スウィング動画をAIによる3D解析技術でデータ化できる、コーチ専用のゴルフスウィング解析アプリ「スポーツボックスAI」。このアプリを活用しているゴルフコーチ・北野達郎氏に、LPGAツアー「ウォルマートNWアーカンソー選手権」で待望の初優勝を成し遂げた西村優菜のスウィングを解説してもらった。
画像: 米女子ツアー参戦4年目、87試合目で初優勝を遂げた西村優菜(写真は26年住友生命Vitalityレディス 東海クラシック、撮影/大澤進二)

米女子ツアー参戦4年目、87試合目で初優勝を遂げた西村優菜(写真は26年住友生命Vitalityレディス 東海クラシック、撮影/大澤進二)

こんにちは。SPORTSBOX AI 日本アンバサダーの北野達郎です。今回はLPGAツアー「ウォルマートNWアーカンソー選手権」で、待望のLPGAツアー初優勝を成し遂げた西村優菜選手(以下、西村選手)の正面からのドライバースウィングをスポーツボックスAIのデータと共に解説させていただきます。

西村選手といえば、精度の高いティーショットを武器としていますが、今季もフェアウェイキープ率は73.87%で現在18位と上位につけています。

そんな西村選手のスウィングの特徴から、今回は以下の2点を取り上げます。

①トップにかけて胸と骨盤の捻転差が大きく広がる
②インパクト〜フォローにかけて、右ひじを伸ばし切らないのが、正確性の秘訣

では、詳しく解説していきましょう。

トップにかけて胸と骨盤の捻転差が大きく広がる

まずはバックスウィングからトップにかけての胸と骨盤のデータを見てみましょう。「Chest Turn」は、胸の回転角度を表します(マイナスは右に、プラスは左に回転、両足首を結んだラインと平行を0°とします。以下、胸の回転)。

西村選手の胸の回転のデータは、トップ前で100°、トップで102°と、トップにかけて胸の回転がさらに深くなっています。

続いて「X-Factor」は、胸と骨盤の捻転差を表します(マイナスは胸が骨盤より右に、プラスは胸が骨盤より左に捻転差が増える。胸と骨盤の向きが平行にそろった状態を0°とします。以下、捻転差)。

西村選手の捻転差は、トップ前でマイナス54°、トップでマイナス65°と、トップにかけて捻転差が11°増えています。

画像: トップ前とトップ/トップにかけて、胸と骨盤の捻転差が広がっている

トップ前とトップ/トップにかけて、胸と骨盤の捻転差が広がっている

このトップ前からトップにかけて、捻転差が広がる動きを「X-Factor Stretch」(以下、Xファクターストレッチ)と言います。スポーツボックスAIが独自で調査した、XファクターストレッチのLPGAツアーレンジは、トップでマイナス1°〜プラス6°ですので、プラス11°の西村選手はXファクターストレッチの増加が大きいタイプであることがわかります。

Xファクターストレッチが大きい西村選手は、下半身から戻り始める理想的な運動連鎖(キネマティックシークエンス)で切り返しています。

インパクト〜フォローにかけて、右ひじを伸ばし切らないのが、正確性の秘訣

続いて、インパクトからフォロースルーを比較してみましょう。西村選手のスウィングでもう1つ特徴的なのは、「右ひじを伸ばし切らない」点です。「Trail Elbow Flex」は、右ひじの屈曲角度を表します(角度が大きいほど鈍角に、角度が小さいほど鋭角になります。ひじが伸び切った状態を180°とします。以下、右ひじの角度)。

西村選手の右ひじの角度は、インパクトで143°、フォロースルーで152°です。

特にフォロースルーでの右ひじの角度は152°で、これはLPGAツアーレンジ(161°〜167°)と比較すると角度が小さく、右ひじがやや曲がったままフォロースルーまで振り抜いています。

画像: インパクト(左)とフォロースルー(右)の比較/右ひじがフォローまで曲がったまま振り抜いている

インパクト(左)とフォロースルー(右)の比較/右ひじがフォローまで曲がったまま振り抜いている

この右ひじが曲がったまま振ることで、手が体の近くを通って体の回転で振れるので、フェース面の管理が容易になります。今大会の西村選手のスタッツは、フェアウェイキープ率が92.31%で6位タイ、パーオン率が87.04%で8位タイ、平均パット数が27.67で6位タイと、元々正確なティーショットに加えて、アイアンからパットまで全てかみ合ったのが初優勝の要因と言えますね。

今回は、西村優菜選手の正面からのドライバースウィングを解説させていただきました。岩井明愛選手の猛チャージで、一時はトップの座を明け渡しましたが、そこから1イーグル・4バーディの見事なプレーで、終わってみれば2位に5打差の圧勝劇でした。2023年のLPGAツアー参戦から4年目、87試合目にして遂に初優勝をつかんだ西村選手に心から拍手を送りましょう!


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