国内女子ツアー「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」で今季3度目の2位で終えた木戸愛。14年ぶりの2勝目を目指す36歳のスウィングをプロゴルファー・中村修が解説する。

魂を揺さぶる熱いプレーが木戸愛の魅力

画像: 2012年「サマンサタバサレディース」以来のツアー2勝目を目指す木戸愛(撮影/岡沢裕行)

2012年「サマンサタバサレディース」以来のツアー2勝目を目指す木戸愛(撮影/岡沢裕行)

木戸愛選手のプレーはいつも胸を熱くさせてくれます。敗れはしましたが、昨年の「資生堂・JALレディス」では、正規の18番ホールで大きく曲がる長いバーディパットをねじ込み永峰咲希選手とのプレーオフに進みました。あのパットは皆さんの記憶に残っていることでしょう。今年は、9月上旬に行われた「ゴルフ5レディス」で、最終日に「65」で追い上げて福田萌維選手とのプレーオフに進出。3ホールの戦いの末に涙をのみました。そして今季3度目のチャンスが巡ってきた「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」でも最終日の後半に桑木志帆選手に追いつきましたが、14番から3つスコアを伸ばした彼女にはあと一歩及ばず、単独2位で大会を終えました。

2012年のツアー初優勝以来、14年ぶりの2勝目を目指す木戸選手は積極的にバーディを奪う攻撃的なプレースタイルが特徴です。全体11位のパーオン率(70.98%)や5位のバーディ数(288個)など、スタッツを見るとアイアンショットの上手さとバーディを決めるパットの強さが光ります。さらにドライビングディスタンスも238.53ヤード(49位)と、36歳の年齢を考えると十分な飛距離を持っています。これは34歳でジャンボ尾崎氏に師事し、「思い切り振れ、前(フォロー)で振れ」との教えを実践してきた結果と言えるでしょう。

両ひざの間隔をキープしたままトップまで上げる

それではスウィングを見てみましょう。アドレス時の両ひざの間隔が広く、この幅がテークバックからトップまでキープされています。これは股関節の使い方や力の出し方のタイプによる特徴ですが、ひざが動きすぎることでインパクトが安定しないゴルファーは参考にすべき点です。

画像: 両ひざの間隔を保ったままテークバックする

両ひざの間隔を保ったままテークバックする

ひざの間隔をキープしたままテークバックすると、腰回りや背中の筋肉が引き伸ばされる感覚になりますが、それこそが飛距離の源になる筋肉の伸長反射を生み出しています。

もう一つの特徴は、テークバックの始動で左肩が下がり左腕が下、右腕が上になっていることです。こうすることで、前傾姿勢をキープすることができ、さらにクラブヘッドがインサイドに入りすぎることを防げます。

下半身を踏ん張って両ひざの間隔をキープしてトップまで上げると、切り返しからは下半身が先行し骨盤を回転させて、下半身と上半身の捻転差を作っています。腕は上体よりも少し遅れて下りてくるため、左腕が左胸に乗って左わきの締まったダウンスウィングになっています。この動きがボールを押し込める強いインパクトを実現しているのです。

画像: 先行した下半身に引っぱられ左わきが締まることで、インパクトでボールを強く押し出せている

先行した下半身に引っぱられ左わきが締まることで、インパクトでボールを強く押し出せている

14本のクラブのなかで最もボールを左に置くドライバーでは、骨盤はボールよりも右側にあります。この姿勢がアッパー軌道でボールを捉えることにつながっています。

ドライビングディスタンスの順位を見てみると、1位は穴井詩選手(259.61ヤード)、2位はテレサ・ルー選手(256.12ヤード)とともに87年生まれが名を連ねています。16位の藤田さいき選手(247.26ヤード)、30位の横峯さくら選手(244.09ヤード)は85年生まれ、40位の笠りつ子選手(240.09ヤード)は87年生まれ。そして49位の木戸選手は89年生まれと、道具の進化を受け入れながらトレーニングを積み重ね飛距離をキープすることが、長くツアーで活躍する秘訣になっています。

45位のフェアウェイキープ率(67.55%)がもう少し上がると、持ち前の精度の高いアイアンショットでバーディチャンスを量産できるはずです。今週から始まる終盤戦では、さらなる熱いプレーで2勝目を挙げる姿を見せてくれることでしょう。

撮影/姉崎正


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