フランス・パリ郊外に位置する難コース、ル・ゴルフ・ナショナル(7365ヤード・パー71)で開催された「フェデックス フランスオープン」。最終日の激闘を制したのは、イングランドのマット・フィッツパトリックだった。プロ転向直後の2014年に出場した思い出の地であり、2018年以来「8年ぶりの再会」となった舞台で、堂々の優勝を果たした。大会最初の2日間(36ホール)を完全ノーボギーで乗り切る圧巻の安定感を見せ、最終日は変化する風の中、スタートから12ホール連続パーと我慢のゴルフが続いたものの、13番で待望の初バーディを奪って鮮やかに後続を振り切った。忍耐と緻密なショートゲームで掴み取ったDPワールドツアー通算11勝目、プロとして世界通算15勝目となる栄冠。「何勝しても、勝つのは常に特別なことだ」。優勝直後のインタビューでそう語った彼の笑顔には、いつにも増して柔らかな光が宿っていた。

愛息ジャック君へ贈る「パパとしての初勝利」

その柔らかさの理由は、彼が最近迎えた人生の大きな変化にある。フィッツパトリックは数週間前に第一子となる愛息ジャック君を授かったばかり。「パパとしての初勝利」について問われると、メジャー覇者でもある彼は、一人の“新米パパ”としての素顔をのぞかせた。

「ああ、間違いないよ。妻とも話していたんだ。父親としての最初の勝利はいつだって最高にクールだね。正直に言うと、早く家に帰って彼に会いたくてたまらないよ」

世界を股にかけるトッププロであっても、生まれたばかりの我が子を想う気持ちは同じだ。厳しい勝負の世界で神経をすり減らし、見事に勝ち抜いた週末の終わりに待っていたのは、家族と分かち合う、これ以上ない喜びに満ちた手土産だった。

歴代レジェンドたちの仲間入りと、弟の友人トム・バイヤンとの絆

今回の勝利は、彼のキャリアにおいても特別な意味を持つ。大陸ヨーロッパで最も古い歴史を誇るナショナルオープンである今大会のトロフィーには、数々の偉大な選手たちの名が刻まれているからだ。

「一番大きな意味を持つのは、この歴史だよ。トロフィーに刻まれた歴代優勝者の名前を見ればわかる。ここには(サー・)ニック・ファルドが2回、そしてセベ・バレステロスもいる。彼らのようなレジェンドたちの中に自分の名前を加えることができるなんて、本当に素晴らしいことだ」と、フィッツパトリックはゴルフの歴史に対する深い敬意を口にした。

また、最終日は地元の大きな期待を背負うフランスの若手、トム・バイヤンと同組でのラウンドとなった。実はバイヤンは、マットの弟であるアレックス・フィッツパトリックの友人でもある。当然ながら、ギャラリーの熱狂的な声援の多くは地元選手へと注がれる“アウェイ”の環境であったが、お互いにリスペクトを持って高め合った。

フィッツパトリックは「トムへのフランスのファンの熱気は凄まじかったけれど、僕にもたくさんのサポートがあった。彼らは本当に素晴らしいファンで、僕もその声援をしっかりと感じていたよ」と紳士的に語り、地元のファンを称えながら自らのプレーに集中し切る一流の姿を見せた。

シーズン終盤へ向け、そしてライダーカップへ視界良好

画像: 優勝したマット・フィッツパトリック(写真は26年全英オープン、R&A提供)

優勝したマット・フィッツパトリック(写真は26年全英オープン、R&A提供)

このフランスでの勝利は、フィッツパトリックの未来に向けた大きな弾みとなる。先週、ウェントワースでのBMW PGA選手権を6位で終え、今週の優勝。シーズン終盤に向けて見事な結果を残した。

「少しリラックスした態度で今週に臨めたのが良かった。先週の良い成績と今週の優勝によって、来年のライダーカップのポイント獲得に向けても素晴らしいスタートになったね」

新米パパとして手にした初めてのトロフィー。ゴルフ史に名を残す名手たちの系譜に名を連ねた誇り。そして、欧州代表として戦う次回ライダーカップへの視界も良好だ。公私ともに充実の時を迎えているマット・フィッツパトリック。彼の次なる挑戦を、世界中のファンが楽しみに待っている。

【スロー動画】優勝したマット・フィッツパトリックの最新ドライバースウィング【DPワールドツアー公式X】

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