3年越しの輪厚でのリベンジへ
香妻にとって、輪厚の最終日最終組には忘れられない悔しい記憶がある。前回この位置で日曜日を迎えた2023年大会、単独首位で最終ラウンドをスタートしながらも「74」と落とし、優勝争いから脱落したのだ。
本人も取材で「最近も最終日にあんまり伸ばせずに終わることが多い。ここ2試合くらいの経験も明日に生きてくると思う」と語る通り、狙うはただ一つ、3年越しとなる輪厚でのリベンジだ。
世界基準の飛距離と、後半10番からの怒濤のバーディラッシュ

計測ホールの9番(316.21ヤード)、15番(333.81ヤード)とともに300ヤード超のドライバーショットを披露した香妻陣一朗
昨年まで主戦場としてたLIVゴルフで培った力は、国内ツアーにおいて圧倒的な武器となっている。それを最も象徴しているのが「飛距離」と、攻守双方における圧倒的なスタッツだ。
第3ラウンドのドライビングディスタンスにおいて、香妻は「325.01ヤード」で全体1位を記録。とくに15番ホール(434ヤード・パー4)でのティーショットは「333.81ヤード」というビッグドライブをかっ飛ばし、このホールでの計測1位を記録してみせた。
さらにスコアメイクを加速させたのが、後半INコースでの集中力だ。10番から14番までの5ホールで4つのバーディを奪う怒濤のラッシュを見せ、一気にリーダーボードを駆け上がった。
平均パット数3位(1.6956)に加え、今季のスタッツでも「バーディ率3位(4.909)」、「サンドセーブ率2位(68.571%)」と、世界規格の飛距離だけでなく総合力の高さがデータで裏付けられている。
キャリア初V以来となる「逆転優勝」へのシナリオ

今季の香妻のパーオン時の平均パットは1.6956で3位。飛距離とグリーン上で死角は見当たらない
首位に立つ内藤寛太郎(通算19アンダー)とは4打差、2位の佐藤大平(通算16アンダー)とは1打差の単独3位(通算15アンダー)。「トップの内藤さんがちょっと抜けているので、明日いいプレーをしてちょっとでもプレッシャーをかけられたら」と、香妻は静かに闘志を燃やす。
伸ばし合いが必至となる最終日。香妻は勝負の鍵として「いかにティーショットをフェアウェイに置けるか」を掲げた。ツアー通算3勝のうち直近2勝は首位からの「逃げ切り勝ち」だが、今回はキャリア初優勝(2020年三井住友VISA太平洋マスターズ)以来となる「逆転優勝」をかけた戦いとなる。
世界を経験した男が放つ“333ヤード”の豪快なドライバーショット。最終日最終組、大ギャラリーの前で香妻陣一朗がどのような逆転劇のシナリオを描くのか、その一打一打から目が離せない。
写真/岡沢裕行

