
優勝を決定づけるバーディパットを入れた瞬間の1枚
これほど爽快な勝利はあるだろうか。2位に4打リードで迎えた最終日、打てばピンそば、またはありえないロングパットを入れ続けノーボギーの「63」をマーク。2日目に自ら叩き出したコースレコード「62」には及ばなかったが、前半で独走態勢を築き記録的勝利を飾った。
思えば17年前、ローリーの母ブリジットさんはブックメーカーで250倍のオッズだった息子に50ポンドを賭けていた。家族の遠征費用がばかにならないため少しでも足しにしたいと考えたのだ。
まさか息子が勝つとは思っていなかった。だが夢は現実になった。ロバート・ロックとのプレーオフ3ホール目でプロを下し栄冠に輝いた。この優勝でローリーはプロ転向を決断した。
【写真】23歳の初々しいローリー(右)。左はロイヤルポートラッシュで全英を制した時の1枚【Golfballing公式インスタグラム】
コーチのニール・マンチン氏は言う。
「はじめて彼を見た瞬間素晴らしいゴルファーだと思いました。当時18歳だった彼はただ芝の上を歩いて力強く球を打ち、また歩いてはチップショットやパットを打つといった具合でした。余計な小細工や無駄な動きは一切ない。シェーンには天性の才能が備わっていて、彼のプレーに複雑な要素などないのです」
アマチュアで自国のナショナルオープンを制したローリーはマンチンコーチとともに地元ロイヤル・ポートラッシュで開催された19年の全英オープンを制覇。今週も「複雑なことはしない」彼らしいプレーで再び体感を果たした。
かつて「プレッシャー? それはタイヤの空気圧のことでしょ?」とおどけていたローリーだったが今シーズンは苦しい戦いを強いられた。
春先のPGAツアーではAT&Tペブルビーチ プロアマで8位タイに入り、3月のコグニザントクラシックでは優勝目前に迫りながら崩れ2位タイ。調子が良さそうに見えたがそれ以降はトップ20にも入れない日々が続き、プレーオフは初戦で姿を消した。24年のチーム戦(チューリッヒ・クラシック)以来のツアー4勝目は今年もお預け。
「優勝のチャンスが何度かありましたが、本当に辛い時間を過ごしてきました。それなのに今週ここにきて、こんな結果を出せるなんて。信じられないというか何と表現すればいいのかわかりません」
15番でバーディを決めたときキャディに「いまどれくらいリードしている?」と聞くと「十分なリードだよ、と言われて安心しました」
「もう正直、言葉が出ない。自分がこれを成し遂げたなんて、しかもこんな形(11打差)で勝てたなんてね」
おとぎ話の主人公は声を声を詰まらせた。
大ギャラリーのローリーコールに包まれた彼は“ホームタウンヒーロー”に相応しい笑顔でこういった。
「トロフィーを早く(妻と2人の子供が待つ)家に持って帰りたいです。娘がいつも『いつトロフィーを持って帰ってくるの?』とせがむんです。だから早く持って帰らないとね」
写真/Getty Images
【動画】割れんばかりの大歓声! シェーン・ローリーの72ホール目をプレーバック【DPワールドツアー公式X】
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