
1998年7月27日生まれ、オーストラリア出身。2016年に全米ジュニアアマ制覇。18年にプロ転向。2024年からPGAツアーに本格参戦。2025年テキサスチルドレンズ・ヒューストンオープンでPGAツアー初優勝
2026シーズンの記憶に残るショット
今シーズンを振り返り、ミンウー・リー本人が「素晴らしい(Great)シーズンでした」と語るように、彼にとって充実した1年となった2026年。最も記憶に残っている一打について尋ねると、「ペブルビーチの最終日18番でのドライバーショットと、(最終戦、ツアー選手権の舞台)イーストレイクのこちらも最終日18番でのアイアンショットですね」と振り返る。
この2つのショットは今シーズンを象徴するものとして彼の心に深く刻まれていた。シーズン3戦目となった2月のシグネチャーイベント、AT&Tペブルビーチプロアマ最終日。

2月のAT&Tペブルビーチプロアマからキャロウェイ「クアンタム♦♦♦TD」を投入。最終日の18番パー5では347ヤードのビッグドライブを記録した
強風が吹き荒れる厳しいコンディションのなか、海沿いの名物ホールである18番パー5で彼が手にしたのは、この試合から投入したキャロウェイ「クアンタム♦♦♦TD」。ドライバーを振り抜くと347ヤードのビッグドライブ、そして見事にフェアウェイ右サイドをとらえた。バーディフィニッシュで、7月のジェネシス・スコットランドオープンと並ぶ今季最高位の2位タイ。好調なシーズンの始まりだった。
そして8月、年間ポイントランキング上位30名のみが出場を許される最終戦、ツアー選手権にもPGAツアー本格参戦3年目にして初めて出場。最終日の18番パー5、ティーショットで334ヤード飛ばしてフェアウェイをとらえると、残り255ヤードの2打目、Xフォージド4番アイアンでピンを刺すような完璧なショットでピンそば2.5メートルに付ける。イーグルパットこそ外れたもののバーディフィニッシュ、4位タイとなり、フェデックスランキングでも4位タイでシーズンを締めくくった。
躍進の鍵となった新パター「タートル」

AT&Tペブルビーチプロアマから投入したオデッセイ「TRTL」パター。パッティングが劇的に改善し、シーズンを通して好調を維持、今季の大躍進につながった
今季のミンウー・リーの安定した成績を支えたのは、間違いなくグリーン上でのパフォーマンス向上だ。その立役者となったのが、ペブルビーチからドライバーとともに新たに投入した新パター、オデッセイ「TRTL(タートル)」である。
「このパターとの最初の出会いは、投入する前の週のWMフェニックスオープンの時でした」と彼は明かす。「写真を見て、ペブルビーチで試したいとお願いしました」と、「TRTL」パターに一目惚れだったようだ。
完全にエースパターとして定着した

「パットが入るようになったことでコース上でハッピーになれた」(ミンウー・リー)
世界の誰よりも早く「TRTL」を実戦投入したミンウー・リー。このパターを一言で表すなら「寛容性(Forgiveness)」だと彼は言う。「第一印象はとても良かったです。特に8~15フィート(約2.4~4.5メートル)の距離のパットが良く、練習でたくさん入ったので、そのまま試合でもスムーズに移行できました」と語るように、実戦ですぐに結果を出した。
パッティングのスコアへの貢献度である「SGパッティング」では今季初戦のジ・アメリカン・エキスプレスではマイナス2・174で全体の68位と振るわなかったが、「TRTL」を投入したAT&Tペブルビーチプロアマでは7・506で全体の2位と驚異的な復調を見せた。

ミンウー・リーが使うのはダブルベントの「TRTL DB」。ウェイトはヒール側の2個が20g、トウ側の2個が5gに調整されている
彼の「TRTL」はヒール側を重くするため、ソールのウェイトを20g×2、5g×2に変更している。長さもそれ以前の33・5インチから35インチへと長くし、グリップもクロスハンドから順手に変えたと言う。
「パットが入るようになったことで、コース上でハッピーになれたことが大きいですね。それが他のクラブを打つ際の自信にもつながりました」と、パターの不調改善がショット全体にも好影響を与えたと分析する。
「見た目も良く、ソールのデザインも魅力的ですし、オリジナルのアライメントがとても気に入っています」とべた褒めだ。「2月から使っていますが今年の私の強みになっていますし、これからも長く使い続けると思います」と、完全にエースパターとして定着していることを明かした。
圧倒的パワーの源と姉との関係

キャップに刺繍されたトレードマークの「シェフ」のイラスト。英語のスラング「Let him cook(彼に料理させよう=彼に任せておけ)」のフレーズに由来する
ライビングディスタンスは323・2ヤードで全体の6位だが、ドライバー選びで重視するのは意外にも「方向性」だという。
「私は元々飛距離が出るほうなので、これ以上の距離は必要なく、より多くフェアウェイをとらえることを重視しています。それでも十分な飛距離は出ています」と余裕を見せる。求める弾道は「基本的には中〜高弾道で、突き刺さるような強い球」だそうだ。
「若い頃にはシューズが脱げるほど思い切り振ることを覚えました」と、幼少期からのフルスウィングが現在のベースにあると語る。「今はより安定性を求めています」としつつも、フィジカルトレーニングには余念がない。
「ジムではスクワットや片足のトレーニングなど、瞬発力と大きな筋肉を鍛える全身のワークアウトを行っており、試合中も週に3回は通っています」と、スリムな体でもあれだけ飛ばせる肉体の秘密を明かしてくれた。メンタルトレーナーはつけていないそうだが、「ゴルフをプレーすること自体が精神的な鍛錬になっていると思います」と独自のアプローチを持っている。
2歳上の姉でメジャー3勝のミンジー・リーとの関係も良好だ。トッププロ同士、アドバイスを送り合うこともあるそうだが、「どちらかというと私から彼女にアドバイスすることのほうが多いですね」と笑う。
「お互いツアーがあるので、一緒に過ごせるのは年に2〜3週程度と少ないですが、会えば常にゴルフの話をしています」と、世界を舞台に戦うトップアスリート姉弟ならではの強い絆を覗かせた。
日本のアニメと日本食が好き
今回が4回目の来日だったが、日本での滞在について尋ねると、「銀座で買い物をしたり、(東京都稲城市のよみうりランドにある)ポケパーク カントーに行きました。私は『ポケモン』と『NARUTO‐ナルト‐』が大好きでよく見ていますし、日本食も大好きです」と、日本のアニメと食を大いに満喫しているようだ。インスタグラムにはポケパーク カントーを満喫している写真が何枚も上がっていた。

「『ポケモン』と『NARUTO-ナルト-』が大好きです」ミンウー・リー
今後のスケジュールは、「来週はインドでDPワールドの試合があり、年末にはオーストラリアに戻ります」と世界中を飛び回る。「インドの後は約1カ月のオフがありますが、最初の数週間はクラブに一切触りません」と、オンとオフの切り替えを徹底している。
日本の読者に向けて、母国オーストラリアのおすすめスポットも教えてくれた。
「私の地元である西オーストラリアのパースはリラックスできて良い場所です。あとはメルボルン、シドニー、ブリスベンですね。グレートバリアリーフのヘイマン島も、シュノーケリングなどができてホリデーには最高ですよ」
最後に、最も好きなコースについて聞くと「オーガスタナショナル、ペブルビーチ、TPCソーグラスです」とマスターズ、AT&Tペブルビーチプロアマ、そしてザ・プレーヤーズ選手権の舞台を挙げた。
「まだ行ったことがないけど、プレーしてみたいのはパインバレーですね」と、世界ナンバー1との呼び声高いコースにも興味を示す。
来シーズン、彼がどんなプレーを見せてくれるのか。PGAツアーの舞台で最高のショットを放ち、パッティングを決め2勝目を挙げる瞬間が今から待ち遠しい。
PHOTO/Takanori Miki、Getty Images

