風との戦いに耐えた1日
ラウンド後の会見で、スコットは疲労の色を滲ませながら過酷な1日を振り返った。
「今日は耐える一日だったよ。リーダーボードに良いスコアが出ているのは見えたけれど、自分にはそんなことが可能だとは思えなかった。一歩進んで二歩下がるような感じで、リズムを掴むのが本当に難しかった」
華麗なスウィングで知られるスコットでさえ、この日は強風に翻弄された。風のジャッジを誤り、ティーショットでクラブ選択を間違える場面もあったという。
「風の方向を読み違えると、ボールははるか遠くへ流されてしまう。そういう状況で、自分のやっているスウィングを信じ続けるのは難しかった」
トッププロであっても自然の猛威に迷い、自信を揺さぶられる。それが強風のウェントワースの恐ろしさだ。
上がり2ホールの連続バーディが持つ価値
崩れそうで崩れないのがマスターズ王者の底力だ。スコットは「スウィング自体は良い感じだった」と自分を奮い立たせ、強風の中でひたすら我慢のゴルフを続けた。
そして、その忍耐は最終盤でついに実を結ぶ。17番、18番と続く上がりのパー5を、彼は「4-4」の連続バーディで見事に締めくくってみせた。
「ここの上がり2ホールはいつも重要だ。簡単なバーディなどないし、トラブルも多くてボギーを叩く危険も常にある。だから、今日の『4-4』には満足しているよ。忍耐が実を結んだね」
苦しい1日をアンダーパーでまとめ上げ、笑顔を見せたスコット。しかし、最終日に向けては「明日も忍耐強くいられるかは分からない。本当に素晴らしいラウンドが必要になる」と気持ちを引き締めている。
スーパースター競演と、歴史に名を刻むための最終日

最終日は2打差の6位タイでスタートするアダム・スコット。同伴競技者はローリー・マキロイでこの競演は世界中のファンを魅了するはずだ(写真は26年全米オープン、USGA提供)
数々のタイトルを手にしてきたスコットだが、この「BMW PGA選手権」への情熱は特別なものがある。
「このタイトルを獲れたら、本当に特別だろうね。私はこの大会を非常に高く評価している。長年ここでプレーするのを楽しんできたし、ヨーロッパのゴルフとも強いつながりがあるから、ここウェントワースの歴史に自分の名を刻みたいんだ」
来週には、世界選抜の精神的支柱として米国選抜と戦う「プレジデンツカップ」も控えている。絶好調のまま大一番へ向かうためにも、この欧州旗艦大会での勝利は大きな意味を持つ。
最終日、首位と2打差の6位タイ(通算11アンダー)には、上がり18番で劇的イーグルを奪ったローリー・マキロイやホアキン・ニーマンらが並ぶ。そして最終日は、最終組の4組前に「アダム・スコット&ローリー・マキロイ」という世界中のゴルフファンを魅了する2大スーパースターの同組共演が実現した。
華やかなバーディ合戦だけがゴルフではない。強風の中で耐え抜き、泥臭くスコアをもぎ取ったベテランの意地。ビッグタイトルに懸ける熱い思いを胸に、アダム・スコットが最終日の歴史的瞬間に挑む。
