DPワールドツアーの旗艦大会である「BMW PGA選手権」が、イングランドの名門ウェントワース(7267ヤード・パー72)で開幕した。熱狂的な大観衆が見守る中、ベテランのアダム・スコットが6バーディ・1ボギーの「67(5アンダー)」を叩き出し、首位と1打差の3位タイという絶好のスタートを切った。タフなセッティングで知られるウェントワースにおいて、初日のスコットのプレーは終始ストレスフリーな、まさに「完璧」と呼ぶにふさわしい内容だった。

フェアウェイキープ率「92.9%」

名手の好発進を支えたのは、圧倒的なティーショットの精度だ。スタッツ(データ)を見ると、初日のスコットはフェアウェイキープ率で驚異の「92.9%」を記録。さらにパーオン率でも「77.8%」を叩き出し、ショットのキレでコースを完全に制圧してみせた。

ラウンド後のインタビューで、スコット自身もその手応えを興奮気味に語っている。

「ティーからグリーンまで、間違いなく今年最高のラウンドの一つだったよ。なぜかはよく分からないけれど、1番ホールでの素晴らしいティーショットが緊張をほぐしてくれて、そこからは自分のゴルフに集中できた。ウェントワースをストレスなしでプレーできるなんて、本当に素晴らしいことだね」

さらに、名手ならではの視点でこの難コースの攻略法をこう分析する。

「ここウェントワースの鉄則は、フェアウェイにボールを置くこと。そうすればチャンスは作れる。でも、もし外してしまえば……本当に長く苦しい一日になるんだ」

直前に壊れた愛用ドライバーと新兵器

画像: エースドライバーのGT2が破損し、急遽GTS2 ドライバーで大会に挑んでいるアダム・スコット

エースドライバーのGT2が破損し、急遽GTS2 ドライバーで大会に挑んでいるアダム・スコット

驚異的な精度でフェアウェイを捉え続けたドライバーショットだが、実はこの裏側には、大会直前に起きた思わぬアクシデントが隠されていた。

「実は今週に入ってから、私のドライバーが壊れてしまったんだ。だから、急遽新しいドライバーをバッグに入れたんだよ」

自分のスウィングの一部となっていたはずのエースドライバーが、試合直前に破損するという致命的とも言えるトラブル。しかし、スコットはこれを言い訳にするどころか、急遽実戦投入した“新兵器”を見事に自分のモノにし、フェアウェイキープ率92.9%という最高の結果でねじ伏せてみせたのだ。

そのショットのキレは、土壇場の終盤でも遺憾なく発揮された。17番(パー5)でこの日唯一のボギーを叩いたものの、続く最終18番(パー5)で完璧なセカンドショットを放ちグリーンをキャッチ。イーグルパットこそわずかに外れたものの、鮮やかなバウンスバックでバーディ締めを決め、「あのパットは少し弱かったね。でも、こういうスウィングを続けていれば必ずチャンスは来る」と強い自信を覗かせた。

大好きな大会で狙う頂点

「ここ(BMW PGA選手権)は、私の一番好きなイベントの一つなんだ。ここでプレーするのが大好きだし、日曜日に優勝争いに絡めていたら本当に最高だろうね」と、大会への強い愛着を語ったスコット。

直前のトラブルを“新兵器”へのアジャストで乗り越え、驚異のスタッツとともに最高のスタートを切った名手。残り3日間、難コース・ウェントワースをどのように攻略していくのか、アダム・スコットの優雅にして力強いスウィングから目が離せない。

写真/Getty Images


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