札幌ゴルフ倶楽部 輪厚コース(7,066ヤード・パー72)で開催中の「ANAオープン」第2ラウンド。佐藤大平がこの日もボギーなしの「68」とスコアを伸ばし、首位の内藤寛太郎(通算14アンダー)と4打差の通算10アンダー・2位タイ(宋永漢と並ぶ)という絶好の位置で決勝ラウンドへ駒を進めた。順調そのものに見えるスコアだが、ラウンド後のインタビューで彼の口から出たのは、不調の告白だった。

上位進出の裏に隠された「本音」とデータが証明する粘り

「前半はそんなにピンチらしいピンチもなくゴルフができていたんですが、後半の10番のティーショットから感覚が良くなくなってしまって……」

佐藤は赤裸々に自身の状態を語り始めた。初日最終9番ホールで約20メートルの劇的イーグルパットを沈めた勢いのまま、この日も前半OUTコース(1〜9番)で4バーディ(32)を奪うロケットスタートを決めていた。しかし、後半に入るとスウィングの違和感に襲われる。

「それを修正しようと思って色々やっていたんですが、それが最終ホールでやっと良いショットになったのかな、というくらいでした」

実際、第2ラウンドの公式スタッツを見ると、フェアウェイキープ率は35.7%(2R中101位)、パーオン率は55.6%(2R中90位)とショットの苦戦が数値にも顕著に現れていた。しかし、佐藤は「感覚がおかしくなった」と語る後半INコース(10〜18番)の9ホールすべてで耐えてパーをセーブ。1つもボギーを打たずに「68」でホールアウトしてみせたのだ。

ショットに苦しみながらもボギーを打たないこのスコアリング能力こそ、「自分の調子が特別良いわけでもない中で、良いスコアで回れている」という言葉を100%裏付けるプロの技術にほかならない。

2日間36ホールでボギー僅か1つ──「ベント芝」との抜群の相性

画像: ANAオープンのハイライトが流れるANAの機内放送。佐藤大平が優勝すればもちろん主役として放映されることになる(写真は26年前澤杯)

ANAオープンのハイライトが流れるANAの機内放送。佐藤大平が優勝すればもちろん主役として放映されることになる(写真は26年前澤杯)

初日(66)と2日目(68)の通算36ホールを通し、佐藤が打ったボギーは初日14番の僅か1ホールのみ。2日間のパーキープ率は「94.4%」という驚異的な数値を叩き出している。

不調の中でもスコアを崩さない最大の理由は、この輪厚コースとの圧倒的な相性の良さにある。

「僕、このコース本当に好きなコースなんです。基本、ベント芝が好きなのもありますが、ここのベントはしっかり締まっていて、目が詰まっている。回っていて気持ちいいですし、グリーンも綺麗。そういうところがプレーしていて気持ちいいので好きです」

自分の感覚がズレていても、手入れの行き届いた大好きなコースコンディションが、佐藤のプレーを強力に後押ししているのだ。

モチベーションは「機内放送への思い」

そして、今大会において佐藤が密かに抱いている「優勝へのモチベーション」が実にユニークで微笑ましい。

大会の特別協賛であるANA(全日本空輸)に対し、「いつもANAを使わせてもらっているので、そういう面でもここで優勝できたらなと思います」と感謝を述べた後、彼は少し照れたようにこう付け加えた。

「機内でもトーナメントを振り返るビデオ放送があるじゃないですか。あれに載りたいなと思っていたので、載れるように頑張ります」

プロゴルファーとしての名誉や賞金もさることながら、「飛行機の機内放送で自分の優勝シーンを流してほしい」という、誰もが親近感を抱く素直でユニークな思い。それが、不調と戦う彼を突き動かしている。

修正力で挑む決勝ラウンド

「調子が良くない中でもスコアになっているので、それをしっかりあと2日間、修正しながら良いプレーが出来ればいいなと思っています」

週末に向けた抱負を語った佐藤大平。大好きな輪厚のベント芝を味方につけ、スウィングの感覚を取り戻した時、悲願の“機内放送デビュー”は現実のものとなるはずだ。決勝ラウンドでの彼の戦いと修正力に、大きなエールを送りたい。

写真/有原裕晶


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