男子プロのスペックはパワーが違いすぎて参考になりにくいが、ヘッドスピード38〜43m/s前後の女子プロのセッティングは、我々アマチュアゴルファーにとってまさに「飛びと安定感の宝の山」。そこで本連載では、いまツアーで活躍する女子プロのドライバースペック(ヘッド、シャフト、グリップ)を完全再現! 試打するのは、世に出たほぼすべてのクラブを打ってきた“キング・オブ・試打”こと堀越良和プロ。なぜ女子プロはこの組み合わせを選んだのか? アマチュアも参考になるのか? 女子プロが使用するギア選びを探ってみた。
画像: 日本女子オープンゴルフ選手権で勝利した申ジエ(撮影/岡沢裕行)

日本女子オープンゴルフ選手権で勝利した申ジエ(撮影/岡沢裕行)

今回取り上げるのは、世界各国のツアーで勝利を積み重ね、日本ツアーでも抜群の安定感を誇り、今年の「日本女子オープンゴルフ選手権」で桑木志帆とのプレーオフの末、優勝をつかみ取った申ジエ。彼女の最大の持ち味といえば、どんなプレッシャー下でも狙ったラインへ正確に打ち出される、高精度のフェードボールだ。

今回完全再現した彼女のドライバーは、ツアーレベルの弾道調整機能と高初速性能を備えたタイトリスト「GTS3 ドライバー(9度)」、シャフトにはクセのないしなり感と高い直進性でプロ・アマ問わず支持されるUSTマミヤ「ジ アッタス V2」(50S)という組み合わせ。今回もグリップのフィーリングまで本人仕様に合わせたスペシャルな1本を用意した。

試打環境はインドア、計測器はトラックマン4、計測用ボールは室内測定でも高精度に測定可能なタイトリスト「ProV1 RCT」ボールを採用

画像: トラックマン4、タイトリスト「ProV1 RCT」を使用

トラックマン4、タイトリスト「ProV1 RCT」を使用

「高精度ツアーヘッド×クセのない中調子」が作る絶対的安心感

画像: (画像:「GTS3(9度)」、シャフトは「ジ アッタス V2(50S)」 ※プロはクラブを替える頻度が高いため、バランスは一般的なD2程度で試打(グリップは同ブランドを用意)

(画像:「GTS3(9度)」、シャフトは「ジ アッタス V2(50S)」 ※プロはクラブを替える頻度が高いため、バランスは一般的なD2程度で試打(グリップは同ブランドを用意)

操作性と高い初速性能を持つヘッドに、クセの無い中調子のシャフトの組み合わせ。精度の高さで大一番に強い彼女がこのセッティングを選んだ理由に、堀越プロと編集部が迫る。

試打者/ほりこし・よしかず 試打経験に裏打ちされた豊富な知識と確かな試打技量で、大手メーカーのシャフトやヘッドの開発にも携わる。クレアゴルフフィールド所属

編集部:申ジエプロといえば、状況に合わせて自在にコントロールするフェードボールが印象的です。そんな申ジエプロが使っているのが『GTS3(9度)』に『ジ アッタス V2(50S)』です。堀越プロの第一印象はいかがですか?

画像: フォロースルーまでほぼベタ足で振り切るのが、申ジエのスウィングの特徴(撮影/有原裕晶)

フォロースルーまでほぼベタ足で振り切るのが、申ジエのスウィングの特徴(撮影/有原裕晶)

堀越プロ:まずヘッドの『GTS3』ですが、上から見た時のシェイプがすっきりしていて目標に対して真っすぐ構えやすいですね。小さすぎないちょうど良い見た目で、違和感がなくアドレスしやすいです。そしてシャフトの『ジ アッタス V2』ですが、ワッグルした際の挙動も穏やかで、手元から先端までクセがなく素直についてきてくれそうな扱いやすさを感じます。どちらも非常にニュートラルで素直な性格同士ですが、実際に打つとどんな弾道が出るのか、さっそく試してみましょう!

実際に試打を開始!

一般的なアマチュア男性ゴルファーを想定し、平均ヘッドスピード42m/s前後で試打
※10球試打したうちの平均値を算出

●キャリー/217.2Y
●総飛距離/254.0Y
●ボール初速/61.9m/s
●打ち出し角/11.9度
●スピン量/2025rpm

堀越プロ:軟らかく吸いつくような打感のあと、ボールが力強く前に飛んでいきました。打ち出しも左から出て、落ち際でセンターに戻ってきてくれるので安心して左に振り抜いていけますね。

編集部:そういえば、タイトリストのGT2は『月刊ゴルフダイジェスト』のD-1グランプリで2連覇を達成、そして今年はGTS2が優勝し、タイトリスト勢は3連覇となりました。このGTS3も今年ベスト4に進出するなど、今や“飛ぶドライバー”として話題です。実際に打ってみてそのポテンシャルを感じますか?

堀越プロ:タイトリストの3連覇はたしかに驚きでした。GTS3は空力や重量配分が考えられていて、オフセンターヒットでも初速が落ちにくくなっていると感じます。打点が多少ブレてしまってもエネルギー効率が下がりにくく、前へ押し出してくれるんです。これはアマチュアにとっても大きなメリットです。そこに『ジ アッタス V2』の中調子の素直なしなりと、しっかりした先端剛性が加わることで、インパクトでの当たり負けやブレが抑えられ、ミスヒット時でも距離が極端に落ちることはないように思えます。

編集部:タイトリスト特有の高い初速性能に、クセのないV2シャフトが合わさることで、飛距離だけではなく、申ジエプロが求める「狙い通りのラインに安定して打ち出せる再現性」が生まれるわけですね。最初に打った際に「シャフトが意外としっかりしているな…」と言っていましたが、50gとは思えない剛性を感じるのでしょうか?

堀越プロ:50Sはカット前で56gと一般的な重さですが、先端の剛性が若干強く感じます。先端が硬いのでしなり戻りが必要以上に抑えられ、打ち出し角は11.9度と今まで試打した女子プロスペックの中ではやや低い部類に入りますね。加えて、ヘッドはロフト9度とやや立っていてスピンも抑えられるので、高すぎない強い弾道でランも稼げるというセッティングに感じます。

編集部:なるほど、スウィングによると思いますが、切り返しのタイミングによってシャフトを軽く感じたり、硬く感じたりと、プレーヤーのスウィングとのマッチングも非常に重要ですね。

堀越プロ:そうですね。私のスウィングでは先端が硬い方が振りやすく感じるのですが、力を入れるタイミングや負荷をかけるポイントがそれぞれ違いますので、単に中調子という言葉だけ拾わずに試してみることをオススメします。

堀越プロの総評

画像: 堀越プロの総評

今回の申ジエプロのセッティングは、まさに「GTS3の高い初速&低スピン性能」と「ジ アッタス V2のクセのない挙動」が見事に噛み合った、風に負けない直進性の高い強弾道を打てる組み合わせでした。

GTS3は前後に可変ウェイトがついているため、重心位置を変えてつかまりや弾道の高低を細かく調整できるのが大きな魅力ですね。もし打点がトウやヒールに寄りがちな方は、ヘッド前方にあるウェイトを普段の打点位置に近づけてあげるだけでも、インパクトの当たりがグッと厚くなってきますよ。

ただ、アマチュアがこのセッティングを参考にする際は、ロフト角の選び方に少し注意が必要です。今回の組み合わせは低スピン感が強いため、球が上がりきらず、無理に持ち上げようとして力んでしまう恐れがあります。

GTS3には10度や11度のラインナップもありますし、すでに9度をお持ちの方でも調整スリーブで最大1.5度ロフトを寝かせることが可能です。「たった1.5度」と思うかもしれませんが、球が上がらないとお悩みの方には試す価値が十分あります。ご自身の弾道に合わせて賢く調整して、申ジエプロのような再現性の高い強弾道フェードを手に入れてくださいね!

次回の「女子プロドライバーほぼ完コピ試打」もお楽しみに!

協力/トラックマン、タイトリスト、USTマミヤ、クレアゴルフフィールド


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