国内女子ツアー「第53回ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープントーナメント」は9月27日(日)、宮城県の利府ゴルフ倶楽部(6600ヤード・パー72)にて最終ラウンドが行われた。首位と1打差の2位タイから出た桑木志帆が7バーディ・3ボギーの「68」をマークし、通算12アンダーで鮮やかな逆転勝利を飾った。AIG全英女子オープン制覇後、国内ツアー帰国6試合目にして掴み取った待望の今季国内3勝目。重圧をはね返し、メルセデス・ランキング首位を独走する女王の貫禄を存分に見せつける一戦となった。

嫌な流れを断ち切った13番「1.6メートルのパーパット」

画像: 怒涛の4連続バーディを奪取した桑木(撮影/岡沢裕行)

怒涛の4連続バーディを奪取した桑木(撮影/岡沢裕行)

最終組から出た桑木は、立ち上がりから圧巻のゴルフを見せた。1番(パー4)で6.2メートルを沈めると、2番(パー5)で2.4メートル、3番(パー4)で1.3メートル、4番(パー3)でも手前6メートルからねじ込み、開幕から怒涛の4連続バーディを奪取。一時は完全にレースを支配したかに見えた。

しかし、難度の高いピンポジションと力みにより、5番(パー4)で25ヤードのアプローチを寄せきれずボギー。8番(パー5)でもパッティングの距離感を崩してボギーを叩くと、前日ボギーを叩いた因縁の11番(パー3)でもラフとの境界線からのショットに迷いが生じてボギー。苦しい停滞期が続いた。

この暗雲を振り払ったのが、13番(パー4)のパーセーブだった。高速で大きく曲がる1.6メートルの下りスライスライン。これを静かに沈めると、「そこから一気に気持ちが落ち着いた」と立て直した。続く14番(パー5)で2.2メートルにつけてバーディを取り戻すと、16番、さらに17番(パー4)で1.7メートルにつける連続バーディを奪い、一気に勝負を決定づけた。

「久美さんのために勝つ」長谷部キャディとの夢と、黄色いグリップの決断

画像: 桑木志帆のキャディを務めた長谷部久美キャディ(撮影/岡沢裕行)

桑木志帆のキャディを務めた長谷部久美キャディ(撮影/岡沢裕行)

今回の勝利には、特別な思いが込められていた。スポットでタッグを組んできた長谷部久美キャディに対し、桑木は「久美さんと一緒に優勝するのがずっと夢だった」と明かす。

「今週は絶対に久美さんのために勝とうと思えた」という強い絆が、我慢のラウンドを支え続けた。

画像: 好きな色を聞かれた桑木は、「黄色好きです。でもピンクと黄色が好きですね。プロフィールのあれはなんか違う……はい、ピンクと黄色です(笑)」と答えた(撮影/岡沢裕行)

好きな色を聞かれた桑木は、「黄色好きです。でもピンクと黄色が好きですね。プロフィールのあれはなんか違う……はい、ピンクと黄色です(笑)」と答えた(撮影/岡沢裕行)

また、相棒となるギアの決断も奏功した。先週から投入したニューモデルのドライバー(B-L imited BX TOUR MAX)は、一発打った瞬間に変更を決めたお気に入り。打球音が低く、打点がブレても飛距離ロスや方向性の狂いが少ない安心感が、直近の安定したショット精度を生み出していた。さらに今週、長年使用して痛んでいたパターのグリップを、大好きな勝負カラーである「黄色」へと刷新。「替えてすぐに勝てました(笑)」と笑顔を見せた。

「見られているからこそ、だらけない」全英女王としての成長と誓い

画像: AIG全英女子オープン制覇後、周囲からの期待やプレッシャーを感じていたという桑木(撮影/岡沢裕行)

AIG全英女子オープン制覇後、周囲からの期待やプレッシャーを感じていたという桑木(撮影/岡沢裕行)

AIG全英女子オープン制覇後、帰国初戦の軽井沢では周囲からの凄まじい視線と期待に強い緊張を感じていた桑木。しかし、「ギャラリーが増えたなら、アグレッシブなプレーで楽しんでもらいたい」と意識を転換。プレッシャーを心地よいエネルギーへと昇華させてきた。

最終18番、2打差のリードを確認し「外しても優勝だけど、格好悪いから」と集中してウィニングパットを沈めた桑木。「喜びが8割、安堵が2割です。弱音を吐きそうになる自分をこらえて勝ち切れたことが本当に嬉しい」。重圧を乗り越えた若きメジャー覇者は、満開の笑顔で賜杯を掲げた。


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