北海道の札幌ゴルフ倶楽部 輪厚コース(7066ヤード・パー72)で開催された「ANAオープン」。今年の大会は、異次元のバーディ合戦となった。優勝した内藤寛太郎のトータルスコアは、大会新記録となる「通算25アンダー」。しかし、このスコアの異常さをより際立たせているのは、敗れた上位陣のスコアである。単独2位の佐藤大平は通算20アンダー、3位タイの香妻陣一朗や大岩龍一は通算19アンダー。例年であれば文句なしに優勝カップを掲げているはずのビッグスコアが乱れ飛ぶ、極めてハイレベルな戦いだった。

「あっぱれって感じです」香妻陣一朗

画像: LIVゴルフを経験したことですべてがレベルアップ。なかでも飛距離は国内最強レベルに成長したが、内藤寛太郎のショートゲームに屈した形となった香妻陣一朗

LIVゴルフを経験したことですべてがレベルアップ。なかでも飛距離は国内最強レベルに成長したが、内藤寛太郎のショートゲームに屈した形となった香妻陣一朗

最終日を首位と4打差の3位からスタートし、最終組で内藤と直接対決した香妻陣一朗。今大会のドライビングディスタンスでは連日300ヤード超を連発し、第3ラウンドの15番ホールでは333.81ヤードで全体1位を記録するなど規格外のパワーを見せつけていた。しかし、逆転を狙った最終日は「今日はあまり良いところもなく、出だしのボギーで流れが悪かった」と、スコアを伸ばしきれず「68」でのフィニッシュとなった。

同組で間近に見た内藤のプレーについて問われると、香妻は潔く白旗を揚げた。

「内藤さんが素晴らしいゴルフをしていて、途中は耐えるところをすごく耐えていた。あれだけいいゴルフをされると、どうやっても今日は追いつかなかったかなと思います。本当にすごいいいゴルフで、あっぱれって感じです」

圧倒的な飛距離を誇る香妻のパワーをもってしても、パットとアプローチでスコアを作り続けた内藤の堅実なゴルフの前に、つけ入る隙は見い出せなかった。

旧大会記録タイでも届かなかった現実、佐藤大平

画像: 旧・大会最少ストローク記録に並んでも勝てなかった佐藤大平

旧・大会最少ストローク記録に並んでも勝てなかった佐藤大平

同じく同組で内藤の猛烈なバーディラッシュを追いかけていたのが佐藤大平だ。

佐藤は4日間を「66-68-66-68」という驚異的な安定感で回り、通算20アンダー(268ストローク)を記録した。このスコアは、1994年の尾崎将司、2024年の岩崎亜久竜が記録した「旧・大会最少ストローク記録」に並ぶ大記録である。

優勝を意識したかという問いに対し、佐藤は「位置的にはね。でもちょっと届かないですよね。最終日、離れてトップにいる選手があれだけいいプレーをすると」と率直な敗戦の弁を述べた。

しかし、佐藤の凄みは「全然戦える状態ではなかった」という不調の中で、これだけのスコアを出したことにある。本人が不調を痛感しながらも、4日間72ホールで叩いたボギーはわずか2ホールのみ(ボギー率2.7%、パーキープ率97.2%)。さらにパー5ホールでは16ホールで「11アンダー」を叩き出すなど、驚異的なリカバリー能力がこの20アンダーを支えていた。

「これだけスコアが出たので、何かしら得たものもあります。でも明確にはショットのどこが悪いとかは見えていないので、ゴルフを見つめ直さないといけないと思いましたね」

敗者たちの次戦への決意

歴史的スコアで逃げ切った内藤への心からのリスペクトと、それぞれの胸に残った悔しさ。

画像: 2年前も優勝争いしたANAオープンで今年も上位フィニッシュした大岩龍一

2年前も優勝争いしたANAオープンで今年も上位フィニッシュした大岩龍一

同じく通算19アンダーで3位タイに入った大岩龍一も、昨年膝の怪我で欠場した無念を乗り越え、最終日「67」をマーク。「ショットが荒れる展開だったがパッティングが入って価値のある5アンダーだった。後半に向けて早めに1勝したい」と手応えを語った。

「体の調子を整えられたら来週も頑張りたい」(香妻)
「来週以降練習して考えなきゃいけない」(佐藤)

異次元のスコアの伸ばし合いという過酷な現実を受け止め、トッププロたちはすぐに次週のトーナメントへと気持ちを切り替えていく。

写真/岡沢裕行


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