等学校、部長・監督の瀧本征幸さん。

(写真①) とても仲のよい興國高。OBには蟬川泰果がいる

「優勝に向けてチーム全体で個々のレベルアップとチームのために自分ができることを考えて常に行動することを取り組ませてきました。昨年の私たちに足りなかったものはチーム力ではないかとチームミーティングで分析し、一人ひとりが日本一になるため自分にできることは何かを考え、取り組んできました。ゴルフは普段は個人競技ではありますが、仲間とともに大好きなゴルフで戦い、熱い気持ちになれる素晴らしさを学んでほしい。同じ目標に向けて努力し合える素晴らしさを感じてほしいです」

男子3位だった代々木高等学校、部長・監督の山中辰男さん。

(写真②) 代々木高。OBには世界で活躍する中島啓太、笹生優花など

「より実践を経験することが一番と考え、毎回の合宿でチーム戦や個人戦を行い、普段のラウンドから順位を意識することを想定して練習してきました。雑なプレーで作る不必要なボギーは、個人のボギーではなくチームのボギー。一人の力では優勝はできないことです」

【女子前年トップ3】連覇を狙うECC学園と追う強豪たちの絆

さて、女子に移ろう。昨年、悲願の初優勝を飾ったECC学園高等学校の顧問、北村憲昭さん。

(写真③) 昨年悲願の初優勝を果たしたECC高。OBには中村心など

「“過去最強メンバー”を擁して2位だった時代を経て、昨年は個々の力で上位校に及ばないと思っていながらも初優勝を果たしました。ベスト8に残れば、と思っていたなか全員で力を合わせて勝ち取ったことに、強いメンバーで勝つ以上の価値を感じています。我々は通信制、全日制のように毎日顔を合わせているわけではない、でも、それを覆したかったので、合宿をしたりして顔を合わせることも大事にしています。創部以来の、そしてこれからも最大の目標は『団体戦での全国優勝』。これを達成し、今年は、唯一“2連覇”できる可能性のある高校として大会に臨みます。昨年のMVPであり、プロテスト1次・D地区でトップ通過したキャプテンの赤松美波(3年)を中心に、力のある1年生をどう引っ張るかが鍵となっています。団体戦のいいところは、全員で力を合わせて戦えるところ。生徒たちも団体戦のメンバーに選ばれて戦いたいという気持ちが入学の段階であります。個人戦では緊張しないような生徒も団体戦になると急に顔が青ざめたりします。それに、しっかり挨拶できるようになるなど社会の仕組みを学ぶための1つとして、団体戦があると思います」

女子2位の大阪桐蔭高等学校、監督の柴山香織さん。

(写真④) 大阪桐蔭高。OBは、宮里聖志・優作、山下美夢有など

「全国制覇を目指していますが、まずは関西優勝することを目標に、4月から各自の体力向上のためにトレーニングを特に頑張ってきました。年に1度の団体戦で学んでほしいことは、自分のスコアがチームのスコアに直結するという責任感や、助け合い・支え合う気持ち。そして『自分がチームを引っ張っていく』という積極的な姿勢を学んでほしいと思っています。一方で、もし自分の調子が悪くても『仲間がカバーしてくれる』という信頼感と適度な気楽さを持ち、伸び伸びとゴルフを楽しんでもらいたいですね」

女子3位のルネサンス高等学校、顧問の高木剛さん。

「関東予選の女子団体では合計281で3位となりましたが、メンバー4名のうち1年生が2名という若いチームです。3年生は1年生のため、1年生は最後の団体戦となる3年生のため、昨年の悔しさを糧に、団体優勝という悲願を達成できるよう、各メンバーが練習に取り組んでいます。団体戦には『仲間のために一打に責任を持つ意識』と『互いを支え合う関係性の構築』が必要。スコアが合算されるため、自分の一打が仲間の運命に直結します。調子が良いときはチームを引っ張り、調子が悪いときは仲間がカバーする。こうした相互扶助の体験は、個人戦では得られない学びです。緑の甲子園という大舞台で、4人で同じ方向を向き合う経験そのものが、社会に出てから人と協働する力、他者の立場を尊重する力につながると確信しています」

多くのプロが、学生時代の団体戦は楽しかった、個人戦では味わえない学びを得たと語る。今年もまた、多くの思い出を生み出す汗と涙の戦いが繰り広げられる。


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