日本から出場した星野陸也、桂川有人、金子駆大の3選手が無念の予選落ちとなったDPワールドツアー「アムジェン アイルランドオープン」。週末の決勝ラウンドへと駒を進めた世界のトッププロたちにとっても、リンクスのグリーンは一筋縄ではいかない。この日「69」で回り、通算2アンダー(20位タイ)で週末を迎えるローリー・マキロイもまた、見えない“グリーン上の魔物”に苦しめられていた。

「見えたラインと結果が違う」――パッティングの苦悩

「ショットはいいのに、パットがダメだった」というフラストレーションはアマチュアでも経験したことがあるだろう。世界王者のマキロイでさえ、今週はその罠に完全にハマり込んでいる。

公式データを見ても、そのギャップは圧倒的だ。フェアウェイキープ率は初日の38.5%から、2日目は全体8位(69.2%)へ急上昇する圧巻のボールストライキングを披露。しかし、パーオン時パット数は全体103位(1.900)と大きく低迷した。「ティーからグリーンまで(ショット)の調子にはかなり満足している。でも、グリーン上でイライラしているんだ」という言葉通りのもどかしいゴルフが続いた。

彼を苛立たせているのは、ストローク自体の技術的な問題ではなく、「読み(リーディング)」の感覚のズレだ。その象徴となったのが、この日のラウンド展開だった。8番(パー5)で見事なイーグルを奪って波に乗るかと思われたが、続く9番・10番と絶好のバーディチャンスでラインを読み違えて連続で逃すと、11番でボギーを叩いて失速。「パットが入らないと、波に乗りたくても勢いが止まってしまう」と吐露した通り、見え方と結果のギャップが勢いを削いでしまった。

「ラインを読むのに本当に苦労している。自分が打ったラインには乗せられているんだ。でも、自分が読んだラインと、実際に打ったボールの転がりが全く違う。見えたものと結果が違うから、確信を持ってストロークするのが難しいんだ」

画像: プロとしては入れたい約4メートルほどのパッティングをことごとく外したと話すローリー・マキロイ(写真は26年全英オープン)

プロとしては入れたい約4メートルほどのパッティングをことごとく外したと話すローリー・マキロイ(写真は26年全英オープン)

12フィート(約3.6メートル)以内のパットをことごとく外してしまったマキロイ。視覚と結果のズレが疑心暗鬼を生み、ストロークへの自信を奪っていく。グリーン上の魔物は、トッププロのメンタルをも容赦なく蝕んでいく。

同組ケプカに助けられた? 17番バーディの真相

そんな苦悩の中、マキロイは上がり2ホールの17番でようやくいい距離からのバーディを奪った。しかし、この一打の裏側にはトッププロ同士の興味深いやり取りがあった。

「17番でパットが入った唯一の理由は、ブルックス(同組のケプカ)が全く同じラインで先に打って、転がりを見せてくれたからなんだ」

マキロイは、ライバルであるケプカのパットを参考に「カンニング」したことを正直に告白した。自分の読みが信じられない極限状態の中で、同伴競技者のボールの転がりが唯一の確かな道標となったのだ。

「誰かがラインを教えてくれるようなパットがもっとあればいいのにね」と冗談交じりに語るマキロイ。そこには、現在の彼がいかに自分の読みに自信を持てていないかという、痛いほどのリアルが滲み出ていた。

【動画】マキロイが「ケプカのおかげ」と話す17番バーディパット【DPワールドツアー公式X】

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悪天候と地元の熱狂が鍵を握る復活へのシナリオ

リーダーボードの上層を見上げれば、親友シェーン・ローリーが通算11アンダーで単独首位を走り、マキロイの背中を追って育った北アイルランドの23歳、トム・マッキビンも通算5アンダー(5位タイ)と好位置につけている。「シェーンやトムが上位にいるのは素晴らしいこと。自分も早くそこに加わりたい」と語るマキロイ。首位との差は9打と開いているが、王者は決して諦めていない。

週末に予想される悪天候の予報すらも、彼にとっては追い風になるかもしれない。

「明日(3日目)は悪天候が予想されている。そうなれば、フェアウェイとグリーンを捉える『ボールストライキング(ショット力)』にさらにプレミアムがつくはずだ。ショットの調子は良いから、パットさえいくつか決まれば、話は全く変わってくる」

荒れ狂うリンクスで、ショットの切れ味を武器に上位を猛追できるか。グリーン上の魔物を退治したとき、地元の熱狂の中で王者の逆襲が始まる。

写真/R&A


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