DPワールドツアー「アムジェン アイルランドオープン」の初日は、大荒れの天候により日没サスペンデッドとなる波乱の幕開けとなった。日本勢では、金子駆大が1アンダー(暫定17位タイ)、桂川有人と星野陸也が4オーバー(暫定91位タイ)でいずれも18ホールを終えている。しかし、大歓声を背負って戦う地元アイルランドのスター選手たちを苦しめたのは、吹き荒れる強風だけではなかった。彼らのリズムを狂わせたのは、「想定外の遅延」という見えない敵だったのだ。

「1ラウンド6時間」──マキロイを襲った不運

世界屈指のショットメーカーであり、常に完璧なプレーを見せるローリー・マキロイ。しかし、この日の彼は13番ホールで痛恨のダブルボギーを叩くなど、苦しい展開を強いられた。1アンダーの35位タイという結果で初日を終えた彼は、ラウンド後の会見で正直な疲労感を覗かせている。

「風の強さもさることながら、今日の最大の敵はプレーペースだった。1ラウンドに6時間もかかると、リズムに乗るのは非常に難しい」

プロのトーナメントにおいて、6時間というラウンド時間は異常だ。待ち時間が長引けば長引くほど、筋肉は冷え、集中力は削がれていく。「このコースは、流れに乗るのを許してくれない作りになっている。特に最初の2日間は出場選手が多いから、どうしてもストップ&ゴーの連続になってしまうんだ」とマキロイはこぼす。

痛恨のダブルボギーについては、「フェアウェイバンカーからのショットは私の得意分野ではない。大きめのクラブを持ちすぎて裏目に出てしまった」と自身のミスを潔く認めている。世界トップの選手であっても、寒さと極端なスロープレーに翻弄されれば、判断を誤ることがある。しかし、そこから崩れることなくアンダーパーで耐え抜いた点に、彼の底力が表れていた。

【動画】ヤーデージの短さに加え、強風がグリーンを難しくした【DPワールドツアー公式X】

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「自分史上最高」ローリーが見せた忍耐のゴルフ

マキロイと同じく地元の大きな期待を背負うシェーン・ローリーは、強風の中で3アンダー(暫定2位タイ)という見事なスコアをマークした。だが、彼もまた極限の忍耐を強いられていた。

「正直に言って、3サム(3人1組)でプレーした中で人生最長のラウンドだった。日没までにクラブハウスに帰れるとは思っていなかったよ」

タフな状況下でのラウンドをそう振り返るローリーだが、彼の表情に焦りはない。彼は開幕前の会見で「今、自分はキャリアの中で最高の状態にある」と語っていたが、その言葉通り、風が強く厳しいテストとなるインコース(後半)で着実にパーを重ねる圧倒的な集中力を見せた。

「前半の追い風のパー5でバーディを奪い、向かい風になる後半はとにかくパーを拾って一刻も早くクラブハウスに帰りたかった。その通りのプレーができたことに満足している」

リンクスの洗礼と、アイリッシュが見せた「耐える強さ」

画像: 国籍は違えど、アイルランド島出身で仲の良いローリー・マキロイとシェーン・ローリー。ともにナショナルオープンと話す今大会の初日をアンダーパーでまとめた(写真は26年全英オープン練習日)

国籍は違えど、アイルランド島出身で仲の良いローリー・マキロイとシェーン・ローリー。ともにナショナルオープンと話す今大会の初日をアンダーパーでまとめた(写真は26年全英オープン練習日)

「110ヤードの距離で7番アイアンを持たされるほどの強風だった」と他の選手が証言するように、自然の猛威だけでなく「1ラウンド6時間」という極限のスロープレーにも耐え抜いたアイルランドの英雄たち。華やかなショットの裏側で、彼がいかに見えない疲労やフラストレーションと闘っているかが浮き彫りとなった。

過酷なコンディションの中でサスペンデッドとなった初日。順延分の消化を含め、さらにタフな戦いが予想される2日目以降、彼らがどのようなメンタリティでリンクスコースを攻略していくのか。忍耐のゴルフは、まだ始まったばかりだ。

写真/R&A


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