男子プロのスペックはパワーが違いすぎて参考になりにくいが、ヘッドスピード38〜43m/s前後の女子プロのセッティングは、我々アマチュアゴルファーにとってまさに「飛びと安定感の宝の山」。そこで本連載では、いまツアーで活躍する女子プロのドライバースペック(ヘッド、シャフト、グリップ)を完全再現! 試打するのは、世に出たほぼすべてのクラブを打ってきた“キング・オブ・試打”こと堀越良和プロ。なぜ女子プロはこの組み合わせを選んだのか? アマチュアも参考になるのか? 女子プロが使用するギア選びを探ってみた。
画像: 米ツアーでも抜群の精度を誇るショット力でファンを魅了する吉田優利 (撮影/姉﨑正)

米ツアーでも抜群の精度を誇るショット力でファンを魅了する吉田優利 (撮影/姉﨑正)

今回取り上げるのは、米女子ツアーを舞台に高い精度のショットと華のあるプレーでファンを魅了する吉田優利プロ! 今季も【フェアウェイキープ率:71.30%(32位)】と、タフなコースセッティングのなかで安定したコントロール技術を見せつけている。彼女の持ち味といえば、ストレートに近い安定感抜群のドローボールだ。

今回完全再現した彼女の相棒は、やや小ぶりで引き締まった顔と高初速を両立した『ブリヂストン BX1ST』(ロフト9.5度)、シャフトには切り返しのタイミングが取りやすく高いコントロール性を誇るフジクラの『SPEEDER NX GREEN 50』(S・45.25インチ)という組み合わせ。グリップには「イオミック スティッキー 2.3(バックライン有)」を装着したスペシャルな1本を用意した。

試打環境はインドア、計測器はトラックマン4、計測用ボールは室内測定でも高精度に測定可能なタイトリスト「ProV1 RCT」ボールを採用

画像: トラックマン4、タイトリスト「ProV1 RCT」を使用

トラックマン4、タイトリスト「ProV1 RCT」を使用

精度抜群のストレートドロー

画像: (画像:『ブリヂストン BX1ST(9.5度)』、シャフトは『SPEEDER NX GREEN(50S)』、グリップはイオミック「スティッキー 2.3(バックライン有)」 ※プロはクラブを変える頻度が高いため、バランスは一般的なD2程度で試打)

(画像:『ブリヂストン BX1ST(9.5度)』、シャフトは『SPEEDER NX GREEN(50S)』、グリップはイオミック「スティッキー 2.3(バックライン有)」 ※プロはクラブを変える頻度が高いため、バランスは一般的なD2程度で試打)

ヘッドはツアーモデルらしい小ぶりで精悍な顔つきの『BX1ST』の9.5度、そこに手元〜中間部のスムーズなしなりと高い先端剛性を併せ持つ『SPEEDER NX GREEN』の組み合わせ。抜群のフェアウェイキープ率を誇る彼女がこの組み合わせを選んだ理由に、堀越プロと編集部が迫る。

試打者/ほりこし・よしかず 試打経験に裏打ちされた豊富な知識と確かな試打技量で、大手メーカーのシャフトやヘッドの開発にも携わる。クレアゴルフフィールド所属

編集部:吉田プロといえば、フェアウェイキープ率70%を超える抜群のボールコントロールと、ストレートに近いドローボールが持ち味です。彼女のスウィング写真を見ると、下半身をどっしり安定させて右軸を作り、顔の向きを右に残したまま手元を真下に下ろしてインサイドからとらえているように見えますが、彼女のスウィングとセッティングにはどんな相性の良さがあるんでしょうか?

画像: ビハインドザボールでアッパーブローに振り抜く吉田優利(撮影/姉﨑正)

ビハインドザボールでアッパーブローに振り抜く吉田優利(撮影/姉﨑正)

堀越プロ:『BX1ST』はコンパクトな浅重心ヘッドで非常に操作性が高いのですが、実はヒール寄りに重心があるドローバイアス設計なんです。吉田プロのように手元を真下に下ろす軌道でも、右にすっぽ抜けずに球をやさしくつかまえてくれますよね。そこに、切り返しで自然なタメが作れて先端剛性の高い『SPEEDER NX GREEN』を合わせることで、手元が浮いたり振り遅れたりするミスを防ぎ、ボールを強く押し出せるはずです。

「小ぶりで構えやすい顔×スムーズなタメで狙い打つ」(堀越プロ)

編集部:実際に構えてみた印象はどうですか?

堀越プロ:『BX1ST』はコンパクトで非常に精悍な顔つきをしていますね。ブリヂストンらしいクセのない素直な顔立ちで、目標に対してストレートに構えやすいです。小ぶりですがヒール寄りのつかまり感があるので、右への抜けを怖がらずに自信を持って振っていけそうです。

編集部:シャフトとグリップのフィーリングはいかがですか?

堀越プロ:『SPEEDER NX GREEN』は手元から中間にかけてのしなり戻りが実にスムーズで、切り返しで余計な力みを生じさせず自然なタメを作ってくれますね。暴れる挙動が一切なく、ヘッドが素直についてきてくれます。そしてバックライン有の『イオミック スティッキー 2.3』を握ると、指に吸い付くようなフィット感とバックラインの安心感があって、手元でコネずに体の回転だけで運べる感触がありますね。

実際に試打を開始!

堀越プロ:すごくニュートラルな球質で、どの球筋でも打ちやすそうなクラブですね。ややつかまり感があるので右へのすっぽ抜けを怖がらず、シャフトとヘッド性能で左への巻き込みも消している非常に安定感のあるセッティングだと思います。

編集部:キャリー約220ヤード、トータル253ヤード。安定感があるうえに素晴らしい数値です。この弾道を生み出しているギアの要素はどう分析されますか?

堀越プロ:『BX1ST』の浅重心設計による低スピン性能と、ヒール寄り重心の適度につかまるドローバイアスが見事にかみ合っているおかげですね。高低のコントロールがしやすい操作性の高いヘッドでありながら、つかまった強弾道を打ち出せています。そこに『SPEEDER NX GREEN』の手元から中間にかけての素直なしなり戻りが合わさることで挙動が安定し、アッパーブローに振っていくことでキャリーとランのバランスが抜群に良くなり、結果としてトータル飛距離が伸びるようなセッティングに感じました。フェアウェイキープ率(71.3%)の高さを裏付ける、非常に精度の高いセッティングですね。

一般的なアマチュア男性ゴルファーを想定し、平均ヘッドスピード42m/s前後で試打
※10球試打したうちの平均値を算出

●キャリー/221.3Y
●総飛距離/253.2Y
●ボール初速/61.4m/s
●打ち出し角/14.2度
●スピン量/2109rpm

堀越プロの総評

画像: 堀越プロの総評

今回の吉田優利プロのセッティングは、まさに『操作性の高い小ぶりヘッド×素直にしなり戻る中調子シャフト』が生み出す、方向性とライン出し性能を極限まで高めたものでした。

飛距離の面では、つかまりを適度にサポートし、浅重心で低スピンの『BX1ST』と、切り返しで素直な挙動を見せる『SPEEDER NX GREEN』が見事にかみ合い、強弾道ドローが打てる。扱いやすい長さ(45.45インチ)でキャリー約221ヤード、トータル253ヤードをブレずに叩き出せるのは、スピン量(2109rpm)と初速のバランスが非常に高次元でまとまっている証拠ですね。

ヘッドもシャフトも適度なつかまり感がありながらクセのないストレート寄りの挙動をしてくれるため、彼女のようにドローが打ちやすいのはもちろん、状況に応じてフェードも狙っていける高い操作性があります。ただ、ロフトが9.5度とやや立っているため、元々球が上がりづらい人やスピン量が少なめの人がそのまま使うと、高さが出ずにキャリーを落としてしまうリスクもあります。

もし真似をするなら、振り遅れて体が開いて叩きにいってしまうタイプよりも、2〜3度くらいのアッパーブローで素直に振り抜けるゴルファーに非常にマッチしやすいセッティングと言えます。ヘッドスピードに応じてロフト角を10.5度のヘッドにして打ち出し角やキャリーをプラスしたり、ご自身のヘッドスピードに合わせてシャフトのフレックスを調整するアレンジを加えるのがおすすめです。そうすれば、操作性と安定感を兼ね備えた、吉田優利プロのような曲がらない強弾道を体感できるはずです。

次回の女子プロドライバーもお楽しみに!

協力/トラックマン、ブリヂストン、フジクラ、クレアゴルフフィールド


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