今季のメジャーで2勝ずつ。圧倒的な強さを見せたテーラーメイド契約の2大女王、ネリー・コルダとユ・ヘラン。2人の200ヤード超を狙うロングゲームのセッティングには対照的なアプローチが見られる。高弾道で止めるネリーの7Wと、ライン出しで攻めるユ・ヘランの17度レスキュー。女王たちのクラブ選択に潜む戦略を紐解く。

高弾道と落下角でグリーンに止める ネリー・コルダの「7W」戦略

女子ツアーの飛距離競争が激しくなった現代において、200ヤード前後の精度も勝敗を大きく左右する重要な要素だ。世界のトップに君臨するネリー・コルダがこの距離を託しているのが、テーラーメイド「Qi4D」の7番ウッド(ロフト21度)である。

画像: ドライバーでの飛距離のアドバンテージを7Wでの2打目に生かし、イーグルチャンスを演出するネリー・コルダ

ドライバーでの飛距離のアドバンテージを7Wでの2打目に生かし、イーグルチャンスを演出するネリー・コルダ

通常、3Wの次には5Wを配する選手が多い中、ネリーはあえて3Wから直で7Wにつなぐセッティングを採用している。その狙いは、「圧倒的な弾道の高さ」と「大きな落下角(ランディングアングル)」の確保にある。

硬く締め上げられたグリーンや、厳しいピンポジションのメジャー大会のタフなセッティングでは、低スピンのロングアイアンやユーティリティでボールを止めきるのが難しい。一方、7Wは、深い重心設計により高打ち出し・適正スピンの弾道を容易に生み出せる。十分なキャリーを確保しつつ、真上から落とすようにボールをグリーンへ止められるのだ。

コースセッティングが厳しくなるほど、高さでダイレクトにピンを狙えることは大きなアドバンテージになる。「大きなキャリーで落として止める」機能を最優先した7Wの選択が、彼女のチャンスメイクに貢献している。

強弾道と高い操作性でラインを射抜く ユ・ヘランの「17度レスキュー」戦略

一方、同じく今季メジャータイトルを2つ獲得し、優れたボールストライキング能力を誇るユ・ヘランのセッティングも興味深い。彼女のロングゲームの核となっているのが、ロフト11.5度の「r7 クアッド ミニドライバー」、そして下に続く「Qi4D」の17度のレスキュー(一般的なUTにあたる)である。

画像: 「Qi4D」のレスキューはロフト17度とストロングな設定。2打目だけではなく、ティーショットでも用いる

「Qi4D」のレスキューはロフト17度とストロングな設定。2打目だけではなく、ティーショットでも用いる

テーラーメイドでは19度のレスキューが3番なので、17度というと2番相当。ロフトの立ったUTはボールを上げる難易度が高いとされるが、打球の安定性に優れるユ・ヘランにとって、このクラブは「あらゆる状況で狙ったラインへ打ち出せる強力な武器」となる。

ユ・ヘランは200ヤード超のセカンドショットにおいて、弾道の高さ以上に縦の距離感のブレと左右の曲がりを抑えるコントロール性を重視する。アイアン感覚で振り抜けるレスキューは、強風下でも球が吹き上がりにくく、狙ったターゲットラインへ力強く球を打ち出せる強みを持つ。彼女はこの性能をティーショットでも活用し、ドライバー(「Qi4D LS」8度)、ミニドライバー(「r7 クアッド」11.5度)と合わせて使うことで、1打目のアドバンテージを盤石なものとしている。

高弾道のキャリーで落とすネリーの7Wとは対照的に、風に負けない強弾道で直線的にラインを狙い撃つユ・ヘランのレスキュー戦略。コースコンディションに左右されない再現性の高さが、彼女の高いショット精度を支えている。

高さで止めるか、ラインで射抜くか

同じ「200ヤード超の攻略」において、ネリーは「高さと落下角」で物理的にボールを止める戦略を選び、ユ・ヘランは「ライン出しと強弾道」でターゲットを射抜く戦略を選んだ。

200ヤードを攻める際、自分に必要なのは「高さで止める7W」なのか、それとも「風に強くラインを出すレスキュー」なのか。2人の女王が見せるギア選択は、スコアアップを目指す全ゴルファーにとって最高のヒントとなるだろう。

同じ「200ヤード超の攻略」であっても、ネリーのような「高さで止める7W」と、ユ・ヘランのような「強弾道でラインを出す17度レスキュー」では、求められる役割も適したロケーションも異なる。

メーカーの設計思想や2人の女王の戦略を踏まえると、プレー環境や目的に応じたおすすめの選択肢は以下のようになる。

【7W(ショートウッド)がおすすめのゴルファー】

グリーンが小さく、遠い距離から大きなキャリーでボールを止めたいコースでプレーする機会が多い。深い重心設計による高弾道と大きな落下角は、手前のハザードを越えてダイレクトにグリーンオンを狙う場面で大きな武器となる。

【レスキュー(ユーティリティ)がおすすめのゴルファー】

河川敷コースなど、風の影響を受けやすい環境でプレーすることが多い。アゲンストの風でも球が吹き上がりにくく、アイアン感覚で狙ったラインへ強く打ち出せるため、タフなコンディションでも優れた方向安定性を発揮する。

普段プレーするコースの特徴や、風・ハザードといった状況に合わせて最適な1本を選ぶこと。それこそが200ヤード前後のロングゲームを攻略し、スコアを大きく伸ばすための確実な方策となるだろう。

写真/Getty Images

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画像: www.taylormadegolf.jp
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